11月29日の金曜日。家族は今日も所用があるが、ハムは相変わら
ずヒマ。先週に山田堰堤上の岩稜尾根を北から観察しようとして失敗。
なら実際に歩いてみるしかない。寒いが晴れの予報なら行ってみよう。
神戸市バス16系統で六甲ケーブル下まで。表六甲ドライブウェイの
旧道を淡々と歩いて行く。先週より紅葉の色が褪せつつある。恐らく
此の付近の紅葉の見ごろは、今週末までだろう。風は弱いがやや寒い。
六甲堰堤を過ぎた辺りから望む。目的の岩稜尾根は右岸の黒いライン。
日が当たっているが、明らかに左右の植生が違っている。六甲川左岸
の落葉樹はドライブウェイの客寄せのために、植林されたものだろう。
山田堰堤上で六甲川の河原に下る。今年2月24日に取りついたガレ
の押出しから見上げている。できれば稜線通しに歩いてみたいと思う
が、装備はシュリンゲ2本。難しければさっさと諦めようという計画。
少し遡行して大きなコンクリートの塊がある所。その対岸に小さな沢
が流れ込む。ガレに埋まっているので、今まで何度も歩いているのに
認識していなかった。濡れた岩ではトレッキングシューズがよく滑る。
岩稜尾根の末端は急傾斜の岩場なので、ガレを少し上がって取りつき
易い所を探す。この時点で腰が引けているというか、とても稜線通し
に行けるはずがない。倒木や蔓が煩くて、ほんの僅か進むのも難しい。
なんとなく獣道を感じる所があったので取りつく。すぐに頭上に岩場
が現われる。木が生えているので行けない事はないが、獣道が右側へ
斜上しているのでそれを追って回り込む。二三度そんな事を繰り返す。
どんどん稜線から離れてしまって、右手にルンゼ状の地形を見るよう
にまでなった。これではいけないと、傾斜緩んだ所で稜線に向かって
斜上していく。その先には明るく抜けた所があるので展望もありそう。
そう遠くない過去に崩れたろう斜面。灌木が生えてるがズルズル滑り
そう。此処しか通れないならともかく、登っても楽しくはないだろう。
そんな理由で自分を納得させ、ここも右手から巻き上ることにしよう。
その代わり展望が得られた。右端には表六甲ドライブウェイの料金所
が見えている。堡塁岩や六甲ケーブル山上駅も見える。だが山田堰堤
が見えていないのが問題。つまり稜線はもう少し東側という事になる。
しかし此処より左手は険しい岩場で進むのは難しい。上部に白っぽい
岩場が見えているが、多分昨年の台風で崩れたのだろう。どうもその
上が2月に家族が登りたいと言ったデコボコした岩場の様に思われる。
右手に斜上して行くと、ようやく岩場の傾斜が落ちて来た。もう一度
左側へ折り返せば尾根に乗れるだろう。結局のところ此処までは斜面
の獣道を辿って九十九に歩いてきだけ。予想というか計画とは違った。
尾根に乗ると山田堰堤が見えた。だが既視感がない。2月に上がって
来た所は、もう少し広かったように思う。一段下に松の木が生えてい
るから其処かもしれないな。この時は眼前の眺望に満足して確かめず。
それにしても自分の記憶の頼りなさにガッカリ。季節が違うとはいえ
違う所を歩いているようだ。こんなに下生えが煩かったかな。もっと
スッキリしてたと思うが。ブログ写真を見返して思い出すのがやっと。
中央奥が山羊戸渡の632ピーク。手前に日の当たった尾根は、猪の
の戸渡と勝手に呼んでいる。こうして見れば中々立派。先週歩いた細
尾根は日陰になって判別がつき難い。大きな松の木が生えている辺り。
特徴あるピナクル状の岩を見て、やっと2月に歩いた場所と確信する。
その時と距離感も違うので、先程の展望所より下で尾根に乗ったのだ。
前回と同じ場所に座り込んで、菓子パンとテルモスのコーヒで小休止。
次に知りたいのが、先週に歩いた細尾根との合流点が何処かという事。
しばらく歩くと浅い谷を挟んで、大きな倒木があり土砂が白っぽく見
えている。細尾根唯一の展望があった所だ。彼我の間隔は20mほど。
ところが再び両尾根は離れていく。2500分の1の地図で見るより
