先の名護旅行で美味しい物を食べ過ぎ、体重が大幅に増えてしまった。
少しは歩かなくては。新味の無いコース取りだが長峰山を横断した後
に掬星台へ登り返そう。難しい所はもう無理だしマンネリも止む無し。
とは言いつつも16系統のバスで、六甲ケーブル下まで来てしまった。
いったんバスに乗りなれると、もう車道を歩く気がしない。どうにも
困った習い性だ。弁天滝の上で徒渉し山に入る。時刻は既に10時半。
対岸に渡ると林道状。岩場が切れた所から、強引に右の斜面を上ると
古い道跡に出る。因みにこの林道状の部分、左は六甲川まで切れ落ち
ている。以前上ばかり見ていて落ちそうになった。注意する必要あり。
古い道跡を詰めれば小屋跡の様な平たい所に出るが、藪が濃くなって
いた。そこから少し下ると展望岩。新六甲大橋の眺めが良い。ドライ
ブウェイが近くて車の走行音が大きい。ゆっくり休む気にはなれない。
展望岩からは岩がちな尾根で快適に標高を稼ぐ。なんとなく踏跡があ
るようにも思うが、年々薄くなっている。ぐんぐん登ると、すぐに新
六甲大橋が足下に小さく、逆に山上の別荘群が良く見えるようになる。
岩尾根はやがて照葉樹の暗い森に消え、急斜面に獣道を沢山見るよう
になる。それを拾って行くのだが、急斜面ではイノシシは斜行しかし
ない。いつまでも付き合っておられず、強引に直上するよう迫られる。
単調で苦しいアルバイトの末に尾根に乗ったが、これは大月台へ下る
支尾根で、一般道に出るまでには、もう一登りせねばならない。適当
に歩いて行くと、ピッタリ三本の椎の木の所に出た。ちょっと嬉しい。
落ちたばかりの椎の実を少し拾って一般道を進む。公式には通行不可
とされているので、歩く人が減って伐採地辺りは藪が濃くなっている。
計画的な伐採が行われていた所なので、道の補修など期待したいもの。
伐採地を過ぎると道は落ち着きを取り戻す。関電巡視路やハチノス谷
東尾根の道を分けると、この一般道で一番好きな部分が現れる。清浄
な小笹の間の小路。休憩する訳ではないが通る度に写真を撮っている。
12時15分、天狗塚に到着。今日は晴れの予報だったのにボンヤリ
している。大陸から黄砂や PM2.5が飛んで来てると、ラジオで言って
いたがそのせいかな。昼食にはまだ早いので、少し休んで先に進もう。
山頂からは六甲線一三鉄塔への関電巡視路を下る。急傾斜で苦労する
道だが新たに太いロープが設置してあった。だが此のロープはクラレ
の純正クレモナロープでない。既に摩耗しささくれ立っている粗悪品。
関電の仕事だとは思うが少々残念だ。六甲線一三鉄塔まで下って来た。
昼食休憩にしよう。風当たりも弱くて、長峰山頂上を望む休憩好適地。
今日の昼食は家族の作ったリンゴ入りシナモンロール。カロリー一杯。
アメリカのケーキとかパンはあんまり美味しくないけど、ベーグルと
シナモンロールだけは別格。スーパーで売ってる物もすごく美味しい。
家族にはもう少し練習してほしい。そんな事を言うと本場に連れてけ。
それか本物を食べさせろって云われるのが関の山。日本で買うと高い。
昼食を終えたら、北西に下って行く。やや分り難い箇所だが、すぐに
現われる大岩の左を巻いて下ると、目標の支尾根に乗ることが出来る。
尾根上には下るにつれて古い道跡を感じるようになる。ダム建設時の
作業路だろう。一旦傾斜が落ちると、左側に飯場小屋跡らしき平地が
あり何処からか古い電線が現れる。以降この電線に沿って下って行く。
途中一箇所抜けた所があり、対岸に寒谷を見る。奥に見える三角形は
掬星台だろう。両岸の尾根が険しいが、特に南尾根の険しさが際立つ。
藪が濃い所もあり一旦は電線から離れるが、意識して歩き又合流する。
下り着くのはこの場所。杣谷道が摩耶第三堰堤を巻き上った所。行き
止まり方向に進むと、杣谷の河原に下る踏跡がある。以前よりしっか
りしているので、此処から寒谷北尾根に取りつく人が増えたのだろう。
寒滝はいつになく水量が多い。ここは寒谷北尾根の道を使って巻くの
が楽だけど、今日は久しぶりに右岸から巻いてみよう。岩場の切れた
所から取りつくが、堰堤上の溜水が多くて靴の中まで濡らしてしまう。
左足でバランスの取れない家族には、此のとりつきが少し難しかった。
浮き石の多い所で落石を恐れて交互に動くようにするが、むしろくっ
ついて同時に動く方が良かったかも知れない。日陰になりとても暗い。
河原から寒滝側壁の乗越しまで、ごく短い区間だが幾本も倒木があり、
様子が随分変わっていた。昨年の台風21号の威力を改めて思い知る。
過去に歩いた所でも、安心していてはいけない。寒滝上流へ斜行する。
幅広の小滝。家族は右岸を巻いて行ったが、左岸側の方が登りやすい。
続いて大きな治山ダムは左岸から越す。それにしても14時でも夕方
の様。晴れてはいても秋の太陽は低くて、東向きの谷底まで届かない。
堰堤を越えた所で家族が面白い物があると呼んでいる。行ってみると
ツチグリだった。幼菌から成菌まで色んな形の物が生えていて面白い。
普通にある茸だというが摩耶山で見たのは初めて。食べられるらしい。
堰堤上すぐの所で、左岸から流れ込むガレの押出しに入る。一見する
と谷の様には見えず、教えて頂くまで長い間見逃していた。入口だけ
見ていると、大きさも方向からも到底608ピークに至ると思えない。
しばらくガレが続くが、河床の岩盤が露出するようになる。階段状で
ぐんぐん高度を稼げる。もう少しカラッとしてれば楽しいが、暗くて
陰湿な感じなので、立ち止まることもせずに淡々と通過してしまおう。
寒谷北尾根中腹のプラトーからの作業路跡が交差すると、谷は荒々し
さを増す。傾斜はそれほどでもない。大きなガレが多いので崩して自
分の足を潰さないよう気を付ける。此処でも家族と交互に動いている。
頭上が明るくなり傾斜が増すと稜線も近い。もう後少しで普通の道に
出られる。明るい日差しも浴びれるかと思うと、急ぎ足になるが、藪
に引っかかったりして良い事がない。各々違ったラインで尾根に出る。
608ピークに登り着いた。ミツバツツジが密生し季節には薄紅紫に
染まる所。藪が濃いように見えるが、細かい枝も払われ道もしっかり
している。今の長峰山の登山道に比べれば、余程此方の方が歩き易い。
以前に比べて寒谷北尾根を歩くハイカーは相当増えたよう。降り積も
っていた落葉が無くなり土砂が露出している所も多い。オテル・ド・
摩耶のジャグジーの手前まで登って来た。晩秋の低い日差しが眩しい。
掬星台は閑散としていたが、ロープウェイはほぼ満員。乗客の大半は
六甲山牧場からの外国人観光客。平日17時30分が終発では夜景が
見れない。素通りも仕方ない。水道筋商店街に寄って野菜を大量買い。