摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

音羽山(593m)・・・滋賀県大津市

昨日は京都市内に宿泊した。ラウンジでアルコールが飲み放題だった

ので二日酔い気味。朝風呂に入ってから出発する。京都駅まで歩いて

JR膳所駅へは240円。駅舎から国道1号線を歩道橋で越えて南へ。

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特に来たかった訳ではない。京都の近くで歩ける所はないかと考えて、

音羽山を思い出した。大昔大津に住んでいて一度だけ歩いた事がある。

その時とは違う道を歩きたいと、スマホの地図アプリ頼りで計画した。

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滋賀短大を右側に見て名神高速道路を越えると、鶴の里という美しい

住宅街。そのまま山には進まず名神に沿って東側へ下る。小川がある

のでそこから山に向かう。大きな堤を越えると御用池が目前に広がる。

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大勢の人がヘラブナ釣りをしているが、水利組合員と釣友会員以外は

立入禁止。池の周囲はフェンスで囲まれている。外来種の持ち込みを

危惧しての事かも知れない。空が広くて明るい谷間の道を進んで行く。

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河原の疎林が美しい。かつての炭焼きの二次林だろう。大型カメラを

構えて野鳥を写そうとしている人がいた。聞いてみるとルリビタキ

狙っておられるとか。林道は緩やかなまま、一直線に山に入って行く。

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このまま林道を詰めた方が頂上には近いけど、立ち寄りたい所がある。

滝不動尊の看板を見て橋を渡ると、右岸から支谷が流れ込んでいた。

此処には御堂や祠等があって、人工的に滝が作られ行場となっている。

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とてもスピリチュアルな雰囲気。ロングヘアーの二人は誰なんだろう。

地形図には此の支谷左岸に、破線が描かれている。急な斜面を九十九

に登って行くと小さな祠が一つあって、そこからは道も緩やかになる。

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しっかりした道が谷を登って行く。歩きながら遠い昔に歩いた音羽山

の事を思い出そうとする。確か京阪京津線大谷駅から歩いたはずだ。

どんより曇った日でやたら道が広かった。頂上の眺望は覚えていない。

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大嫌いな杉の植林帯だが、快晴なので日が差し込み雰囲気は悪くない。

入口こそ急だったが、その後は緩やかな谷が続いた。20分足らずで

前方が何だか明るくなった。水流が途切れた先は人工的なため池の堤。

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1724年に膳所藩によって作られたという、御霊殿池又は龍神池と

呼ばれる周囲200m程の池。神秘的とは思わないが意外な感はする。

やや水は少なく満水だったらもっと綺麗かな。鯉がゆら々泳いでいる。

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堤に座り大休止。京都駅前のマクドで買ってきたソーセージマフィン

以前は豚脂がジューシーな癖のある味だったが、最近は淡白になった。

味が変わったみたいだ。それでも110円ならコスパも腹持ちも良い。

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十二分に水分も補給した後に、再び歩き出す。地形図では池の北側を

破線が通っている。それを信じて進むが道が細くなる。滑り落ちると

池にはまって溺れそう。この辺りで気づいたら良かったかも知れない。

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池の奥に進むと風倒木で歩きづらい。道も怪しくなってきた。倒木を

避けて歩きやすい所を選んでいるうちに、完全に道を失ってしまった。

スマホのアプリを起動すると、GPSの精度がどうとか文句がついた。

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どうも正確な現在地ではないよう。しばらく斜面をトラバースしてる

はずの破線路を探したが見つからない。諦めて尾根まで出る事にした。

池までの道を思えば急だが普通に歩いて行ける。10分のアルバイト。

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尾根に乗れば破線路らしきが現れた。単に地形図を読めていないだけ。

でも現在は通行されてないらしい。路面に落ち葉が積もって柔らかい。

帰ってから調べると龍神池の堤を渡って、南側の尾根道に出るようだ。

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主稜線の道に出た。驚くほど広い。薪炭を運ぶ牛車が交差できそうだ。

