8月のピーチのセールで仙台行きが安くて、5日間の日程で購入した。
ところが予約の午後便が乗客が少ないという理由で、計画欠航となり、
7時20分の便に振り替えた。でも自宅からは電車では間に合わない。
インパウンド向けのホテルが乱立し、安値で泊まれる難波で前泊する。
GoTo適用後一室1700円なので、乗合タクシーを利用するより安い。
週間天気予報が余り良くない。雨なら温泉巡りの旅になりそうで心配。
早朝便に振替えたので、半日の余裕ができた。旅行ガイドをパラパラ
見ていたら、駅からすぐ近くの観光名所があった。仙台空港から空港
連絡線、仙台駅で仙山線に乗り換えて、11時半に山寺駅に降り立つ。
土産物店や飲食店が立ち並び、いかにも門前町と言った風情の通りを
抜けて、石段を上がれば山寺こと宝珠山・立石寺。相当有名な所なの
だろうが、我々は全く知らなかった。平日でもそこそこの人出がある。
本堂は根本中堂と呼ばれる。比叡山延暦寺の流れをくむ天台宗のお寺。
招福布袋尊の木像。ご利益があるというので、参拝者に撫でられて光
っている。マスクの着用は求められるが、撫でる事に制限はなかった。
松尾芭蕉が「閑さや岩にしみ入る蝉の声」と詠んだのがこのお寺との
ことで銅像がある。茶店のある山門前までは無料区間だが、ころり大
往生阿弥陀如来なんて御堂もあって、地元の信仰を集めているようだ。
入山料300円を払って山門をくぐると、がらりと雰囲気が変わった。
一言で云うと全てが古い。沢山の石碑や石灯篭、石仏等あるが数百年
は経っているだろうと思われる物ばかりで、無信心でも見応えがある。
奥の院まで千段以上あるという石段が続く。家族が見ている高札には、
せみ塚の説明がある。後年に芭蕉の弟子が訪れ、句をしたためた短冊
を埋めて石柱を立てたそう。大岩壁に気を取られその存在に気づかず。
巨岩に全長約5mの阿弥陀如来が彫ってあるという弥陀洞。その姿を
見る事が出来た人には幸運が訪れるというが、信仰心の無い我々には、
到底無理だった。奥の院まで1015段あるという石段が続いている。
仁王門を抜けた一段上に四つの塔中支院が現存する。紅葉の時期には
岩壁に映えて美しいだろう。今はまだ僅かに色づいた木があるぐらい。
この付近で標高400m弱。左に見える馬形集落とは比高差100m。
それでも五大堂からの眺めは絶景。ちょうど仙山線の列車が鉄橋を渡
って行く。それはともかく雲の色が暗いのが気になる。先月の北海道
も、晴天には恵まれなかった。日ごろの行いに問題があるのだろうか。
最上部の奥の院まで来た。明治期に再建されたそうで比較的に新しい。
一通りの拝観を終えて下ろうとすると、中学生の一団が駆け上がって
来た。さっき五大堂から門前町を歩いているのを見たばかり。速いな。
伏見稲荷はお気に召さなかった家族だが、ここ山寺には感服した様子。
まあ来てよかった。列車が遅れたので滞在時間は2時間と限られてい
たが、山上までは思ったよりも時間は掛からなかった。ゆっくり下る。
少し話は変わるが、仙台に着いてから車中ずっと寒くて仕方なかった。
時節柄風邪をひいて熱でも出したら、宿にも泊まれない。だが山寺に
降りてからは普通に蒸し暑い。どうも列車の温度設定が低かったよう。
山門前の茶店で、山形名物の玉こんにゃく(100円)を一串買うと、
中に入って休んで行けと言われる。流石に二人で一串ではと遠慮した。
美味しかったので、二串とお茶でも買って休めば良かったと反省する。
門前町に降りたところで雨が降り出した。廃業した古い旅館が無料で
開放されていたので、30分近くも雨宿りさせて頂いた。2階から庭
園越しに仰ぎ見る山寺の風景は素晴らしくて、しばし時を忘れたほど。
来館者用のノートが置いてあり、絵の上手な書置きが多く楽しく拝読。
列車の時刻が迫り外に出ると、雨は上がっていた。最初通った時には
現在も営業中だと思った山寺ホテル。廃業してから十数年経つと云う。
山寺駅のホームからも五大堂や胎内堂が見える。仙台から面白山トン
ネルを越えて来ると随分山奥のように思うが市内には近い。24分で
山形駅に到着。まだ新しい駅ビル内で昼食を摂る。県内企業の直営店。
今夜は蔵王温泉の宿に素泊まり。夕食の買い出しに駅の西口に出ると
豪華なビルに驚く。でも繁華街のある東口は至って素朴。一時激しい
雨が降ったが止んだ。一時間バスに乗り蔵王温泉。又雨が降り出した。