昨日は京都市内に宿泊した。ラウンジでアルコールが飲み放題だった
ので二日酔い気味。朝風呂に入ってから出発する。京都駅まで歩いて
JR膳所駅へは240円。駅舎から国道1号線を歩道橋で越えて南へ。
特に来たかった訳ではない。京都の近くで歩ける所はないかと考えて、
音羽山を思い出した。大昔大津に住んでいて一度だけ歩いた事がある。
その時とは違う道を歩きたいと、スマホの地図アプリ頼りで計画した。
滋賀短大を右側に見て名神高速道路を越えると、鶴の里という美しい
住宅街。そのまま山には進まず名神に沿って東側へ下る。小川がある
のでそこから山に向かう。大きな堤を越えると御用池が目前に広がる。
大勢の人がヘラブナ釣りをしているが、水利組合員と釣友会員以外は
立入禁止。池の周囲はフェンスで囲まれている。外来種の持ち込みを
危惧しての事かも知れない。空が広くて明るい谷間の道を進んで行く。
河原の疎林が美しい。かつての炭焼きの二次林だろう。大型カメラを
構えて野鳥を写そうとしている人がいた。聞いてみるとルリビタキを
狙っておられるとか。林道は緩やかなまま、一直線に山に入って行く。
このまま林道を詰めた方が頂上には近いけど、立ち寄りたい所がある。
鳴滝不動尊の看板を見て橋を渡ると、右岸から支谷が流れ込んでいた。
此処には御堂や祠等があって、人工的に滝が作られ行場となっている。
とてもスピリチュアルな雰囲気。ロングヘアーの二人は誰なんだろう。
地形図には此の支谷左岸に、破線が描かれている。急な斜面を九十九
に登って行くと小さな祠が一つあって、そこからは道も緩やかになる。
しっかりした道が谷を登って行く。歩きながら遠い昔に歩いた音羽山
の事を思い出そうとする。確か京阪京津線の大谷駅から歩いたはずだ。
どんより曇った日でやたら道が広かった。頂上の眺望は覚えていない。
大嫌いな杉の植林帯だが、快晴なので日が差し込み雰囲気は悪くない。
入口こそ急だったが、その後は緩やかな谷が続いた。20分足らずで
前方が何だか明るくなった。水流が途切れた先は人工的なため池の堤。
1724年に膳所藩によって作られたという、御霊殿池又は龍神池と
呼ばれる周囲200m程の池。神秘的とは思わないが意外な感はする。
やや水は少なく満水だったらもっと綺麗かな。鯉がゆら々泳いでいる。
堤に座り大休止。京都駅前のマクドで買ってきたソーセージマフィン。
以前は豚脂がジューシーな癖のある味だったが、最近は淡白になった。
味が変わったみたいだ。それでも110円ならコスパも腹持ちも良い。
十二分に水分も補給した後に、再び歩き出す。地形図では池の北側を
破線が通っている。それを信じて進むが道が細くなる。滑り落ちると
池にはまって溺れそう。この辺りで気づいたら良かったかも知れない。
池の奥に進むと風倒木で歩きづらい。道も怪しくなってきた。倒木を
避けて歩きやすい所を選んでいるうちに、完全に道を失ってしまった。
スマホのアプリを起動すると、GPSの精度がどうとか文句がついた。
どうも正確な現在地ではないよう。しばらく斜面をトラバースしてる
はずの破線路を探したが見つからない。諦めて尾根まで出る事にした。
池までの道を思えば急だが普通に歩いて行ける。10分のアルバイト。
尾根に乗れば破線路らしきが現れた。単に地形図を読めていないだけ。
でも現在は通行されてないらしい。路面に落ち葉が積もって柔らかい。
帰ってから調べると龍神池の堤を渡って、南側の尾根道に出るようだ。
主稜線の道に出た。驚くほど広い。薪炭を運ぶ牛車が交差できそうだ。
防火線の役目もあったのかもしれない。この道は東海自然歩道の一部。
