摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

倉岳(682m)矢筈嶽(626m)・・・熊本県天草市

熊本行きの航空券も2月に買ったもの。2度の欠航の末に宮古島行き

の一週間後に変更した。過密なのでキャンセルしようかとも考えたが、

ジェットスターが、今月で関空~熊本便は廃線だと発表して思い直す。

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昨夜は桜町バスターミナル近くの宿に泊まった。GoToの割引後で

一室3700円、地域共通クーポンが1000円付く。それも使って

九州産交バス天草島内3日間乗り放題切符5400円X2を買った。

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6時半発快速あまくさ号は8分遅れで、上天草島の松島停留所に到着。

早朝で渋滞もなかったのに、遅延を何とも思っていないようだ。連絡

するバスが無いからかも。鶴戸に寄るバスが来るのは1時間も後の事。

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10時5分。松島から35分で鶴戸停留所到着。乗客は我々二人だけ。

目指すのは倉岳。天草諸島の最高峰だが、それが主たる理由ではない。

適当なバス便が有ったからにすぎない。バス停から少し来た道を戻る。

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今回も山と渓谷社の分県登山ガイドを参考にしている。信用出来ない

と思いつつも、手っ取り早く調べることができる。立派な道標が現れ

先行きを安堵する。アルペンルートっていう名前がちょっと気になる。

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舗装された道を詰めると浄水場下で林道に出会う。此処に道標が無い

ので当然上り方向だろうと思って進んで行く。これが誤りだと気づき

浄水場の左下まで戻って約20分のロス。ガイドをロクに読んでない。

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浄水場の裏手を登って行く道は、廃道とまでは言えないが通行はごく

少ないようだ。倒木や枝が行く手を塞いでいる。コースタイム通りに

歩くと14時台のバスに乗れるが、それを逃すと17時まで便はない。

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尾根まで上がると廃道化した林道に出る。道標が倒れていて進むべき

方向が怪しい。林道は草茫々だったので、尾根伝いの踏跡を辿ったが

間違いだったのか鬼の岩は見ずじまい。もう14時台のバスは諦めた。

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ガイド本には「倉岳頂上まで車道が通じて荒れてしまったが、最近に

ルートが整備され蘇った」と記されているが、以降利用する人もない

まま再び廃道化が進んでいるよう。道には樹木の苗も生え始めている。

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踏跡も失い結局は草茫々の林道に戻る。前方に見えているのが米の山

(535m)と思われる。観光気分の軽い気持ちで入ったが、難しい

ハイクになってしまった。何よりも歩いていて楽しくないのが問題だ。

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天草の海と島々を眺めつつの縦走ハイク。なんて事を勝手に想像して

いたけど、全く展望もないまま廃林道歩き。左側に米の山頂上へ上る

道が現れるはずと探しながら進むと、ほぼ頂上直下で道標を見つける。

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12時9分、檜の人工林に囲まれた米の山頂上到着。ルート整備した

ものの歩く人がいない理由が分かる。コースタイムより20分遅れは、

浄水場下で道を誤ったからで、ガイド本のせいではなく我々の落ち度。

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稜線沿いに倉岳との鞍部まで下ったが、此処でまた道が怪しくなった。

このまま進むと左に下って行きそうなので、右へ転進してみると先の

林道に再び出た。どうやら林道は倉岳頂上近くまで続いているようだ。

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草木の繁る廃林道を上がって行くと、嘘のように奇麗に草刈りされ道

に出る。これが南麓の棚底地区から上がって来る延命道という登山道。

路傍に道標があり倉岳頂上が示されている。もう迷うことはなかろう。

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さて此処まで展望が無かったのは勿論、植生にも魅力が全くなかった。

暗い照葉樹の雑木林か人工林ばかり。島嶼の山では何かしら特徴的な

植生が有るものだがそれもない。この日唯一目を引いた針葉樹の大木。

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山頂が近くなったか視界が広くなる。ごく最近に草刈りがされている。

