摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

次郎丸嶽(397m)・・・熊本県上天草市

昨夜は二号橋バス停に近い温泉宿に泊まった。GoTo景気というか

平日なのに賑わっていた。宿泊料も高くて、朝食のみのプランにした。

朝食を大急ぎで食べて、二号橋8時1分通過の快速あまくさ号を待つ。

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お約束通り6分遅れでバスが来た。今泉三差路には8時25分に到着。

天草諸島中では一番交通の便の良い登山口。夕方の飛行機で帰るので

13時に此処に戻って来なければならない。5時間半あれば大丈夫?。

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いかに足の遅い我々でも標高僅か400mの山だからと甘く見ていた。

大きな看板があるので、良く歩かれて道も良いはず。登山者用駐車場

も備えられ案内板も幾つもあって、ウェルカムな雰囲気が感じられる。

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西辺集落に入ると漁具を再利用した人形が、道端に幾つも置いてある。

前方に見えるのが、やや傾いだような次郎丸嶽。人間を表す名前の付

いた山って大抵そうだ。香港の釣魚翁も背を丸めたように傾いている。

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やがて太郎丸嶽も見えてくる。次郎丸が松島を見えるように背を低く

したという伝説があるそうだが、地元では弥勒嶽と呼んでいるという

看板があった。道標に誘われるままに歩くと、舗装路から山道に入る。

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とても良い道が続く。この山は観光協会のHPで「気軽にハイキング、

初級者向けコースとして人気の山。」と紹介されているので安心して

歩けるはず。そう思い時間の少ない最終日の半日コースとして選んだ。

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9時13分、次郎丸と太郎丸の分岐に到着。まず太郎丸を往復しよう。

此処までに枯れた「長寿の湧水」や、展望の僅かな「遠見平」なんて

所があったが、それは気にしないでおこう。或る種のアトラクション。

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稜線に出ると疎らな雑木林。下生えはシダ藪と姫路辺りの岩山に似て

いる。天草諸島は面積約1000k㎡、12万人も人口のある大きさ。

さほど海からの影響を受けないのか、島嶼独特の植生が感じられない。

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前方に巨岩の積み重なるピークが見えてきたが、これは前衛峰らしい。

登り詰めると展望岩があったが、立ち寄るのは後にしよう。登山道は

さしたるアップダウンもないままに、太郎丸嶽の頂上に向かって行く。

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岩盤が露出した道が続く。六甲山と同じ花崗岩かと思ったら、この山

の岩は砂岩だそう。風化した部分の砂がとても細かくて真砂とは違う。

総じてフリクションは良好なのだが、砂が乗っている所は滑りやすい。

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9時26分、太郎丸頂上に到着。コースタイムはクリアしているので、

気分的には楽。それが後で油断を呼んだかも知れない。360度とは

言えないまでも、周囲に点在する巨岩に乗れば十分な眺望が得られる。

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東側の足元には先ほど歩いてきた西辺集落。対岸の稜線には九州自然

歩道が設けられている。この後進む小鳥峠から鋸嶽や白嶽を経由して、

周回することも可能だ、その向こうに見えるのは八代海に浮かぶ島々。

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南側には次郎嶽が特徴的な山容を見せている。東壁の傾斜はほぼ垂直。

標高397mながら、周囲にそれより高い峰がないので立派に見える。

手前にこんもりしているのが前衛峰だ。帰りにピークに立ってみよう

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南側には千元森嶽(233m)を見る。低山ながら砂岩の山で眺望は

かなり良いらしい。今泉三差路バス停からは四方に魅力的な山がある。

左に白い噴煙を被っているのが雲仙岳。右には天草五橋が三角に続く。

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往路を戻って立つ前衛峰の頂部。下から見ると照葉樹に覆われている

かと思われたが、登ってみればスッキリ抜けている。次郎嶽が近くに

迫り西側も開けているので、展望台として太郎嶽頂上より優れている。

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10時13分、太郎丸・次郎丸の分岐まで戻る。標高差100m以上

あるのに、この地点から両者の頂上までは、どちらも30分と同じだ。

本当かなと思いつつ次郎丸嶽に向かう。道幅や歩き易さは変わらない。

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枝葉越しに険しい東壁が僅かに垣間見られるが、密な照葉樹林が続き、

ハッキリ見える所が無い。冬になっても落葉樹が少ないので、状況は

余り変わらないだろう。雑木の多い摩耶山の植生が好ましく思えたり。

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分岐点から斜上していた登山道が、九十九に登って行くようになると、

太いクレモナロープが設置された岩場が現れる。安っぽいトラロープ

でないのが良い。持ちやすいし公に整備されているという感じがする。

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次に岩の割れ目に入って行く所。左側の岩が洞(うろ)になっていて、

二三人が寝れる広さがある岩屋。短い区間に次々と見所が現れるので、

楽しく飽きずに歩いていられる。一昨日の倉岳六峰のコースとは違う。

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観光協会のサイトでは、「見晴らし岩」と記されている砂岩のスラブ。

傾斜は緩くフリクションが効くので、上りはロープに頼らずに歩ける。

太いロープが4本もあるのは、集団登山が定期的に行われるからかな。

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太郎丸嶽がずいぶん低く見える。彼我の標高差を考えれば当然だけど、

