摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

山田堰堤上の岩稜尾根末端を北側から回り込む

11月29日の金曜日。家族は今日も所用があるが、ハムは相変わら

ずヒマ。先週に山田堰堤上の岩稜尾根を北から観察しようとして失敗。

なら実際に歩いてみるしかない。寒いが晴れの予報なら行ってみよう。

f:id:aw2q:20191130202731j:plain

神戸市バス16系統で六甲ケーブル下まで。表六甲ドライブウェイ

旧道を淡々と歩いて行く。先週より紅葉の色が褪せつつある。恐らく

此の付近の紅葉の見ごろは、今週末までだろう。風は弱いがやや寒い。

f:id:aw2q:20191130202749j:plain

六甲堰堤を過ぎた辺りから望む。目的の岩稜尾根は右岸の黒いライン。

日が当たっているが、明らかに左右の植生が違っている。六甲川左岸

の落葉樹はドライブウェイの客寄せのために、植林されたものだろう。

f:id:aw2q:20191130202810j:plain

山田堰堤上で六甲川の河原に下る。今年2月24日に取りついたガレ

の押出しから見上げている。できれば稜線通しに歩いてみたいと思う

が、装備はシュリンゲ2本。難しければさっさと諦めようという計画。

f:id:aw2q:20191130202825j:plain

少し遡行して大きなコンクリートの塊がある所。その対岸に小さな沢

が流れ込む。ガレに埋まっているので、今まで何度も歩いているのに

認識していなかった。濡れた岩ではトレッキングシューズがよく滑る。

f:id:aw2q:20191130202838j:plain

岩稜尾根の末端は急傾斜の岩場なので、ガレを少し上がって取りつき

易い所を探す。この時点で腰が引けているというか、とても稜線通し

に行けるはずがない。倒木や蔓が煩くて、ほんの僅か進むのも難しい。

f:id:aw2q:20191130202854j:plain

なんとなく獣道を感じる所があったので取りつく。すぐに頭上に岩場

が現われる。木が生えているので行けない事はないが、獣道が右側へ

斜上しているのでそれを追って回り込む。二三度そんな事を繰り返す。

f:id:aw2q:20191130202911j:plain

どんどん稜線から離れてしまって、右手にルンゼ状の地形を見るよう

にまでなった。これではいけないと、傾斜緩んだ所で稜線に向かって

斜上していく。その先には明るく抜けた所があるので展望もありそう。

f:id:aw2q:20191130203439j:plain

そう遠くない過去に崩れたろう斜面。灌木が生えてるがズルズル滑り

そう。此処しか通れないならともかく、登っても楽しくはないだろう。

そんな理由で自分を納得させ、ここも右手から巻き上ることにしよう。

f:id:aw2q:20191130203503j:plain

その代わり展望が得られた。右端には表六甲ドライブウェイの料金所

が見えている。堡塁岩や六甲ケーブル山上駅も見える。だが山田堰堤

が見えていないのが問題。つまり稜線はもう少し東側という事になる。

f:id:aw2q:20191130203521j:plain

しかし此処より左手は険しい岩場で進むのは難しい。上部に白っぽい

岩場が見えているが、多分昨年の台風で崩れたのだろう。どうもその

上が2月に家族が登りたいと言ったデコボコした岩場の様に思われる。

f:id:aw2q:20191130203539j:plain

右手に斜上して行くと、ようやく岩場の傾斜が落ちて来た。もう一度

左側へ折り返せば尾根に乗れるだろう。結局のところ此処までは斜面

の獣道を辿って九十九に歩いてきだけ。予想というか計画とは違った。

f:id:aw2q:20191130203604j:plain

尾根に乗ると山田堰堤が見えた。だが既視感がない。2月に上がって

来た所は、もう少し広かったように思う。一段下に松の木が生えてい

るから其処かもしれないな。この時は眼前の眺望に満足して確かめず。

f:id:aw2q:20191130203630j:plain

それにしても自分の記憶の頼りなさにガッカリ。季節が違うとはいえ

違う所を歩いているようだ。こんなに下生えが煩かったかな。もっと

スッキリしてたと思うが。ブログ写真を見返して思い出すのがやっと。

f:id:aw2q:20191130203650j:plain

中央奥が山羊戸渡の632ピーク。手前に日の当たった尾根は、猪の

の戸渡と勝手に呼んでいる。こうして見れば中々立派。先週歩いた細

尾根は日陰になって判別がつき難い。大きな松の木が生えている辺り。

f:id:aw2q:20191130203708j:plain

特徴あるピナクル状の岩を見て、やっと2月に歩いた場所と確信する。

その時と距離感も違うので、先程の展望所より下で尾根に乗ったのだ。

前回と同じ場所に座り込んで、菓子パンとテルモスのコーヒで小休止。

f:id:aw2q:20191130203726j:plain

次に知りたいのが、先週に歩いた細尾根との合流点が何処かという事。

しばらく歩くと浅い谷を挟んで、大きな倒木があり土砂が白っぽく見

えている。細尾根唯一の展望があった所だ。彼我の間隔は20mほど。

