今朝起きると快晴。なぜだか山に行こうかという気になり支度をする。
JR六甲道駅からぶらぶら歩いて永峰堰堤。杣谷道を淡々と進むのみ。
六甲学院山岳部誌「たきび」に色々な岩場の名があった事等思い返す。
今日の目標は正面に見えている木ノ袋尾根の岩場。ここ数年木が繁り
小さくなったが、六甲学院山岳部が活躍していた頃には、はっきりと
見えていただろう。今も長峰坂の上端からでも、それと分かる岩場だ。
木ノ袋谷出合まで歩き、石段を10mばかり登った所にある公設道標。
何故にこんな中途半端な所にあるかというと、ダム建設時の作業路が
此処に流れ込む小谷の右岸にあったからだろう。今日はその谷に入る。
入口にこそ小滝があり、僅かながらも水流があるが、以降は涸れ沢と
言ってよい。この谷に入るのは三度目なので、特に感慨も持たず歩く。
先の石段をもう少し上がれば、一般道もあるが単調な樹林の道で嫌う。
それに比べると此の谷が面白いかというとそうでもない。五十歩百歩。
敢えて名を付けるとすればストーブ沢。ダム工事の際、飯場小屋から
捨てられた灯油ストーブがある。ご丁寧にポリタンクも転がっている。
しばらくで二俣が現れる。左俣は二年前に辿っているが、急峻な岩溝
となり尾根に突き上げている。苔の発達した岩場の右俣の方が緩やか。
もちろん今日は右俣に入る。急ぐ訳でもないのでヨタヨタと安全歩行。
両岸に岩場が現れる。かなりの大きさで樹木がなければ、杣谷からは
上部の岩場と一体と見えたのではと思う。実際は両者の間に谷がある
という複雑な地形。傾斜は急だが昨日の雨で湿った土砂は登りやすい。
上部は更に急峻となった岩溝が続く。これをガリーと呼ぶかルンゼと
呼ぶか、はたまたクーロアールかは主観の問題。辿ってみたい気はす
るが、藪が煩そうなので止めた。右側から回り込むように歩いて行く。
支尾根に達した。歩いてきた小谷の右岸から上がって来たと思われる
道跡がある。目標とする岩場が樹幹越しに垣間見られるが、谷で隔て
られているので回り込むしかない。東側へ数十メートル程道跡を進む。
前回は上手く辿れたのに、今回は道を見失い一般道まで出てしまった。
少し上ると行き過ぎと気付き、西側に斜降して岩の裾に至る。この岩
の頂部は緩やか。よく休憩したが最近は木が繫って展望が悪くなった。
さらに斜降して、岩場の西端が見えた所でスイッチバックするように
岩場の裾に這い上がる。これが杣谷からも見えていた縦長の岩の底部。
文章にするのは難しいが、左右に巨岩があり間は大きな岩の積重なり。
六甲学院山岳部誌「たきび」の中に登場する木ノ袋岩とは、この付近
一帯の岩場を指すものと思われる。縦長の岩場の上に、達磨落としの
ような岩塊が乗っている。とりあえず今日の目標はその上に乗ること。
今度は岩場の裾を東側へ斜上して行く。二年前は倒木があって容易に
通過できた所。なんでも無いように見えるが体の固いハムには難所だ。
右側に落ちればちょっと怖い。何とかずり上がり松葉の上を斜上する。
すると前回家族が登ろうとして落ちた岩に辿り着く。薄っぺらいので
仮に包丁岩と呼んでおく。まあ和包丁でなく中華包丁だろう。ここで
反転し西側へトラバースする。二年前より灌木が育ち通過に苦労する。
目標とする縦長の岩の頂部はすぐ其処だが、スンナリは辿り着けない。
岩は階段状に積みあがっているので、斜度はさほどなく高度感もない。
ここから岩の間に積もった土砂の上を、辿って行くような感じになる。
西側に山寺尾根や寒谷南尾根が見える。注意しなければいけないのは
目標の縦長岩の頂部が、岩場全体の最頂部にあるのでない事。それを
忘れ上がり過ぎてしまった。大きな松の木が見えてその事を思い出す。
少し下り西へ斜上して目標の岩の頂部が見えた。ところが此の木と岩
の隙間が抜けられない。此処が今日の最大の難所。確かに二年前より
太っているが、難しかった記憶はない。悪戦苦闘してどうにか抜ける。
ホッとしたので少し早いが昼食休憩。今朝は急に思い立って来たので
家族に頼むのも悪く、残りご飯に塩昆布を混ぜたのだけを持ってきた。
残り少ない人生の一食がこれではと、後になって悔やむ。しばし休憩。
この岩場だけで10枚も写真を掲載しているが、全体として幅30m
高さ15m程の範囲に岩が積みあがっている。ゲレンデ向きではない。
休憩していた岩場から2mも上がれば、落ち葉の積もる緩斜面となる。
そこから30mも進めば一般道に合流する。さして展望は良くないが、
空が広くなり開放的な気分となる。それにしても杣谷を挟んで見える
長峰山の主稜線は水平。実際に歩くとアップダウンがキツイのに何故。
この尾根はシロバナウンゼンツツジが多い。最盛期はもう少し先かな。
意外な事に雲仙岳には自生しておらず、名前の由来は不明なんだそう。
ほとんど白い花だが、僅かながらピンクがかった花をつける株もある。
木ノ袋尾根の頭に近くなると、4月18日に降った冷雨以後に咲いた
コバノミツバツツジが散見されるようになる。背後に見えているのは
長峰山。このように花だけが先に咲けば綺麗、また来年に期待しよう。
木ノ袋尾根の円頂に到着した。この付近は高木のミツバツツジが多く、
開花時期も遅いので花が残っている。さて此処からは笹原の中を進む。
アゴニー坂を目指す。いつもなら鞍部からトラバース路に入るのだが、
今日は時間もあるので、杣谷峠から来る尾根筋まで出てみよう。上の
写真で、笹原がY字型に割れているのが分かるだろうか。右へ進むと
ドライブウェイに下ってしまう。左に下ればアゴニー坂へ到着できる。
最近ヤマレコとかヤマップのスマホアプリを見ていると、水道施設が
山頂を占める摩耶別山を標題とする記事が多い。が中身を見てみると、
立ち寄ってはいない。地域の最高峰としてアプリが選んだ標題のよう。
近道もあるが今日は摩耶別山から舗装路を下ってみる。途中の天井寺。
境内の外縁に植えられたミツバツツジが、今を盛りと咲き誇っている。
自生するミツバツツジも気象条件が良ければ、これくらい花をつける。
掬星台でもミツバツツジが満開だった。ハイカーに餌をおねだりして
いた猫。摩耶山のパンフなどに登場するテンちゃんて君の事だろうか。
ロープウェイ山上駅の二階で、年券を購入しビューラインで下山する。
ロープウェイ中間駅で、ケーブルの架け替え作業の動画が放映されて
いた。中々にカッコいい映像なのでつい見入ってしまった。どのみち
ケーブル線もコロナ対策で、発車時刻3分前にならないと改札しない。
今日のBGM