そんなに登ったかなあという印象。逆にその向こうの千元森嶽が立派。

天草五橋の先には三角岳の姿も見える。やや霞がちなのが少々残念だ。

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ロープの終点から登山道は右手の藪に入って行くが、そのまま岩場を

登って行くと岩の円頂に出る。ガイド本にあった松尾尾根ノ頭だろう。

爽やかな風が吹き抜けて、高度感も展望も楽しめる。しばし休憩する。

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元の登山道に戻ると路傍に弥勒菩薩の祠が有る。地元でこの山を弥勒

嶽と呼ぶ由縁だろうが、中々に立派な御姿だ。ただ山頂に置かれてい

ないのは風を避けての事だろうか。道端で祭祀を執り行う余地がない。

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11時3分、次郎丸嶽の頂上に到着。途中休憩したりでコースタイム

30分のところ45分掛かっている。三角点は一段低い所に安置され、

やはり周囲の巨岩に乗る事により展望が得られる。眺望は東側が広い。

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ここまで三回、眺望の良いピークに立ち寄って来たが、見える景色は

ほぼ同じ。爽快さや展望の広さでやや松尾尾根ノ頭に軍配が上がろう。

景色の良さに時間の経過を一時忘れ、帰路の行程を考えていなかった。

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家族が象(ゾウ)のような岩が有るという。むしろサイの顔に似てい

るかも。昔はボルトが連打されて、A3のゲレンデとして利用されて

いたに違いない。山頂近くには錆びたRCCボルトが一つ残っていた。

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11時25分、小休止を挟み下りに掛る。この時点でバスの時刻まで

1時間45分。コースタイムは1時間25分なので、足の遅い我々に

さして余裕が有った訳ではない。小鳥越峠への分岐から道が細くなる。

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振替えれば先ほどまで立っていた岩場が見えた。両側から藪が被さる。

歩き易い道が続くと思っていたのはどうしてだろう。一昨日の倉岳も

そうだが、ガイド本に載っていれば広く歩き易い道と思い込んでいる。

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長く六甲山や摩耶山ばかり歩いていて、そんな考えが身に染みている。

もちろん道のない尾根や沢筋を歩く事は厭わないが、元より観光目的

のハイクなので心構えが違う。下るにつれ段々道が心細くなっていく。

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日当たりの良い所では深いシダ藪の中を行く。道自体は歩かれている。

次郎嶽の頂上から、目指す小鳥越峠は南東の方向だが、西に向かって

進んでいる。それは此の道が、次郎丸嶽の東壁を迂回しつつ下る為だ。

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背後に次郎丸嶽を見る。小鳥越峠は右下というよりも、更に北に回り

込んだ所。ガイド本の略図からは読み切れず、後で慌てる遠因となる。

幸いにして倉岳のように枝道が無いので、まあ道を追っていれば良い。

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南側の展望が良いテラスがある。家族が遠くに見える倉岳に向かって、

蹴りを入れたり、イチャモンつけたりしている。よほど一昨日の歩行

が不快だったらしい。休憩するのに良い所だが先を急がねばならない。

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登山道がスイッチバックするように東へ方向を変えると、延々とした

トラバース路となる。というか斜上するような所も多い。下りたいの

に登って行くという事で気分的にイライラしてきた。時間も気になる。

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トラバース路の途中に道標があった。道は間違ってないことは確認で

きるが、まだ行程の半分しか来ていない事を知って、ガッカリしたり。

まだ登山道は峠に向かって下る気配を見せない。この辺りで慌てだす。

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落ち葉に道が隠されているので、此処まで地面の固さを確かめながら

歩いていたが、慌てすぎて道を失う。5分程のロスで戻ったが冷や汗

を流す。やがて登山道は小鳥越に向かって、尾根を下るようになった。

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12時24分、小鳥越峠に到着。車道を挟んで対面には白嶽方向への

登山口がある。さてガイド本には左手に、西辺へ下る歩道が記されて

いるがどうも見逃したよう。車道をかなり進んでも見つからないまま。

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歩道は直線的だが、車道はくねくね曲がっている。そうは知りつつも

戻る気も起らない。このまま車道を駆け下った方が早いかもしれない。

13時10分の快速あまくさ号に乗れないと、飛行機に間に合わない。

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ザックを担いで走るなんて何年ぶりだろう。集落内を西辺に下る道が

現れるまでは気が気でなかった。静かな集落内をバタバタと駆け下る。

途中の道沿いに、次郎丸嶽・太郎丸嶽の姿が格好良く見えたのが収穫。

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12時56分、今泉三差路のバス停に到着する。山頂から小鳥越峠は

コースタイムを10分オーバーしたが、峠からは10分短縮している。

あれだけ慌てていたのに、バスが来るまでの時間を長く感じる我が儘。

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13時15分、4分遅れで快速あまくさ号が来た。松島停留所で6分

のトイレ休憩が有ったので、コンビニで飲み物を買って一気飲みする。

ホッとして車内で眠っていた。目を覚ますと海を挟んで雲仙が見える。

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桜町バスターミナルで空港行きに乗換え熊本空港。ターミナルビルが

建替え中でプレハブだが、なぜかラッシュアワー並みに混雑していた。

到着した関西空港は、逆にシャッター商店街のように閑散としている。

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今日のBGM


DREAMS COME TRUE「決戦は金曜日」/ニッチェが本気で歌ってハモってみた!

金曜日じゃないけど・・・、少し気が多いハムなりにまわって来た道。