5月末に歩いた京都一周トレイルが思いの外楽しかった。次回に歩く
なら紅葉の季節と思っていたが、旅行予約サイトを見ていると、突然
猛暑の季節にも関わらず、行ってみようと思う。其の辺りは後述する。
4時30分に自宅を出る。淀屋橋から京阪電車に乗って出町柳駅到着。
7時2分スタート。両側に京都大学のキャンパスを眺めつつ、今出川
通を東進する。前回のトレイル離脱地点は、白川通が交差する浄土橋。
京都一周トレイルを完歩しようなんて気は更々ないが、交通の都合で
同じ所からのスタートとなった。此処から先、北白川の町並みは豪奢
ではないが、狭いながらも意匠を凝らした家が多く京都らしい住宅街。
比叡山や大津に抜ける志賀街道を渡るとバプテスト病院に突き当たる。
その擁壁の右側に沿って行く。誤って病院駐車場の奥まで行ってしま
ったが擁壁沿いに細い道が続いていた。クマが出るって本当だろうか。
山の中に入りトレイルの標識を見つけてホッとする。この付近は北白
川史跡と自然の道。左側にあるのは陶器製の案内書入れ。蓋を開ける
と精緻なイラストマップが入っている。左側の道を進むと大山祇神社。
曇り空だが非常に蒸し暑い。綿のTシャツを着てきたが既に汗でずぶ
濡れ。化繊の物にすべきだった。樹幹越しに比叡山を遠望するが、こ
の時は左側に平行して見えており、一直線に向かっていないのが不満。
8時34分。標高301mの瓜生山に到着。山城の跡だが展望はない。
此処までは幾つもの遺跡があり案内板があった。特段興味を引く物は
ないが、北白川も大昔は京都の人にとって山奥だったという事が解る。
林道が現れる。ようやく北に方向を変わり比叡山に向かっている気が
してきた。植生に見るべき物はなく、新緑や紅葉の季節を選んでくる
必要もなさそう。この辺りは単調な道が続いたと思うが、記憶も薄い。
東回りで比叡山に向かう道を分けて、トレイルは音羽川の源流を渡る。
瓜生山は花崗岩の山だそうで川床は真砂で埋まっている。六甲山系の
真砂よりも白い。もしかすると白川の地名はそんな所が由縁なのかも。
更に小さな沢を二つ渡ると水飲対陣之跡の石碑に出る。こんなに立派
な石碑がある位だから、有名な場所かと思いきやネット情報は僅かだ。
此処で修学院からの道と合流する。以降は道も広く。ハイカーも多い。
水飲対陣之跡から深く掘れた雲母坂をしばらくで、広い平削地に出る。
休憩に適した所で京都市北部の市街を見渡せる。ここでも休憩し水分
補給。既に1リットルは消費しているが、山上に自販機があるだろう。
杉林の倒木帯に分岐があった。右に行けば大比叡(848m)に近道
というが、展望はないので立ち寄るつもりはない。遠い昔に一度登り
に来たことがあるが、延暦寺に関して不快な思い出しか残っていない。
左へ直進していくとケーブル比叡駅に突き当たった。立派な車両だが
乗客は見えない。摩耶山のそれより遥かに歴史を感じる駅舎前に出る。
幸いな事に自販機が3台有り、良心的な値段設定だし良く冷えていた。
自販機で飲料を買うなんて久しぶりだが、此処で飲んだエビアンは味
の違いが分かるほど美味しかった。京都市街を遠望できる駅前広場で
しばし休憩する。その間にケーブルが到着するが乗客は1名と寂しい。
11時10分。ケーブル比叡駅を出発。京都一周トレイルの東山区間
は終り、標識が北山に変わる。此処を境にする理由は少々分からない。
つまり比叡山は北山なのか東山なのか。曖昧と言うか別格の存在かも。
車道を歩いて行くと人工スキー場跡地。こんな緩傾斜で楽しめたのか
不思議に思う。往時のスキーブームの異常さを感じる。18年前廃止。
右上の建物は山上遊園地跡で、今はガーデンミュージアムとかだそう。
スキー場跡から西塔に向かう道が良い。車が通らなくなって久しいの
