摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

利尻・礼文の旅 五日目・・・礼文岳(490m)

礼文島3日目、昨夕から降っていた小雨は明け方に止むが、相変らず

周囲の山はガスに包まれている。天気情報アプリによると湿度98%、

しかし日程の都合で今日は礼文岳に登り、利尻島に戻らねばならない。

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バスの本数は限られているので戻っては来れない。濡れたテントを撤

収し荷物を全部持って行く。道道まで10分足らず、自由乗降区間

ので手を挙げればバスは停まる。6時42分、昨日と同じ高校生3名。

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10分程で内路(ナイロ)に着く。海沿いのバス停がそのまま登山口。

道路を挟んだ所にはトイレもあり、国立公園の体裁は整えられている。

看板が無くて民家と見えるが、北側には商店があり自動販売機もある。

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荷物を何処かにデポしたいのだが、車道から見える所に置きたくない。

とりあえず登山道に入って適当な場所を探そう。ところが取りつきは

急な斜面が続いて置き場が見つからない。この日一番つらかった箇所。

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ようやく尾根に乗り平坦になった所でデポしておく。礼文島には熊や

鹿、猪といった大型の野生動物はいないらしいので、荷物を荒らされ

る心配はない。荷は軽くなったが、気温も湿気も高くて汗が引かない。

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しばらくするとトドマツの森に入る。ガイド本には簡単に記してある

のみだが、関西では見られない林相だけに嬉しい。利尻山では樹林に

魅力を感じなかったせいもある。ほぼ平坦かと思える道を歩いて行く。

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次はダケカンバの森が現れた。トドマツと同じ様な白い幹だが針葉樹

と落葉広葉樹と全く違う種類。天候には期待できないが、こんな森を

歩いているだけでも興味深い。ただ北海道内の人は見飽きているかも。

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登山口から2km。山頂までも2kmの中間地点。とりつきを除くと

緩やかな道が続いた。標高は220m程。この場所に道標があるのは、

かつては、起登臼(キトウス)からの道との合流点だったからだろう。

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ここまでは休憩に適した場所がなかったが、乾いた露地があったので、

座り込み菓子パンの朝食を摂る。すると男性一人が下山して来られて、

元気に挨拶して頂いた。山頂方向はガスに包まれて、判然とはしない。

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登山道の傾斜が上がり、樹林から灌木へ、そしてハイマツ帯に入ると

小ピークに達する。此処にも休憩に適した岩場があって、しばらくは

座ってガスが晴れないか見ていたが、気配もないので山頂に向かおう。

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浅い鞍部に下り笹とハイマツの斜面を登り返す。風は強くガスは次々

流れて行く。ときおり青い空も見える。このまま快方に向かうと思え

るのだが、低山と言えども海風の影響を受ける離島ではままならない。

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すぐに先程いた小ピークさえガスって見えなくなる。展望が効かない

分、山野草に目がいく。姿の通りの名で「ネジバナ」という可憐な花。

家に帰って調べると意外に日本全国で見られるというが、初めて見る。

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8時57分、礼文岳頂上到着。コースタイムより少し遅いがまずまず。

帰りのバスの時刻を考えると、頂上に1時間は居られる。ガスが上る

のを待ってみよう。晴れていれば360度の展望、一等三角点がある。

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南西の風が強く吹いている。利尻山を見る事はかなわぬまでも、海岸

線ぐらいは見えないだろうか。東西に細長い山頂の東端に座って待つ。

しかし流れるガスは再び濃くなって、視界は数十メートルまで落ちる。

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もはやガスというよりは雲の中にいると言った方が正確だろう。風上

を向けば、カメラのレンズもすぐ曇ってしまう。海上を湿気を含んだ

風が流れ、礼文島に突き当たると、雲が沸き上がる様子が頭に浮かぶ。

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待っている間は暇なので、山野草の写真を撮ってみる。日頃は興味が

なく、マクロ撮影の経験も少ないので、失敗が多くて歩留まりが悪い。

イブキトラノオ(伊吹虎の尾)。名前の通りに伊吹山に多く自生する。

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ハナイカリ(花碇)。これも全国に分布しているらしいが、登山口の

案内板にネジバナと共に写真が載ってたぐらいだから、礼文岳ならで

はの花なんだろう。山頂の一角に群生しているが他所では見なかった。

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10時まで待っていたが諦めて下山する。途中で単独ハイカー3名と

すれ違う。登山道脇にずっと咲いていたヨツバヒヨドリの花。種子が

イカーの衣服に付いて広がったのかな。地味な花だが癒してくれた。

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下るにつれて青空が垣間見えるようになる。デポしていた荷物を回収

して、内路の港が見える所まで下ってきた。海が色がやけにキレイだ。

旅行は残り2日間ある、このまま晴れて欲しいと願わずにいられない。

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バス停まで下り東屋で休んでいると、途中で擦れ違った単独の女性が

下ってきた。家族が少し話をしていたが、やはり山頂では何も見えな

かったらしい。12時23分のバスが来る頃には、再び曇り空となる。

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現在、利尻・礼文間のフェリーは1日1便だけの運航。病院前で下車

し漁協のストアーでビールとピーナッツを買う。随分乗客が多い。阪

急旅行社の団体客や、視察らしき背広の一団。14時10分鴛泊着岸。

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フェリーターミナル近くの漁協ストアーに寄って、見切り品の鳥団子

とスンドウブの素を買う。レジの人が何か言ってるが曖昧に応諾する。

富良野産のスイカが700円になっていたので、デザート用に買った。

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港から徒歩20分で「ゆーにキャンプ場」。まだ時刻が早かったので

空いていて前回と同じ場所に張る。まずスイカを半分食べる。何だか

疲れてしまい温泉に行く気もせずにボーとしてたら、日が暮れてきた。

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もう夕食を食べて寝てしまおう。鳥団子は今日が賞味期限と知ってた

が、レトルトのスンドウブの素は、なんと2か月近く前に切れていた。

まあ美味しく食べれたので可。夕食後に残りのスイカを食べお腹一杯。

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