前回の山行から10日間は、相変わらずの梅雨空ですっきりしない儘。
その割に降雨少なく増水の期待もできなかった。ところが30日夕方
1時間で40mmを超える激しい夕立となる。なら沢に入ってみよう。
7月31日。朝起きると曇空だが僅かに陽が差している。家族は所用
があって来れない。JR摩耶駅から淡々と坂道を上がり杣谷道に入る。
杣谷第二堰堤を越えた所で河原に降りると先客。お食事中だったかな。
今日はナバ谷の遡行を目的としてきた。杣谷本流に掛る幾つかの小滝
をつまみ食いするように歩いて行く。水量はまずまず期待以上だろう。
来週以降は雨は降りそうもないので、梅雨の増水期は終りとなりそう。
杣谷道を歩いて木ノ袋谷出合の数十メートル手前。左岸から流れ込む
小沢が今日の目的のナバ谷。地形図に名前は記されていないが、古い
地図に入口の滝が、ナバ滝と記されているので便宜上そう呼んでいる。
入口から四つ小滝が連続するが、何れも名前が付くほど立派ではない。
その分通過し易く、全て直登して行けるのが楽しい。「なばたに」を
変換すると茸谷となる。キノコの沢山採れた滝或いは谷だったのかも。
最初は左岸に、その後は右岸に古いトラロープが残っている。これは
おそらく治山ダム建設時の通勤路の名残。沢沿いに歩ける余地がある
という事で、杣谷水系の中では古来から入り易い谷だったに違いない。
小滝群を抜けると最初の治山ダムに突き当たる。右岸斜面から適当に
巻き上がる。この谷には6基の堰堤がある。何れも兵庫県の造る治山
ダムで個々の名はない。それ故本来の美しさは大きく損なわれている。
ダム上は堆積地が続き、その後はガレが積みあがる。摩耶第五堰堤の
様子を見ると、ガレ自体が自然に生じたものでなくダム建設時に爆破
された物でないかと思ってしまう。本来は御影石のナメ床の谷のはず。
部分的に河床の露出する所はある。二番目の治山ダム前は今回の大雨
で堆積していた土石が流されたのかも。銘板に平成2年の事業とある。
それ以前に訪れてみたかった。その頃何をしてたのだろうと考え込む。
この谷は治山ダムを越える度に二俣があり、何れも左俣が本流である。
二番目のダムの上の最後の小滝は、右から容易に越えられるが、敢て
水心を歩く。大雨でヌメリのとれた花崗岩のフリクションが楽しめた。
さて谷が東へ屈曲すると長さ数十mのナメ床が現れる。今日の目的は
大雨後のこのナメの様子を見ることだった。堆積していた土石が流さ
れて、水量があれば見応えがあるのではと思ったのだが、どうだろう。
ある程度は目障りな堆砂は流されスッキリしたようだが、水量は期待
した程ではない。杣谷下流域の様子からすると少々意外だったりする。
でも水心をヒタヒタ歩いて行く感触は悪くない。また治山ダムがある。
三番目の治山ダムを越えると二俣がある。本流は左俣だが右俣に入る。
左俣には更に2基の治山ダムがある。右俣は最初は伏流しており水流
が現れたと思ったら、すぐ治山ダムが聳える。ここも右岸から越える。
この右俣は詰めれば天狗塚に至るというだけで、何か変化がある訳で
もない。何も考えずに淡々と高度を稼いで行くよりない。やがて水流
が消え、ガレ場を登って行くと沢筋から離れ急斜面を登るようになる。
其の内笹薮帯に入るが、数年前に花を咲かせ枯れている。手で払うと
でポキポキ折れてしまい手掛りにはできない。最初に来た時は随分と
辛い登りと思ったが、距離感が分かっている為か、それほどでもない。
やがて横幅20m程の岩場に突き当たる。これが言うなれば天狗塚の
基部であり頂上直下。ところが前回は直上出来たのに、右側から登り
易い所を選んで上がると、天狗塚のやや南側の一般道に出てしまった。
14時22分、長峰頂上に到着。湿気の多い大気で景色はやや霞んで
いる。日が陰っているかと思えば照らされたり。涼しくもないが強烈
に暑くもない。身体に籠った熱を冷ますべく、水を飲みじっとしてる。
粗熱が取れた所で昼食にする。キーマカレー。とは言っても一昨日の
夕食の残りを冷蔵して置いたもの。ターメリックライスだけ今朝家族
に作って貰う。常温でもそれなりに美味しく食べられて山ごはん向き。
一時間程頂上にいると、風が出てきて晴れ上がった。ラジオで梅雨が
明けたと言っている。ハチノス谷西尾根道を下る。杣谷渡渉点は朝方
に比べてめっきり減水していた。水道筋も野菜は高くて何も買えない。