少し歩けば立派な道標が現れる。ゆっくり登って行けば546標高点。
谷間を挟んで対岸に音羽山の頂上らしきが見える。どうやら左側から
回り込むように登るらしい。頭上には高圧電線が走っている。赤白の
派手な鉄塔の向こうにもう一本見えている。そこが恐らく頂上だろう。
路傍にベンチがあり、木々の間からわずかに琵琶湖を望む所があった。
見えている橋は、膳所と草津を結ぶ近江大橋だろう。この辺りからは
山科の方から登って来る人や、これから下る人に擦れ違うようになる。
546標高点から見えた赤白鉄塔に到着。名札によると山城北線三三。
新しいかと思いきや1972年建設なので、最近塗り直されたみたい。
やはり一つ先の鉄塔のある所が頂上みたい。平たいが眺望はどうかな。
更に緩やかな道を進むと樹林に囲まれた広場に、私製ベンチが幾つか。
まだ高みがあるようで奥に進むと三角点があった。立派な標柱なので
二等かと思ったが、帰って調べると三等で点名は小山という拍子抜け。
それでも展望はすこぶる良い。どうしてもまずは琵琶湖側に目が行く。
堅田と守山を結ぶ琵琶湖大橋もうっすら見えている。中央には比良山。
左手には比叡山。やや黒い如意が岳の稜線は大文字山まで続いている。
続いて京都市街に目を転ずれば、稲荷山から清水山を経て大文字山と
京都一周トレイルで歩いた山々が見えている。向こうの一番高い山は
愛宕山だろう。南側には高圧鉄塔の柵があるので余り眺めは良くない。
何故か鉄塔が頂上を外して、南側の斜面に立っている。そのおかげで
頂上らしさが保たれている。何かの構造物の遺構が残っているのだが、
鉄塔建設時にはまだあったので、最高所には建てられなかったのかも。
下りは大津駅に出たいと思う。まず東海自然歩道でそのまま北に向う。
下り着くのは京阪京津線大谷駅。京阪三条へ360円と経済的でない。
距離的には少し遠くなるが、JR大津駅に出た方が安いし早いだろう。
分岐に通せんぼのようにトラロープが張ってあり、一度は通り過ぎる。
地図を見て戻って来た。これは東海自然歩道を歩く人向けメッセージ
だろうか。とても良い道が続いているので、下っても問題はないはず。
やがて三叉路に到着。右の道に入れば鶴の里を経て膳所駅に至るはず。
我々は広い左の道に入る。道はとても良いので通る人は多いはずだが、
自然歩道を離れてからは道標の類は全く無い。それはそれで好ましい。
一か所だけ展望があった。大津市街が随分近くなった。背の高いのは
プリンスホテルで、右上にちょこんと尖っているのが三上山だろうか。
以降も樹幹越しに見える大津市街が、どん々大きくなる感じが面白い。
やがて道は名神高速道路の真上を下る。車の走行音は大きいが高速は
見えないまま音羽台一丁目に下り着く。最後の部分だけちょっと急だ。
国道1号線が間近に見えている。北野町にあるよう瀟洒な洋館が目印。
車道に出る所にも何の道標もないので、逆コースは気づき難いだろう。
国道1号線に出た所の標高は124mもある。膳所駅の裏は104m。
家族は海抜0mから歩いたと思ってたらしいが、琵琶湖は海じゃない。
大津駅は地下道を抜け10分足らず。気温がかなり上がっていたので
舗装路歩きが短いのは嬉しい。京都駅まで200円。ホームに上ると
網干行きの快速電車が入線して、休む間もなく京都駅に着いてしまう。
そのまま神戸方面に向かうと高いので、京都駅で降りて阪急河原町駅
までブラブラ歩く。道すがら京町屋や寺社仏閣を見るのもまあ楽しい。
山の中では涼しい風が吹いていたが、街は初夏を思わせる暑さだった。