棚底地区には小中学校、それに天草高校の分校もある。遠足があった

のかも知れない。昔は敦賀の野坂岳も、遠足前に地区民で草刈りした。

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12時47分に、立派な石造りの鳥居と祠がある倉岳神社に到着する。

棚底湾から八代海に浮かぶ島々の眺めが見事だ。天気予報では昼から

晴れるという事だったが、まだ雲が多く視界もボンヤリしていて残念。

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海に向けた鳥居もある。さながら天空の鳥居かな。祠に賽銭代わりに、

いろんな種類の貝殻が供えてある。女性3人組のハイカーがいらした。

棚底から延命道を上って来られたが、下りは車道にしようと言われる。

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一段高い所が本当の頂上で一等三角点がある。棚倉小学校の同窓生が

設置した山名碑が立派。右手の看板には倉岳六峰アルペンルートって

あるけど、他の五峰って何処なんだろうか、最後まで分からずじまい。

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亀の甲羅のような物があるので、何だろうと思ったら小さな井戸の蓋。

開けてみると実際に水が溜まっている。昭和30年に尼さんが祈りを

捧げて掘り当てたという。未来永劫枯れないとも石碑に刻まれている。

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14時台のバスに乗ることは諦めた。むしろ早く下ると17時のバス

まで長く待つことになるので、頂上でゆっくりする。それが甘い考え

だとは此の時は思いも寄らない。これから進む矢筈嶽への平坦な稜線。

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頂上で休憩している間に3台も車が上ってきた。13時20分に下り

始めると、コンクリートで固められた歩道が続いている。しばらくは

車道に沿って行く。トイレや東屋のある広い駐車場を交差したりする。

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案内板によると矢筈嶽まで遊歩道が整備されているらしいが、その先

に下る道が描かれてない。僅かに不安を覚える。それに九州自然歩道

なんだそう。過去大分県や宮崎県で痛い思いをしてる難度の高い歩道。

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平坦な歩道から10mほど入った所が大権現。ガイド本ではピークと

記されているが、尾根上のコブですらない。ここも倉岳六峰に入れて

あるのかな。昔からの呼び名なら仕方ないが、造語なら首を傾げたい。

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遊歩道には林道が並走する。この道はMTBのコースとして利用され

ているらしい。但し轍が見当たらないので、どれほど通行が有るかは

不明だ。分岐の多い歩道より、矢筈嶽へはMTB道の方が分りやすい。

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三差路には九州自然歩道の道標。湯舟原という地名が記されているが、

何処なんだろう。何も示されていない背後の道が矢筈嶽への道だろう。

此の山域は林道に加えて、枝道がとても多い。それも迷いやすい一因。

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九州自然歩道の道標。先の道標から所謂「行ってこい」って事かな。

新しく立派な道標だが、カヤリ丸展望台を指す側には道らしきはない。

せいぜい踏跡って感じだ。阪神間に比べて九州はレベルが高いと思う。

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この後そのレベルの高さを、存分に味わされるとは夢にも思ってない。

歩道は林道と合流して金毘羅宮の大鳥居に至る。平成11年の建造で

宮田地区有志漁民一同と彫られている。鳥居をくぐると前方が開ける。

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14時20分、矢筈嶽頂上に至る。南側の眺めが良いが、狭い場所で

落ち着かない。花道登山道の標識があり、やはり最近草刈りされた道

が下って行く。一瞬ここから下ろうかと思うが、予定は崩したくない。

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大鳥居まで戻ると西側隅に道標があった。明神嶽から五月雨滝を経て

梅の木海抜0m登山口。何れも立派な名前だし不安に思う理由は無い。

バスの時刻まで2時間半あるし大丈夫だと思っている。まだ甘かった。

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人工林を下って行くと道路標識みたいな道標。MTB向けみたいだが、

