昨日は夜半にかけ雨が降っていたが、明けた月曜の朝はスッキリした
青空が広がっていた。家族は年間パスを買ったが余り利用していない。
なので往復ロープウェイを利用して、山上ハイクに行こうと家を出る。
始発便に乗りたいと思ったが、急に思い立ったので準備に手間取って
間に合わなかった。というのも始発便なら中間駅での待ち時間がない。
星野駅に到着は11時8分。気温は8度だが風はなく寒さは感じない。
ドライブウェイを歩き天上寺前駐車場を過ぎた所で、冬枯れの水道管
管理歩道を下って行く。通年展望の良い尾根だが、落葉樹が葉を落と
す此の季節は一層明るい。右にこれから向かう新穂高を望みつつ下る。
正面には石楠花山が大きい。昨夜の雨で岩がまだ濡れていてよく滑る。
いつも以上に急傾斜に思えてしまう。どんどん体力やバランスが衰え
ているのを自覚している。この道を安全に歩けるのも後数年ぐらいか。
シェール道との四差路から徳川道を少し進んで、関電の巡視路に入る。
火の用心の標識が目印となる。この上の緩斜面は以前は何処を歩いて
良いのか判別がつき難かったが、ここ数年で良く踏まれ迷う事は無い。
六甲線の鉄塔を過ぎると岩場が出てくる。この付近を三枚岩と思う人
も多いが、西端のほんの一部分にすぎない。此処からは三枚岩の上端
を歩いていくのだが、藪が濃くて実感が湧かないのは残念に思われる。
それはともかく黒岩尾根や生田川の眺めが良い。黒岩尾根の北側には
歩いた事のない尾根や谷があるが、転居して西側からのアプローチが
遠くなって、面倒くさいを理由に行っていない。見所はあるだろうか。
手許の昭文社の地図では609ピークを経由して、新穂高頂上へ向う
ように記してあるが、実際には609ピークの直下をトラバースして
進む道があり、そちらが効率的だし迷いにくい。定番の展望岩に寄る。
この展望岩は残念な事に休憩に向いていない。ゆっくり座るに向いた
岩が無いし、隙間に落ちれば大けが必至。それでも新穂高唯一の展望
であるので、水道筋商店街で買ってきた徳島産のミカンで小休止する。
新穂高のもう一つの魅力は笹原だろう。展望岩から東側の稜線はほぼ
六甲山系らしい丈の低い笹に覆われている。定期的に新穂高に来たい
と思うのはそれが理由。いつもより鞍部への下りが大きく感じられる。
12時30分新穂高の頂上に到着。掬星台から1時間半も掛っている。
情けないほど足が遅い。時間も良い頃だシートを広げて昼食にしよう。
新穂高は意外に尖峰で、樹幹越しの展望もあって、とても明るい所だ。
白石温麺の昼食を終えた後は、南東へ一般道を下り、鞍部から東側に
降りて行く。シェール槍に向かう訳だが、一度歩いているので様子は
分かっている。生田川まで緩やかな谷が続き、通行に難しい所は無い。
薄い踏跡が有るような無いような。適当に歩き易い所を歩いて行くが、
最終的には右岸寄りに進む事になるので、それを念頭に置いておこう。
正面にはこれから登るべきシェール槍が、意外な大きさで聳えている。
思ったより水量の少ない生田川を徒渉する。簡単に渡れると思いきや
苔むした岩が昨日の雨で濡れていて、ツルツル滑って難儀する。もう
簡単なコースもゴム底では歩けない。それほどバランスが悪くなった。
林道状のシェール道を渡り笹原の斜面に取りつく。過去に歩いたのは
もう少し上流側だったが、何処も歩き易くはなかったので、違う所を
歩いてみよう。樹林の多い所を選んだ方が笹が薄くて歩き易いようだ。
斜面から尾根筋らしき所を歩いて行く。以前に歩いた所は笹の下に岩
が隠れていて歩き難かったが、今日のルートはそれが無くて歩き易い。
何処かに道跡か踏跡が有るのではと思うが、いまだに見つけられない。
やがて大岩が積み重なる様な所に辿り着く。この辺りは見覚えがある。
シェール槍西側の小ピーク直下。藪が濃くコース取りには苦労するが、
岩の上は平たいので休憩に向いている。二度程昼食を摂った事がある。
シェール槍の頂上が狭いので、込んでいる時に此処まで来る人もいる。
先程いた新穂高の眺めが良い。正面に見える鞍部から谷を下って来た。
新穂高は標高648mで、シェール槍は643mとほんの僅かな違い。
さて平頂の岩場からシェール槍の頂上までは、薄いながら踏跡が有る。
人工的な杭等も残っていて、かつては麓まで道があったのではと思う。
そのまま辿れば頂上だが、それは面白くないと右側へ回り込んで行く。
ごく短いけれどスッキリした岩稜がある。斜度もゆるいし階段状だが、
リッジへ回り込む一瞬に穂高湖側が、パッと開けて高度感さえ感じる
気持ちの良い所。なんて事は無い岩稜だがちょっと得した気分になる。
頂上には何故か竹箒が置いてあった。毎日のように登ってきて落葉を
掃き清めている人がいるのだろうか。シェール槍は人気がある割には
頂上が狭く。休憩していても他の人が登って来ると落ち着かない所だ。
なので今日もすぐに下ってしまう。途中に穂高湖が綺麗に見える所が
有った。右手にある堰堤が樹木に隠れているので、いっぱしの山上湖
に見えている。この景色を見て思わず「森トンカツ、泉ニンニク」と。
標高を落とすのが惜しくて東側からドライブウェイへ。掬星台に戻り
ロープウェイで下る。例のごとく水道筋商店街に寄って野菜や果物を
買って帰る。随分重いと家に帰って計ったら10kg。計1200円。