鹿児島中央駅から川内(せんだい)駅へやって来た。運賃は950円。
ローカル駅かと思いきや、新幹線も停まる主要駅。ちょうど大阪行き
の表示を見てビックリ。新神戸から小倉までは乗ったけど遠かったな。
駅からは一日二往復のコミュニティバスに乗車する。9時45分発で
11時5分着。帰りは14時54分発なので行動時間は3時間49分。
それを逃すとバス便はないし、タクシー利用も現実的な距離ではない。
ところがバスは藺牟田池一つ手前、池口バス停で終点だと降ろされる。
市のホームページにもバス停表示にも記されていない事だ。仕方ない
藺牟田池まで歩くとしよう。行動時間が1時間弱少なくなってしまう。
運転手は今年の台風から大型車が通れなくなったと言うが、二車線の
良い道がずっと続いている。どうも納得できない。さて今日の山行は
外輪山を周回するのだが、途中で止めてエスケープするよりなさそう。
池口バス停から20分掛って藺牟田池の畔に到着。施設や売店があり
賑やかな子供達の声が聞こえている。藺牟田池は周囲4kmの火山湖。
7つの外輪山に囲まれている。他の山と離れた飯盛山はパスする積り。
駐車場からスタートして時計回りに歩く予定だったが、最初の愛宕山
は展望が良くないらしいので飛ばしたかった。だがガイド本に記され
ている舟見岳へのバイパス道は、濃い藪に覆われて通行不能で諦める
素直に愛宕山への道を歩く。九州の低山ではガイド本に載っていたと
しても、廃道状態になっていることが多い。事前にネット等で調べて
おく必要がある。良く踏まれた道が九十九に上がって行くが展望皆無。
11時40分、愛宕山頂上に到着。濃い照葉樹に囲まれて展望はない。
ベンチはあるが、水だけ飲んで先に進もう。思ったよりも大きく下る。
外輪山という名前から、由布岳のお鉢巡りを想像するとずいぶん違う。
舟見岳との鞍部に藺牟田池一周道路へ下る道があった。ガイド本には
記されていないが、このようなエスケープ路が幾つかありそう。帰路
を考えると、13時30分まで歩いて、池畔に下るのが安全策と思う。
標高499m三角点のある舟見岳もまた樹林の中。かつて南側の展望
があったろうが、樹木が成長している。多少期待してたのでがっかり。
ここまで肝心の藺牟田池の姿さえ見えない状況で、何をしに来たのか。
次の鞍部へは急な土留階段で植林帯の中を下る。こんなに下るのかと
愕然とする。此処までの様子を知っていれば、愛宕山と舟見岳はパス
してまって良かったろう。もとより外輪山一周を完歩する気持はない。
12時6分、車道に出てしばらく歩けば竜石登山口。こんなことなら
此処まで車道を歩いて来れば良かったな。残りは1時間半たらずしか
残ってない。何処まで行けるのか、景色はあるのか心配になってきた。
12時20分、交蔓山頂上は植林帯の中。しかし5分も歩くと明るい
岩場に出た。岩に残置ロープがあるので、家族に登れないかと聞くが
無理だとの返事。下の写真で家族と岩との間はキレットになっていた。
ゲレンデとなっているようでハンガーボルトや下降用の残置ビナ等も
見える。現役クライマーならば右下から回り込んで、フリーで登るこ
とも可能に思えるが、今はそれを確かめている時間はない。諦めよう。
やや低いが手前の岩には容易に立てる。藺牟田池が見えて気持ち良い。
反対側から回ってきた人によると、他に一か所あったが、此処の展望
が一番良いとの事。気づくと急いでいるのに10分以上も休んでいた。
再び車道まで下り、山王岳へ登り返す。短いが露岩の道が続いている。
先程聞いた展望地はこの上にあるのだろう。フリクションの良い岩を
越えると、藺牟田池を望む所がある。ただ狭いので休憩には向かない。
正面に見える円錐形の山が飯盛山。今回は登らないが山体を一周する
ように遊歩道が付いている。山頂はパノラマ広場という園地になって
いるらしい。右に見えるのが愛宕山と舟見岳。更に右に竜石が見える。
12時54分、山王岳の頂上も暗い樹林の中。そろそろ時間が切れと
なりそうだ。下って行くと、次の片城(かたしろ)山との鞍部は浅く、
すぐに登り返しが始まる。この部分が今回の山道では一番好ましい所。
藺牟田池外輪山の中では一番の高さだけに、岩の多い道をグイグイと
標高を稼いでいく感じが良い。周囲の植生も植林帯ではないし、西日
を受けてやや明るい雰囲気だ。此処までで一番登りがいのあった箇所。
13時15分に、標高509mの三角点のある片城山頂上に到着した。
二人でミカン一個の小休止。この先は飯盛山まで名の付いたピークは
無い。山行の終了点とするにはキリの良い所だ。少し休んだら下ろう。
片城山からの下りは直線的に急斜面を下るものだった。岩場も多くて
急ぐのも限度がある。いつもは頼らない残置ロープも使い降りてきた。
鞍部は広い草地になっている。此処からは右側の池畔へ下る道がある。
13時42分、池畔一周道路に到着。これなら池口バス停15時発の
バスに間に合うだろう。池畔に草地が広がるが、泥炭形成植物群落と
かでラムサール条約にも登録されているらしい。車道を歩いて行こう。
いむた清風のバス停を見に行くと、標識も時刻表もそのままで運休の
表示は無い。知らずに此処でバスを待っていたらと思うとゾッとする。
運休は仕方ないが、その事を利用者に知らせないのはどうかと思うな。
後で市役所に問い合わせると、バス会社が貼紙していると思っていた
らしい。だが運行主体の市役所のサイトに表示が無いのが一番の問題。
対応するとの回答で善処されるだろう。池畔の歩道から片城山を望む。
泥炭の浮島というか塊があるが、国の天然記念物だそう。それよりも
水中から生える落羽杉(らくうしょう)というヒノキ科の木が珍しい。
14時15分、元の駐車場まで戻り池口バス停に向かって車道を下る。
もう余裕で間に合うとのんびり歩いていたら、家族が来た時見た標識
が無いと言い出す。それどころか二車線だったはず。完全に間違いだ。
相当慌てるが観光施設の看板によると、一つ下のバス停に出られそう。
戻るよりはましだろうと、そのまま下り続ける。九州の低山恐るべし。
また車道を走るような目に合うとは思っていなかった。14時52分、
竜仙郷バス停に到着し、10分後の川内駅行のバスに無事乗車できた。
今日出会った動物
藺牟田池には白鳥がいて餌付けされている。バレエの白鳥の湖からは
スマートな鳥というイメージだけど、現在空を飛ぶ鳥の中では最大級
の重量だそうな。近づいても逃げないし、満腹なのか眠たそうだった。