やっぱり轍ができていないので、どれだけ利用されているのやら不明。

150m程の標高差をどんどん下って行き、てしご池への道を見送る。

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緩やかな尾根を辿って行くと、三角点の札のある場所で道が途絶える。

此処がおそらく明神嶽。なんとも言いようがない。現況では棚底から

延命道と花道を使い、倉岳と矢筈嶽を周回するコースがベストだろう。

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ガイド本に書かれている倉岳六峰アルペンルートは、一般に勧めらる

コースではない。明神嶽手前の四差路へ戻る。因みに馬頭観音と指す

方には地形図の破線路があるはずだが、見る限り全くの藪でしかない。

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明神様と指す方へ少し下ると石の祠があった。ガイド本によると此の

斜面を沢まで下るはず。先を行く家族が道は無いというが、ここまで

来れば適当に下って行くよりない。実際に分かり難くて踏跡の程度だ。

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 雨水の流れた跡か、人の歩いた跡か判然としない所もあるが、何とか

下って行ける。ひとしきり下った所で明瞭な道が横切る。それを無視

して下ると道がなくなった。人声を聞こえたような気がして右へ進む。

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すると再び明瞭な道に出た。石垣があり人工的に平地が作られている。

大昔の屋敷跡だろう。此処を抜けると沢筋に出る。下流の五月雨滝を

示す道標があるものの、草が繁っていて道があるのかは判然としない。

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沢を渡って草地を抜けると林道に出た。てしご池から下って来る道で

MTBのコースである旨の看板が倒れていた。高速で自転車が下って

来るので、ハイカーに歩いて欲しくないと、婉曲ながら記されている。

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林道を下って行くとコンクリ舗装の道となる。前方に見えているのが

319高地だが、その手前で舗装林道は南に方向を変えて下って行く。

此処までの状況から林道を下る選択もあったが、予定は崩したくない。

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林道から離れて稜線沿いに319高地を越えていく。確かに道は有る。

最初は植林帯だったので杣道という感じだったが、やがて古い廃道と

なった。やたらと蜘蛛の巣が多い。それも糸が太くしっかりしている。

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五月雨滝上の集落へ行き来する道だったのだろう。幅は広いし場所に

よっては深く掘れている。だが完全に廃道状態。枝葉が深く積もって

歩き難い事このうえない。所々で流されていて道を見失ったりもする。

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枯れた滝に太いクレモナロープが残置されている場所まで下ってきた。

道標が有るのでルートは間違っていないようだ。梅の木登山口方向に

一旦は進んだが、獣よけのフェンスが有ったので枯れ滝へ戻ってきた。

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明神嶽からの約一時間の下りは不快でしかなかった。蜘蛛の巣を払う

のも嫌になった。ルートを忠実に辿るのは止めて、ロープ沿いに下っ

てしまおう。急峻に見えるがコンクリートで固めて階段が作ってある。

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やはり獣除けのフェンスが現れるが、古い鉄の脚立が置いてあるので

乗り越えられる。農道に出て下って行けば、静かな梅の木集落。本来

のルートは西側の尾根筋を下るようだ。国道266号線に突き当たる。

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バス停はやや西寄りにあった。写真を撮っていたらバスが来た。反対

の松島行きだが、思わず乗ってしまった。このバスで松島まで行って、

快速あまくさ号で本渡へ回った方が、早いかも知れないと思ったから。

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でも運転手さんに聞いて却って遅くなると知る。倉岳校前で下車する。

乗り放題きっぷを持っているとは言え、優しい運転手さんで良かった。

左が矢筈嶽。歩いていると平坦に思えたが、見上げればそれなりの姿。

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学校帰りの中高生も家族が車で迎えに来ている。20分後に来た本渡

バスセンター行きに誰も乗らない。バスは本渡瀬戸をループ橋で渡り

天草市街に到着する。17時38分、今日はこの町の商人宿に泊まる。

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