標高の高い所で合流するよう。やがて歩いてきた岩稜尾根は斜面と同
化し細尾根に合する。スマホアプリで標高567mだが信用できない。
今日は装備も持たず荷が軽いせいか、岩場での緊張も無かったからか
天狗塚までを短く感じた。白湯を飲んで小休止。先週夜に足がつった
ので意識的に水分を取る。余力があるから次の課題をこなしに行こう。
天狗塚から杣谷への一般道を辿って、自然の家への分岐手前で西側の
谷へ下る。最後に勧進滝で杣谷に合流する支谷だ。中段に二俣がある。
其処へ下って左俣を登り返したい。六甲線一五鉄塔の手前に出るはず。
最初はふかふかの落葉を踏んで下って行くが、やがて水流が現れると
河床の岩盤が露出するようになる。難しい所は無いはずという曖昧な
記憶だけ。自分のブログを読み返しもしなかった。下りはどうも苦手。
二俣手前のスラブは一面が濡れている。水流上の落葉が恐ろしく滑る、
思わず尻餅をついてしまい、以降は腰を落としてズルズル下って行く。
確かこのスラブの下が二俣のはず、広く雰囲気の良い所だったと思う。
ところがどうだろう。上の写真で右側から下って来た。左側にも谷が
あるかに見えなくもない。実際僅かに岩盤が濡れている。だが20m
程上にスカイラインが見えてる。尾根はすぐそこ二俣なんかじゃない。
もっと下流なのかもと更に下るが、杣谷を挟んで対岸の尾根が見えて
自分の間違いを認識した。やはり先ほどの場所を二俣と誤認していた。
諦めてもう一度谷を登り返そうと考えるが、でもそれでは面白くない。
右岸の尾根が低い。岩も多いので此方を登り返そう。もうすぐ15時
だが、金曜日だからロープウェイも夜間延長運行している。多少時間
が掛っても構わない。履いている靴が濡れた岩でよく滑ることも理由。
右岸の尾根に乗ってしばらくで、二俣と思っていた所の上を通過する。
やがて風化し割れた岩場に突き当たる。大岩を縫うようにして辿って
行く。切り開きや踏跡はなく藪も五月蠅いので地味に体力を消耗する。
左側斜面が白く輝いている。何事かと近寄ってみるとスラブが露出し
ていた。恐らく此処も昨年の台風21号の時に表土が流れたのだろう。
昔からあるなら、こんなに岩が白いはずがない。中段に剥がれた倒木。
その根に乗ってスラブを見上げる。斜度は40度位かな。目測で幅は
約15m。縦は此の下側も含めて約20m。背の高い常緑樹に囲まれ
周囲からは見えないだろう。昨年の台風21号の爪痕は至る所にある。
そういや青谷左岸にも巨大な岩壁が出現していた。尾根筋に戻り再び
藪を漕ぎながら高度を稼いでいると、明るい岩場がある。昼食休憩に
しようかと思ったが、いざ上がると展望も良くないし居心地も悪そう。
諦めてアルバイトに戻る。岩がちなのに細かい灌木が多い。楽な尾根
歩きと言えない。この辺りの岩は種類が違うのか風化の仕方が面白い。
標柱の様な岩もある。藪を出来るだけ避けて、岩を登ったり降りたり。
時間も体力も使ったが谷を登り返すよりは良かっただろう。飛び出た
のは六甲線一五鉄塔手前40m位。他所に着きようもなく当然の結末。
時刻は15時38分。鉄塔下の草地で遅い昼食にしよう。まあ疲れた。
家族が「闇バーガー」と言って持たせてくれたサンドイッチ。桃色は
玉ねぎの酢漬けというのは分る。パテは何かな魚のようだがツナより
あっさりしている。そう悪くない。帰って聞くとサバの水煮だという。
掬星台に辿り着いたのは16時40分。夕暮れも近づき観光客の姿も
少なからず。ロープウェイ改札開始のアナウンスがあったが、空の色
が何だかいつもと違っている。一本遅らせて景色を見て行くとしよう。
夕暮れの町が淡いピンクに染まっている。こんな色合いは初めて見る。
臨時増発だという事で久しぶりの一人乗車。夜景を見に来る観光客が
多かったよう。水道筋商店街に寄って香菜(パクチー)を買って帰る。
この山行は長峰大好きさんのインスタグラムを参考にしました。多謝。