防火線の役目もあったのかもしれない。この道は東海自然歩道の一部。

少し歩けば立派な道標が現れる。ゆっくり登って行けば546標高点。

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谷間を挟んで対岸に音羽山の頂上らしきが見える。どうやら左側から

回り込むように登るらしい。頭上には高圧電線が走っている。赤白の

派手な鉄塔の向こうにもう一本見えている。そこが恐らく頂上だろう。

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路傍にベンチがあり、木々の間からわずかに琵琶湖を望む所があった。

見えている橋は、膳所草津を結ぶ近江大橋だろう。この辺りからは

山科の方から登って来る人や、これから下る人に擦れ違うようになる。

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546標高点から見えた赤白鉄塔に到着。名札によると山城北線三三。

新しいかと思いきや1972年建設なので、最近塗り直されたみたい。

やはり一つ先の鉄塔のある所が頂上みたい。平たいが眺望はどうかな。

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更に緩やかな道を進むと樹林に囲まれた広場に、私製ベンチが幾つか。

まだ高みがあるようで奥に進むと三角点があった。立派な標柱なので

二等かと思ったが、帰って調べると三等で点名は小山という拍子抜け。

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それでも展望はすこぶる良い。どうしてもまずは琵琶湖側に目が行く。

堅田と守山を結ぶ琵琶湖大橋もうっすら見えている。中央には比良山。

左手には比叡山。やや黒い如意が岳の稜線は大文字山まで続いている。

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続いて京都市街に目を転ずれば、稲荷山から清水山を経て大文字山

京都一周トレイルで歩いた山々が見えている。向こうの一番高い山は

愛宕山だろう。南側には高圧鉄塔の柵があるので余り眺めは良くない。

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何故か鉄塔が頂上を外して、南側の斜面に立っている。そのおかげで

頂上らしさが保たれている。何かの構造物の遺構が残っているのだが、

鉄塔建設時にはまだあったので、最高所には建てられなかったのかも。

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下りは大津駅に出たいと思う。まず東海自然歩道でそのまま北に向う。

下り着くのは京阪京津線大谷駅京阪三条へ360円と経済的でない。

距離的には少し遠くなるが、JR大津駅に出た方が安いし早いだろう。

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分岐に通せんぼのようにトラロープが張ってあり、一度は通り過ぎる。

地図を見て戻って来た。これは東海自然歩道を歩く人向けメッセージ

だろうか。とても良い道が続いているので、下っても問題はないはず。

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やがて三叉路に到着。右の道に入れば鶴の里を経て膳所駅に至るはず。

我々は広い左の道に入る。道はとても良いので通る人は多いはずだが、

自然歩道を離れてからは道標の類は全く無い。それはそれで好ましい。

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一か所だけ展望があった。大津市街が随分近くなった。背の高いのは

プリンスホテルで、右上にちょこんと尖っているのが三上山だろうか。

以降も樹幹越しに見える大津市街が、どん々大きくなる感じが面白い。

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やがて道は名神高速道路の真上を下る。車の走行音は大きいが高速は

見えないまま音羽台一丁目に下り着く。最後の部分だけちょっと急だ。

国道1号線が間近に見えている。北野町にあるよう瀟洒な洋館が目印。

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車道に出る所にも何の道標もないので、逆コースは気づき難いだろう。

国道1号線に出た所の標高は124mもある。膳所駅の裏は104m。

家族は海抜0mから歩いたと思ってたらしいが、琵琶湖は海じゃない。

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大津駅は地下道を抜け10分足らず。気温がかなり上がっていたので

舗装路歩きが短いのは嬉しい。京都駅まで200円。ホームに上ると

網干行きの快速電車が入線して、休む間もなく京都駅に着いてしまう。

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そのまま神戸方面に向かうと高いので、京都駅で降りて阪急河原町駅

までブラブラ歩く。道すがら京町屋や寺社仏閣を見るのもまあ楽しい。

山の中では涼しい風が吹いていたが、街は初夏を思わせる暑さだった。

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