神戸地方は7月に入ってから累計413mmの降雨があったが、この
数日は曇りの日が続いたので、何処か歩いてみたいと思う。とは言え
知らない所に入るのは怖い。マンネリな感はするけど地蔵谷に入ろう。
布引の滝は普段は観光用に計画放水されている。なので雄滝を見ても
上流の水量を推し量る事はできない。ただ貯水池が満水となれば直接
に生田川の水が流れ落ちているはず。思っていたよりも水量が多そう。
トゥエンティクロスから地蔵谷道に入ると、平凡な下流域はパスして
第二堰堤の上まで一般道を歩いた。堰堤上の堆積地に降りて準備する。
とはいえジャガーシグマを履いて来ているので、メットを被るぐらい。
地蔵谷へは降雨後の水量が見込めるときに入っているが、昨年と比し
ても数倍の水量がある。ただ両岸に余裕があるので最高位って訳では
ないだろう。先行する家族は濡れないように水際を歩いて行っている。
すぐ大きな釜を持つ斜瀑に突き当たる。普段なら水流沿いに登れるが、
今日は難しい。滝身左側壁から越える。最初に来た時は泥壁だったと
思うが、大雨の度に表土や立木が流され岩壁が剥き出しになっている。
斜瀑の上は明るい色のナメ状で、地蔵谷で最も楽しく歩ける所だが水
量が多く岩の色も見えない。水勢に負けて足を取られるほどではない
が、水量の少ない所を選んで歩いて行く。この上が地蔵谷道の渡渉点。
以降も暗い渓相ながらナメ状が続く。増水した事で岩のヌメリが取れ
ているのか、ジャガーシグマの食いつきが非常に良い。逆に言うと普
段の摩耶山は藻類が多くて、本来の実力が発揮できていないのだろう。
此処はいつも両岸の針葉樹林が五月蠅く写真は撮らない所だが、水量
が多ければ勢いで負けていない。緩傾斜の沢の水際を歩いているので、
此処まで二人共に膝下までしか濡らしていない。最後までそんな感じ。
第三堰堤手前の小滝は、水心にスタンスを求めるのだが今日の水量で
は難しいと、あっさり左岸の一般道に逃げてしまう。段々に陽が陰り、
かなり暗くなった。雨具は用意してないので、降らないで欲しいもの。
第三堰堤を越えた所で谷に戻る。平流が続くのでパスする事も多い区
間だが、この水量なら歩いても悪くない。此の先で右岸に支流が流れ
込む。大きな堰堤があるので、未だに歩いた事のないがどんなだろう。
再び一般道が渡渉する所にある小滝。両岸が狭まり釜も大きくて風情
を感じる。左岸沿いに越えるが外傾気味で見た目よりは注意を要する。
この小滝を越えると第四堰堤まで平流が続き、一般道が平行してくる。
表面を化粧ブロックで覆われた地蔵谷第四堰堤。ハイカーの目に配慮
したものだろうが、周囲の木々が成長し全体的に見え難くなっている。
一般道で天端を越えた所で、建設時の作業路跡を使い堆積地に降りる。
この作業路跡も年々薄くなりつつある。以前の状況を知らない人には
ただの斜面かも知れない。第四堰堤の上は三俣になっている。右俣も
渓相は良いのだが一般道がすぐ横にあるので、人が通ると恥ずかしい。
谷歩き気分を最後まで味わいたいなら中俣がお勧め。最初の内は少々
平凡だったりする。倒木があったり岩が不安定だったり、右俣の方が
良かったんじゃないと思い始める頃、前方に大きな斜瀑が見えてくる。
実際は近づいてみると大きな斜瀑ではなくて、小さな段差が連続して
いるのに過ぎないが、かなり奥まで水流が見えている様子はそれなり。
今日の一番の目的は、増水した此の区間の様子を見ることだったかも。
傾斜が緩い階段状の小滝が幾つか連続するが、全体を一つの滝と見る
のは難しい。岩質も安定しているが、滑りやすい黒い藻があるので注
意したい。先行する家族は外傾気味のスタンスでスリップしたという。
見下ろすと滝と言うより、河床の傾斜が急峻になっているだけとい
う印象。それでも摩耶山系では数少ない渓相には違いない。先の事
は考えず一瞬の沢歩き気分を楽しんでおこう。それは唐突に終わる。
無情にも治山ダムが立ちはだかる。常には最下部の水抜き穴から流れ
るぐらいだが、天端の水通しからも水が落ちている。初めて見る状況。
左岸からイバラの多い斜面を越えると、堰堤上はポンドになっていた。
仲西政一郎編「アルパインガイド近畿の山」昭和53年版では、中俣
を地蔵谷の本流と記されている。ただし最後の小滝群についての言及
がないまま黒岩尾根道に達している。それほど印象が薄かったのかな。
治山ダムの上は広大な笹薮となっている。いつもは頂上に近い東側を
強引に進んで行くが、今日は歩き易い流水沿いを選んでみる。何処を
歩いても上部に黒岩尾根道が走っているので、迷うことはないだろう。
ところが道が現れないままに、前方に見えるスカイラインに辿り着く。
思っていたより西寄りに歩いていたよう。越えた先からも水音が聞こ
て位置は想像がついた。尾根伝いに藪を漕いで黒岩尾根道に下り着く。
ゆっくり40分かけ掬星台に到着。変わった形の雲が天候の不安定さ
を物語っている。もうしばらく梅雨空が続くのだろうか。今日は家を
出るのが早かったので13時。ハイカーの姿もそこそこ見える掬星台。
昼食は簡単にラーメン。灘浜のスーパーで売っている極細麺が最近の
お気に入り。茹で時間は30秒。湯切りの為にザルも持ってきている。
ところがコンロの火力が低いせいか、写真を撮ったりしていたせいか、
家で食べるのとは全く違う、もっさりした麺に仕上がった。山ごはん
では久々の失敗作。帰りは山寺尾根を降りて水道筋に寄る。野菜類に
良い物が無くて、スイカだけ買って帰る。今日の歩数は36962歩。