摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

生駒山(642m)・・・奈良県生駒市

前回の京都一泊山行が存外に楽しかった。何しろ毎日35度を超える

気温では、摩耶山や六甲山に入る気にならない。目先を変えて何処か

初めて歩く山に行こう。予約サイトで検索すると奈良の宿が安かった。

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阪神近鉄の相互乗り入れ以来、若草山を歩きたいと思ってはいたが、

運賃との兼ね合いから未だ行かず。でも一泊するなら採算が合うかも。

それだけでは時間が余るので、石切駅で途中下車して生駒山も歩こう。

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今日も朝早く出て石切駅に着いたのは6時40分。素朴な駅から南側

の住宅街に出ると、なぜかスパイスの香りがする。朝日を浴びながら

辻子谷沿いの急な坂道を歩いていくと、復刻された大きな水車がある。

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この辻子谷(ずしたに)はかつて44両もの水車があり、和漢薬種の

加工が行われていたという。現在も漢方の製薬工場が朝早くから稼働

していた。山の中腹にあり乍ら事業所が多いのはそんな訳だったのか。

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住宅街を抜けても舗装された道が続く。濃密な薮の繁る植生で、真夏

に歩きたい所ではない。予想では摩耶山の上野道みいたいかなと思っ

ていたが全く雰囲気は違う。朝から暑さが厳しく何度も休み水を飲む。

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谷の奥で舗装路が終わり、興法寺の参道となる。何やら立派なお寺の

ようだが、関心はないので門前を行き過ぎる。既に標高は400mを

越えているというのに、未だに土を踏んでいないのが気になっている。

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舗装された生駒縦走コースを越えて、やっと地道に入る所で通行止め。

一旦南側の舗装路に入ったが、山上の遊園地へはかなり遠回りになり

そうなので、もう一度戻ってきた。大きな声で言えないがワープする。

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8時35分。信貴生駒スカイライン沿いに遊園地の駐車場に到着する。

一時期存続が危ぶまれたが、幼児から低学年向けにリニューアルして

人気が復活したという遊園地。家族は子供のころに遠足で来たという。

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入場無料の遊園地とはいえ、営業時間前には入れないだろうと思って

いたが、駐車場の西側にある階段を上がるとすんなり入場してしまう。

見れば我々と同じようなハイカーや毎朝登山らしき人がチラホラいる。

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空は晴れているが湿気が多いせいか靄っている。ハルカスや六甲山も

見えるはずなのに同定できない。途中で朝食用のオニギリ弁当を済ま

せているが、園内にベンチが多数あるので、ここまで来ればよかった。

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さて遊園地内にあるという頂上を探そう。高みに歩いていけば、ミニ

蒸気機関車の線路内に一等三角点があった。もちろん柵が有って中に

は入れない。ところで此の場所自体は奈良県生駒市に位置するらしい。

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大阪府の山と思っていたが違うらしい。これがどんな意味を持つかと

いうと。国土地理院は山名(かな)を三角点のある自治体に聞き取っ

って決めるらしい。これについては言いたい事があるけど又にしよう。

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営業中なら戦前から有るという飛行塔(500円)に乗ってもよいか

なと思っていたが、サイクルモノレール(400円)の方が景色を楽

しめそうだ。だが営業開始までには1時間もあるので諦めて下山する。

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遊園地からは生駒ケーブルの線路に沿って宝山寺に下る。この道も又

やはり全面舗装されており、結局生駒山では一度も土の上を歩くこと

はなかった。底の柔らかいスニーカーを履いてきたのは良い選択かも。

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宝山寺は名前さえ知らなかった寺院だが、立派さに少なからず驚いた。

その独特の屋根の形は、ネパールのバクタブルで見た古寺を思い出す。

因みに石柱や刻まれた奉納金額が。今まで見た事が無い位の高額揃い。

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何故これほどの名刹を知らなかったんだろうか。大阪生まれの家族も

初めてと言う。参道を下っていくと昭和の雰囲気が色濃く残る旅館街。

町名もそのまま門前町という。石段に沿って料亭や旅館が並んでいる。

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車も自由に入れぬ所で、ほとんどの店が営業されているのが不思議だ。

平日午前10時前で歩いている人もいない。宝山寺の標高は350m、

そこから標高180mまで石段の道が続く。生駒駅は更に40m下る。

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下っていけば住宅街になるが、道には落ち葉一つない。歩いている内

に何だか張り詰めた緊張感を感じるようになった。実際は分からぬが、

他所から越して来たら住みにくそう。とか要らぬ事を考えてしまった。

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10時15分、近鉄生駒駅に到着。初めて来る町は新鮮で、なんだか

外国の町のような気さえする。今日は次の予定があるのでそそくさと

駅に向かう。方向感覚を失って、奈良行き電車の進行方向が解らない。

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