外を走る車が水をはじく音で目が覚める。かなり路面に水が溜まって
いるようだ。5時過ぎに宿を出て空港に向う。すぐに土砂降りとなる。
予報では今日からずっと晴れだったのに、台風20号の余波だろうか。
空港には6時前に着いた。高速バスを2台見送って、6時40分発の
やんばる急行バスを待つ。今帰仁村の会社で、既存のバスより料金が
安い。運転手さんの沖縄っぽさも半端ない。シートベルトを締めよう。
今日は伊江島に行く予定だったが、空の様子から諦めて名護岳に変更。
名護市役所前で下車する。家族によるとスマホアプリの天気予報がや
けに当たるらしい。それによると、午前中にまだ雨が降るというのだ。
古代遺跡のような外観が有名な市役所。内部も見たかったが、今日は
即位礼とかで休日だった。思っていたより小さな建物。同じく名護の
繁華街もコンパクト。途中お弁当屋さんが開いていたので朝食を買う。
市街東端にあるあなだ橋。ひんぷんガジュマルが立っている。幸地川
の右岸を進むと、まず対岸にオリオンビールの本社工場が見えてくる。
左手には東江(あがりえ)中学校。ここまで町がシンプルで分り易い。
名護岳に登るには名護城公園をまず通らねばならない。県営の広大な
公園。名前からすると城址が中心の公園だろうと勝手に考え、神社に
続く石段を登って行った。雨こそ降っていないが、とっても蒸し暑い。
風格のある社殿から右に進んでいくと、遊歩道とは思えないワイルド
な雰囲気になってきた。まだ名護岳のとりつきにも達していないのに
息が上がり汗みずく。座って休憩したいとは思うが、適当な所もない。
此処が名護城址。只の広場で何も残っていない。ベンチも展望も無い。
無駄に稼いだ標高を捨て、車道まで下ると雨が降ってきた。傘を差し
淡々と歩いて行く。青少年の家には向かわず、ガンジュー広場に進む。
広大な芝生広場の一角に大屋根の休憩舎があった。市街の眺めも良い。
ソーメンチャンプル(100円)と、ジューシー(150円)の朝食。
椀に入ったジューシーが、「おじや」みたいな柔らかさ初めて食べる。
1時間近くも休んでいたが、少し小降りになって来たので出発しよう。
見えているのはたぶん前岳。このまま止んでと思うが、家族のスマホ
アプリによると、11時台はまた雨が降るそうだ。なぜかこれが当る。
舗装された遊歩道を外れて、登山コースに入る。入口に水道の蛇口が
あって水が出るのは熱中症対策かも知れず。この後も幾つか見かける。
青少年の家が管理する道にしては、藪が被さる所もある普通の山道だ。
大きな蜘蛛が行く手を遮る。なるべく巣を破らないように潜って通過。
名護岳は標高は345mにすぎないが、奥行きのある山で分県ガイド
の歩行時間は往復約3時間と案内がある。確かにそれぐらい掛りそう。
青少年の家から直接上がって来る道と合流すると、再び激しく降って
きた。それに伴って湿度も急上昇。まるでミストサウナの中のようだ。
木製の階段があるが、なぜか不揃いな組み方で、滑り易くて気を遣う。
前岳というピークに到着。ここから思ったより急激に下る。いやいや
僅か345mの山でこんなに下るものか。帰りに此の道を折り返すの
は嫌だな。相変わらず不揃いな木組みの階段が、滑りやすく歩き難い。
ようやく名護岳頂上に到着。公園入口から休憩を含めて2時間も掛っ
ている。まだ雨は降っているしガスに囲まれてはいるが、なぜか晴れ
そうな気がして待つことにする。すると風が吹き抜け雨が止んできた。
まず南側のガスが流れた。右端に見えるのが久志岳かな。中央辺りが
辺野古地区。キャンプ・シュワブもある所。見えている海は太平洋だ。
山原(やんばる)というだけあって、山々が連なって奥深さを感じる。
名護岳の山頂は登ってきた方向を除き270度の展望がある。西側も
徐々に晴れてきた。南国らしい建物が並ぶ名護市街。その向こうには
登る予定の安和岳や嘉津宇岳。瀬底島や伊江島は霞んでいて見えない。
山頂には30分も佇んでいたが、3名のハイカーが登って来られたの
で下山することに。こんな雨の日にと思うが、今日は即位の礼で休日。
北東に下る道があったので進む。前岳に又登り返すのは御免被りたい。
照葉樹の森の中を順調に下って行くと、10分足らずで舗装路に出た。
県道18号線という標識がある。並行して歩道もあるようだが、また
雨が降って来ると嫌なので、このまま下山してしまおう。山行は終了。
ヘゴの木があって、ちょっぴり南国ムード。でも全体的には照葉樹が
多くて温帯の植生。登りもそうだったが、この車道歩きも随分と長い。
右の谷沿いに沢コースという道もあるが、下りで入る気にはならない。
前方には天上展望台が見えてきた。眺めがよさそうだし登ってみよう。
広い駐車場があり大型バスも入れるらしい。ちょうど食事時で数組の
方が休憩しておられた。3階まで登ると涼しい風が吹き抜け汗が引く。
もちろん展望も良いし、広くて大勢での休憩にも向いている。名護岳
では一番気持ち良い場所だった。でも分県ガイドには青年の家からの
ピストンコースしか紹介されていない。もったいないというか残念だ。
展望台で30分休んだ後は「さくらの園」に下る。1月末からヒカン
ザクラが咲くという。ニュース番組などで見たことがあるように思う。
右手の山上にはビジターセンターがあったそう。立ち寄れば良かった。
深い谷間を立派な吊り橋で渡る。名護岳は山としては、さほど魅力が
ある訳でない。中腹の名護城公園と合わせて楽しむぐらいの気持ちで
臨むのが良いと思われる。橋を渡るとヤシの木を見て元の南口に下る。
15時にオリオンビールの工場見学を予約しているが、まだ々時間が
ある。東江中学校裏の「ひがし食堂」で氷を食べよう。ところが店内
は満員で20分ほど待つ。普通に食事して氷も食べるという人が多い。
ぜんざい(280円)とミルクぜんざい(390円)を注文。小豆で
はなくて、金時豆のぜんざいにフワフワのかき氷が乗っている感じだ。
家族が気に入って絶賛しているが、ハムは白玉がやわくてどうだかな。
お楽しみはこれからだとオリオンビール工場見学。小さな工場なので
効率よく見て回れる。ただし休日でラインが止まっていたのは残念だ。
沖縄のアサヒドライは全てこの工場で、OEM生産していると教わった。
同じ味が作れるのかと聞きたかったが、質問タイムはなく試飲となる。
流石に出来立てのビールは美味しいが、つまみのビアナッツはどうか。
無料なのに何言ってると叱られそう。見学も興味深く親しみがわいた。
夕食に予定しているお店は18時から。市役所近くのビーチに行って
時間を潰した。泳いでいる子供もいるので、まだ水温は高いのだろう。
雨で急遽予定変更したが、まずまずの一日。明日は晴れるのだろうか。
予約している為又(びいまた)の宿は、市役所からだと40分程歩く。
その途中にあるのが「とびきりステーキ」。とてもコスパの良い店だ
ったので別項で紹介したい。宿はいつもと同じくMr.KINJYO。
家族のスマホ搭載のアプリによると、この日の歩数は36,438歩。