天草旅行二日目。低い山一つでも歩きたいと思うが、崎津集落観光を
考えると、どうしても無理だった。それほど天草は島と云えども広い。
本渡バスセンター8時20分発のバスで、一町田中央へ9時13分着。
ここで24分待って下田温泉行のバスを待つ。おばあさんが来られて
何処から来たと問われ答えると、芦屋に住んでいた息子が死んで葬儀
に神戸に行った事をひとしきり話していかれた。長閑な時間が流れる。
観光客が多い所なので、他所者に対する敷居が少しだけ低い気がする。
崎津には9時57分到着。ちょうど観光バスから団体客が降りられて、
集落に向かって行かれる。逆行しまずガイダンスセンターに立ち寄る。
映像で崎津集落の説明を見る。それなりに理解するが近代以降の説明
だけなのが物足りなかった。集落に向かう前に入り江を挟んで対岸の
教会撮影スポットに行く。海に面して小公園が設けられトイレもある。
昭和9年に建設された崎津教会。どこかで見た写真が忘れられず一度
訪れたいと思っていた。本渡からの道のりは峠を幾つも越えるもので
山奥へ向かうような行程。崎津が外界から隔絶していた事を実感する。
撮影スポットは教会を側面から見るので、岬に行って角度を変え撮影
したいと思うが、道路工事の為に途中で通行止め。途中で戻って来た。
長崎天草地方潜伏キリシタン関連遺産として世界文化遺産なのだそう。
そう云った事には興味が無く、此処に来てから初めて知る。ちょっと
した土産物街が出来ていたりするけど、集落自体は至って普通な感じ。
最近の建物は古風な造りに揃えてある。いろんな規制が有るのだろう。
カトリック教会なので参観は無料。但し教会内は撮影禁止。畳敷きは
珍しく、室内の壁は漆喰塗りで白く明るい。ハムも一応カトリックの
洗礼を受けている。小学校以来教会に行ってないが思い出す事もある。
1654年建立の崎津諏訪神社、偽装棄教した潜伏キリシタンが詣でた
神社だった。ロザリオの代りに種々の貝殻を聖具にしたという話も聞く。
そういえば昨日登った倉岳山頂の祠にも、色んな貝殻が供えられていた。
神社の裏手に500段の石段が伸びている。高い場所が有れば一応は
上っておきたい性格。コンクリートで作られた階段は均等で歩き易い。
チャペルの鐘展望公園に到着。大きな鐘が二つあり鳴らす事ができる。
南の羊角湾や亀浦の展望が良いかろうと思ったが、意外に印象が薄い。
逆光のせいもあったろうが、標高が低いのでそこまで風景が広くない。
東屋に座っていると涼しい風が吹き抜けて、時間が過ぎるのを忘れる。
この後に大江教会にも寄ってみたいと思っていたが、バスが2時間に
一本しかない。今からだと13時台のバスに乗れるが、15時に大江
を出るのでは遅すぎる。観光は崎津集落だけで終えて帰ってしまおう。
もう一回り崎津集落を散策する。因みに朝方に見掛けた団体旅行者は
神戸の教会関係者だそう。もう他所へ行かれたのか、観光客は少ない。
土産物店の人も、辻に立つガイド?の人も穏やかでのんびりされてる。
名物だという杉ようかん(200円)を買ってみる。塩味が強い素朴
な甘さ。杉の葉は防腐剤代わりだろうか。下にも敷いてあり突き刺さ
ったまま食べた家族は、杉の味がするとか言う。そろそろバスが来る。
大江までの間は、国道389号線が4本のトンネルを連ねて直線的に
結んでいるのだが、産交バスは浦々を巡って行く。中々に美しい車窓
風景が続いた。軍ヶ浦で国道に戻り唐崎トンネルを抜けて大江に入る。
乗客は我々と単独の観光客。その人が車内でやたら写真を撮っていた。
それと知ってか大江教会が見える付近では、運転手さんがスピードを
落として下さった。産交バスは優しい運転手さんが多い。ハムも一枚。
下田温泉で乗換えて本渡バスセンターは14時29分。40分待って
快速あまくさ号に乗り二号橋バス停下車。宿に入ると既に夕日が落ち
掛けていた。とにかく天草諸島って広くて大きいというのを思い知る。
この日出会った動物:世界文化遺産・崎津集落で無防備に寝転がる猫