7月5日の日曜日。朝食を食べていると薄日が差してきた。この数日
雨雲に覆われた日が続いたので見逃せない。行動食にクッキーだけを
持って急いで家を出る。昨日・一昨日で100mmの雨が降っている。
いつもは水量が少ない七曲り谷も期待できよう。阪神西宮駅まで歩き
バスに乗ろう。同じ西回りでも7番鷲林寺線に乗る必要がある。だが
出た所で次は一時間後。遠回りにはなるが鷲林寺線東回りに乗車する。
40分かかって鷲林寺南口バス停で下車。既に標高は240m程ある。
住宅街を歩いて剣谷第4公園奥から入山する。七曲り谷左俣は3度目。
平凡な下流域はパスして、堰堤を二つ越えた所から入渓しようと思う。
中間尾根を登る関電の巡視路を右に見送って、左俣へ向かう道に入る。
2年前にダム建設にむけ大規模な測量が行われていた。その時につけ
られた作業路だろう。谷底まで下ると道は渡渉して右岸に続いている。
まだ治山ダムは一基しか越していない。多少は沢らしくなるが、すぐ
二基目の大きなダムが聳え立つ。今日の目的の一つはダム建設が始ま
っているや否やを確認する事だが、架線も見当たらないので未だの様。
二基目のダムは左岸から巻いていたが、右岸に立派な巻き道が出来て
いる。ただし天端からの下り始めがとても急だ。測量中は保守されて
いたろうが、沢沿い区間も何か所か崩れている所があり一般的でない。
二基目のダムの上流に降り立ち入渓する。今日も荷物を減らすために
水陸両用のジャガーシグマを履いて来た。この花崗岩の谷は摩耶山系
に比べると抜群に水質が良く、藻も少ないと思っているがどうだろう。
最初の小滝が現れる。3m程の高さだが堂々して好ましい。まずまず
水量もある。家族は濡れたくないと言って左側のガリーを登って行く。
ハムは右側の階段状を登ったが、此処には黒い藻があって滑りやすい。
緑色の藻ならフェルトシューズ並みのジャガーシグマも、黒い藻には
極端に弱い。若干前途を心配したが以降は少なかった。予報は一日中
曇だったが、陽が差したり陰ったりの繰り返し。雨さえ降らねばよい。
比高は低いが10m程の長さを持つ斜瀑。測量用ピンが打たれている。
摩耶第五堰堤ができる前、岩ヶ谷の入口にも同じようなピンがあった。
この滝もいずれダムの下に埋もれてしまうのか。残念だが致し方ない。
大雨の後は接着剤の役割を果たしている土砂が流れ、河原の岩が不安
定になっていることがある。滝場よりも平流を歩く時に注意している。
以前に直径1m程の大岩が動いて、足を潰しそうになった経験がある。
谷の傾斜が急に上がった先にある小滝。もっと水量があれば白布を掛
けたようで見応えがある。アルパインガイド近畿の山では8mと記さ
れているが、手前の岩の積み重なりも含めているのか誤りと思われる。
滝と呼べるのは最上部の3m弱でしかない。滝身の左が「くの字」型
に階段状となっている。トラロープが垂れているが、ホールドは多い
ので触らなくても良いだろう。頭から水を浴びて全身ずぶ濡れになる。
続くヌメッとした斜瀑が難敵。滝身右側のガリーを摺り上り、拳大の
チェックストンを掴んで体を引き上げる。家族は淀みなく登って行く
がハムには無理。左岸の巻き道を使う。身体が硬いからだと貶される。
斜瀑の上で二俣になっている。もう変化はない。平流となった左俣を
辿って行く。前回は台風直後で稜線近くまで水流があったが、今日は
すぐに無くなった。適当な所で稜線に出ると、笹薮の先に池が見えた。
モリアオガエルの雌だろうか、体長8cm程の蛙が灌木に張り付いて
いる。写真を撮っていたら腕がチクチク痛い。見ると大量の蚊が寄っ
てきている。慌てて虫除けスプレーを掛けるも20か所以上刺された。
あのカエルは蚊を捕食しようと狙っていたのかな。ほうほうのていで
主稜線の一般道に逃げ出し、北側に少し歩き展望地に至る。ソファー
型の岩に座って、行動食のクッキーを食べて、水分も大量に摂取する。
観音山の頂上には14時ちょうど。甲山や阪神競馬場が綺麗に見える。
パノラマコースを下って行くと、我々と同じように天気を見てから家
を出られたのか、遅い時間なのに登ってくるハイカーが数組いらした。
鷲林寺の手水鉢にアジサイの花が浮かんでいる。「花手水」といって
寺社で流行のよう。県道まで下り東回り阪神西宮行のバスに乗車する。
7-2系統コンプリートだ。往復共バス利用で15859歩と少ない。