f:id:aw2q:20191130203743j:plain

ところが再び両尾根は離れていく。2500分の1の地図で見るより

標高の高い所で合流するよう。やがて歩いてきた岩稜尾根は斜面と同

化し細尾根に合する。スマホアプリで標高567mだが信用できない。

f:id:aw2q:20191130203904j:plain

今日は装備も持たず荷が軽いせいか、岩場での緊張も無かったからか

天狗塚までを短く感じた。白湯を飲んで小休止。先週夜に足がつった

ので意識的に水分を取る。余力があるから次の課題をこなしに行こう。

f:id:aw2q:20191130203935j:plain

天狗塚から杣谷への一般道を辿って、自然の家への分岐手前で西側の

谷へ下る。最後に勧進滝で杣谷に合流する支谷だ。中段に二俣がある。

其処へ下って左俣を登り返したい。六甲線一五鉄塔の手前に出るはず。

f:id:aw2q:20191130204000j:plain

最初はふかふかの落葉を踏んで下って行くが、やがて水流が現れると

河床の岩盤が露出するようになる。難しい所は無いはずという曖昧な

記憶だけ。自分のブログを読み返しもしなかった。下りはどうも苦手。

f:id:aw2q:20191201130004j:plain

二俣手前のスラブは一面が濡れている。水流上の落葉が恐ろしく滑る、

思わず尻餅をついてしまい、以降は腰を落としてズルズル下って行く。

確かこのスラブの下が二俣のはず、広く雰囲気の良い所だったと思う。

f:id:aw2q:20191130204020j:plain

ところがどうだろう。上の写真で右側から下って来た。左側にも谷が

あるかに見えなくもない。実際僅かに岩盤が濡れている。だが20m

程上にスカイラインが見えてる。尾根はすぐそこ二俣なんかじゃない。

f:id:aw2q:20191130204053j:plain

もっと下流なのかもと更に下るが、杣谷を挟んで対岸の尾根が見えて

自分の間違いを認識した。やはり先ほどの場所を二俣と誤認していた。

諦めてもう一度谷を登り返そうと考えるが、でもそれでは面白くない。

f:id:aw2q:20191130204124j:plain

右岸の尾根が低い。岩も多いので此方を登り返そう。もうすぐ15時

だが、金曜日だからロープウェイも夜間延長運行している。多少時間

が掛っても構わない。履いている靴が濡れた岩でよく滑ることも理由。

f:id:aw2q:20191130204147j:plain

右岸の尾根に乗ってしばらくで、二俣と思っていた所の上を通過する。

やがて風化し割れた岩場に突き当たる。大岩を縫うようにして辿って

行く。切り開きや踏跡はなく藪も五月蠅いので地味に体力を消耗する。

f:id:aw2q:20191130204204j:plain

左側斜面が白く輝いている。何事かと近寄ってみるとスラブが露出し

ていた。恐らく此処も昨年の台風21号の時に表土が流れたのだろう。

昔からあるなら、こんなに岩が白いはずがない。中段に剥がれた倒木。

f:id:aw2q:20191130204234j:plain

その根に乗ってスラブを見上げる。斜度は40度位かな。目測で幅は

約15m。縦は此の下側も含めて約20m。背の高い常緑樹に囲まれ

周囲からは見えないだろう。昨年の台風21号の爪痕は至る所にある。

f:id:aw2q:20191130204310j:plain

そういや青谷左岸にも巨大な岩壁が出現していた。尾根筋に戻り再び

藪を漕ぎながら高度を稼いでいると、明るい岩場がある。昼食休憩に

しようかと思ったが、いざ上がると展望も良くないし居心地も悪そう。

f:id:aw2q:20191130204336j:plain

諦めてアルバイトに戻る。岩がちなのに細かい灌木が多い。楽な尾根

歩きと言えない。この辺りの岩は種類が違うのか風化の仕方が面白い。

標柱の様な岩もある。藪を出来るだけ避けて、岩を登ったり降りたり。

f:id:aw2q:20191130204402j:plain

時間も体力も使ったが谷を登り返すよりは良かっただろう。飛び出た

のは六甲線一五鉄塔手前40m位。他所に着きようもなく当然の結末。

時刻は15時38分。鉄塔下の草地で遅い昼食にしよう。まあ疲れた。

f:id:aw2q:20191130204507j:plain

家族が「闇バーガー」と言って持たせてくれたサンドイッチ。桃色は

玉ねぎの酢漬けというのは分る。パテは何かな魚のようだがツナより

あっさりしている。そう悪くない。帰って聞くとサバの水煮だという。

f:id:aw2q:20191130204537j:plain

掬星台に辿り着いたのは16時40分。夕暮れも近づき観光客の姿も

少なからず。ロープウェイ改札開始のアナウンスがあったが、空の色

が何だかいつもと違っている。一本遅らせて景色を見て行くとしよう。

f:id:aw2q:20191130204649j:plain

夕暮れの町が淡いピンクに染まっている。こんな色合いは初めて見る。

臨時増発だという事で久しぶりの一人乗車。夜景を見に来る観光客が

多かったよう。水道筋商店街に寄って香菜(パクチー)を買って帰る。

f:id:aw2q:20191201221732p:plain

この山行は長峰大好きさんのインスタグラムを参考にしました。多謝。