神戸地方は昨日までの一週間で239mmの降雨があった。摩耶山の
谷でも相当の増水が予想される。常には水流の少ない小渓も違った表
情を見せてくれるはず。何度か通っている桜谷の支流に行ってみよう。
11時30分、山寺尾根を歩いて掬星台に上がってきた。ハイカーの
姿がとても多い。この一週間ずっと雨の日ばかりで、曇天と言えども
久しぶりの日和だということだろう。水道筋で買ったバナナで小休止。
掬星台から桜谷道を下って行く。目的の沢は桜谷の右岸から流れ込む
のだが、そこだけでは短いので左岸の支谷にも少しだけ入ってみよう。
普段は谷があるとは気づかずに、通過してしまいそうな水量しかない。
入口の斜滝のすぐ上に治山ダムがあり右岸から越える。苔むした廊下
状奥に1m程の小滝。その上には二基目のダム。この先は薮谷となる
ので元の桜谷道に戻る。時々陽が差して水流の清冽さが際立っていた。
再び桜谷道を下って行くと、摩耶別山から支谷が流れ込む。この沢を
遡行しよう。ところで掬星台から此処までに、擦れ違ったハイカーは
一組と日曜日にしては少ない。恐らく生田川の渡渉が難しいのだろう。
入口の2mハング滝を小さく巻き上がると、入渓したって感じになる。
ナメというほどでないが河床の岩が露出し、気持ちよく歩いて行ける。
奥にはダム工事の搬器が落ちているが、朱色だったものが退色著しい。
期待した以上に水量がある。何しろいつもは段差っていうような所も
滝っぽく見えている。この谷の特徴は、両岸の斜面の傾斜が緩いので
大雨で山崩れが起きる可能性は少ない。それ故にか堰堤は一基もない。
そういう意味では短いとは言え摩耶山系では貴重な谷。両岸の尾根も
低くて明るいのが好ましい。確か歩くのは五度目だが、水量が多くて
こんな所があったかと思う。多分渇水時とは風景が全く違うのだろう。
特に難しい所もなくて歩いて行けるのだが、飛沫が多いので下半身が
ずぶ濡れになった。二人共ズボンの後ろポケットに財布を入れたまま
忘れている。この辺りも小滝に見えているが、常とは全然違っている。
ブロックを乱雑に積み上げた様な滝。この谷は総じて岩はしっかりし
ているが、此処はスッポリ抜ける岩塊があったりで、少々注意したい。
さて此処を越えるとこの谷のハイライトと言って良い滝が見えてくる。
白布を垂らしたような斜瀑が現れる。下段も含めると比高差は15m
もあるかな。なかなか壮観だ。但し実際は傾斜は緩いし階段状なので
歩き始めるとあっさり通過してしまう。上部で若干傾斜が上るぐらい。
家族に写真を撮るから待って欲しいと言うが、とっとと行ってしまう。
後から聞くと飛沫ですごくて寒かったそう。最上部で高度感が出るか
と思っていたが、水量が多いせいで却って高さを感じなかったりする。
続く3mの小滝。ここも順層の段々がある。滝らしい滝は此処で終り。
今日もジャガーシグマを履いて来たが、フリクションに何ら問題ない。
むしろフェルト靴よりも歩き易い。増水でヌメリが取れていたのかも。
実際大雨で、河床に堆積した土砂や枯枝等が洗い流されているようだ。
ずっと川床が露出している。過去の記憶では藪を払ったり、砂泥の積
もる河原を進んだように思う区間なのだが、すんなりと歩いて行ける。
陽が陰ったのでヒンヤリしてきた。谷幅一杯に方形の岩が積み上る所。
左側の水流はいつも有るが、右側の岩に水が流れているのを見るのは
たぶん初めてだ。この岩を境にして雰囲気が変わり源流域らしくなる。
体力的にも気分も疲れてきた。谷歩きはもうおなか一杯という感じだ。
試供品のエナジードリンクを飲んで小休止。この付近からは不安定な
転石がある。右足で動かし左足に落としたりしかねない。後もう少し。
やがて水流は砂泥地に幾筋も別れるようになり、平坦な森の中を歩く
ようになる。此処は天井寺前駐車場の北側辺り。ドライブウェイに出
る手前に大量のゴミが散乱していた。以前はなかった事だけに残念だ。
掬星台に戻ったのは15時。遅い昼食はピーマンのドルマ。ピーマン
に挽肉と生米とスパイスを詰め、トマトジュースに顆粒のコンソメを
入れ、コンロで20分煮る。一応トルコ料理のつもりだがどうだろう。
同じく試供品のスパークリングワインは甘すぎて不味いけど、ドルマ
の味はまずまずだった。腰から下が濡れたままで温かい物を美味しく
思う。沢山いたハイカーの姿は少なくて、行楽客って感じの人ばかり。
上野道を下る。来る度に物が増えパラダイス化が進んでいる中腹広場。
地蔵様だと思っていた祠を覗くと違うみたいだ。何だろう羅漢像かな。
まあ関心は無い。水道筋で野菜を購入して帰る。今日は33742歩。