だろうが、気持ちの良い草地の道となっている。西側の展望が開ける。
人工物の多い比叡山には何も期待していなかったので、これは拾い物。
進んで行くと休憩に適した展望広場もあった。山頂より此処を目的と
したハイクも良いかも。今日一日を通して一番眺望の良い場所だった。
さて此の先が問題。延暦寺境内を通過する。つまり拝観料の要る区間。
東海自然歩道の看板があり、ハイカーは料金所に申し出れば通過可能
とあるが、それも少々気が重い。奥比叡ドライブウェイを陸橋で渡る
と境内となり観光客の姿が多い。もちろん拝観はせずトレイルを追う。
それでも浄土院は門から美しい庭園が垣間見えたりする。ある意味で
今風な観光地ぽい雰囲気に仕上げてある。ただ自販機も売店も境内に
一切ないのは好ましい。ドライブウエイのバス停脇に自販機があった。
千円札を入れると釣銭切れ。飲み込んだまま帰って来ない。管理会社
に電話して来てもらうが、20分程のロスで済んだ。西塔の脇を過ぎ
るとまた山の中。結局一度も料金所を通過することは無く杞憂で済む。
ところで有料区間は延暦寺の好意でハイカーは通して貰っているのだ
ろうか。東海自然歩道のサイトを見ると、昔から一般の通行があり公
道扱いのようにも思われる。奥比叡ドライブウエイに沿って北に進む。
13時ちょうどに玉体杉に到着。ドライブウエイ沿いの道はアップダ
ウンも少なく歩き易かった。比叡山が思ったよりも遠くに見えている。
この道は千日回峰行のルートでもあり、横高山との鞍部までは重なる。
登山地図に横高山との鞍部(せりあい地蔵)に水場のマークがあった
ので、少々期待していたが、煮沸しても使いたくない溜水だったこと
を記しておく。横高山へは短いが急峻な登りで、休み休み登って行く。
横高山(767m)で昼食にしようと思っていたが、展望のない冴え
ない頂上だったので水井山(794m)まで足を延ばそうか。かなり
疲れているが、もう少し頑張ろう。それほど遠い距離ではないはずだ。
鞍部からの登り返しはやはり急峻。頂上近くの倒木帯で僅かに琵琶湖
が見える。13時25分、水井山頂上に到着。ところが横高山以上に
地味な頂上。一旦は座り込んだが蠅も多くて食事できる雰囲気でない。
倒木帯の上端まで戻ることにした。倒木をベンチ代わりに座る。今日
の昼ごはんは、魯肉飯(ルーローハン)のつもり。500gのコチュ
ジャンのケースに一人分づつ。しかし疲れ切った体には量が多すぎた。
さて水井山が今日のコースでは最高所。此の先にはピークもないので
後は下るだけとなった。北山らしい杉の人工林が大原まで続いている。
下りだから気にならないが、登りだと景色の単調さが苦痛になりそう。
14時48分、仰木峠に到着。この峠は大原と大津の仰木を結ぶもの。
往時は牛車も通ったであろう広い道がゆっくり下って行く。ところが
トレイルは途中で峠道を離れて、植林の中の急坂を下るようになった。
通称ボーイスカウト道と云うらしいが、自然を感じない植林帯で活動
させられる子供たちを可哀そうに思う。沢沿いに杉以外の鮮やかな緑
を見つけ思わずホッとする。獣除けのフェンスを通過すれば戸寺集落。
今回は記録用の無料アプリを起動させていた。距離は19km、上り
1417m。行動時間7時間25分。休憩時間1時間18分だという。
休み過ぎかな。戸寺バス停に着くと、2分後に京都駅行のバスが来た。
四条河原町で下車し大宮へ。3月ぐらいから京都のホテルが安くなっ
ている。観光客の需要が急減した為か、最低一室4千円前後からある。
それが7月下旬に見直すとこのホテルが 特に安い値段を出していた。
7月に運営が変わった開業記念らしい。基本ツインでシャワーのみの
中国人向け仕様。2名一室2520円だがGoToトラベル35%引、
予約サイト割引で1398円の支払い。別途宿泊税200円x2要す。