9月30日の朝。風は強いが雨は降っていないよう。予定ではレンタ
サイクルで、宮古島と橋で繋がっている島々をめぐるつもりだったが、
強風下に自転車で走るのは難しい。雨が降る前に徒歩で何処か行こう。
宮古島はまだ暴風域に入っていないし、来間(くりま)島なら歩いて
行けそうに思う。バスもあるけど島の人が町に出る為のダイヤで時間
は合わない。山ではないので途中で帰って来る事はいつでも可能だし。
7時13分に宿を出た。新築のホテルの横も工事中。現在の宮古島は
建設ラッシュだ。Mr.Kinjyo のホテルも2軒が稼働し、他に見かけた
だけでも2軒が完成間近。工事関係者の滞在も多く宿代は高騰してる。
久貝から国道390号線を南に下って行く。この国道は石垣島から海
を渡って、宮古島を経て那覇まで続くという変わり種。30年前にも
東平安名崎に自転車で行ったので、通ったはずだが全く覚えていない。
国道沿いにウプカー御嶽(うたき)との看板があり池があった。海水
が入り込んでいるのかと思ったら、湧き水らしく昭和30年位までは
集落の水源として利用されていたという。雨乞いも行われた水の拝所。
宿から50分程で与那覇湾を右手に見るようになる。左側は沖縄精糖
の工場や、市役所の支所も有ったりする大きな集落。護岸の上を歩け
るようになっていたので気分を変えて歩く。この先県道235号線へ。
歩道に巻貝が幾つも落ちてると思ったら、なんとカタツムリだだった。
全長5~8センチ。帰って調べるとアフリカマイマイという名前。食
用として養殖されていたが、寄生虫が居るので触るのも危険だという。
そんな恐ろしい生き物とは知らないまでも、踏みつぶさないよう用心
して歩いて行く。自転車だと何匹か轢いてるな。県道235号線と来
間島への交差点8時24分着。風もそんなに強くなく雨もまだ大丈夫。
来間島への農道を歩いていると、立派な鳥居が見えた。よく々見ると
形が神社の物とは違っている。ツヌジ御嶽という石造りの看板がある。
沖縄の拝所としては相当に近代的な造りで、あか抜けた感じさえする。
宮古島って30年前に来た時にも思ったんだけど、建築物に関しては
沖縄っぽさがない。赤瓦の住宅も見かけないしコンクリートの建物が
多い。度重なる台風被害の為なのかも。トウキビ畑の中を淡々と進む。
8時50分、全長1690mの来間大橋北詰めに到着。さすがに風は
強い。この橋は1995年に完成したものである。橋桁の下に見える
のは、宮古島の地下ダムから灌漑用水や電気を送るパイプラインかな。
宮古島の最高地点は標高109m。山と云える場所でもなく、川らし
い川は無いという。昭和60年代に島内2箇所に地下水を貯めるダム
が建設され約2400万トンの水が確保されているそう。なんか凄い。
橋の南東にリーフがあるようで白波が立っている。風も段々強くなり
時折フワッと体が持ち上げられる。まだ暴風域に入る前だろうけども、
帰りはどうなるかと心配になってきた。海水の飛沫でやや霞んでいる。
50トン級の船舶が航行できるように、中央部が盛り上がっているが、
海水面から13m程に過ぎず長さのわりに平坦な橋。橋を渡った所で
は道路沿いの草刈り作業をされていた。台風接近も平常モードみたい。
オシャレなカフェや雑貨店が並ぶ来間の集落を抜け、竜宮城展望台へ
到着。9時30分なので宿から2時間ばかり歩いてる。本当は島内を
一周したいけど、風がどんどん強くなると帰りが心配。ここで戻ろう。
竜宮城に模した展望台に上ると、渡ってきた来間大橋が一望に出来る。
歩いてきた実感よりも遠いし橋の長さもある。波立っているので海底
の砂が巻き上り不透明な海の色。晴れていればどんなにか綺麗だろう。
集落側の景色。来間島は周囲9kmで人口は165人という。手前の
建物はカフェで、その向こうが来間小学校。全然鄙びた感じではない。
この日も、後から二組も観光客が登って来たのでいつもは賑やかかも。
対岸に見えるのが白砂で有名な前浜ビーチ。東急ホテルがあり宮古島
の元祖リゾート。30年前に来た時に自転車で立ち寄り、海水浴した。
でもサンゴがある訳でもなく砂浜だけなので、すぐに飽きてしまった。
展望台の海寄りに遊歩道があり、来間大橋方面に抜けられるらしいの
で回ってみることにした。海面まで数十メートルの崖地上を歩いてい
る。最初の内は遊歩道らしく敷石もあったりしたけど段々怪しくなる。
展望台の下に看板があり、来間島憲法が掲示してあった。それによる
と島民は定期的に遊歩道の清掃をしなければならないが、草の成長に
追いつかないよう。国道沿いの歩道でも草が茂り通行困難な所がある。
でも石垣島に比べれば温帯的な植生で、格別南洋っぽい感じはしない。
眼下に港が見えてくると遊歩道も終わりに近い。終点には松の木を模
したコンクリートの東屋がある。短いが同じ車道を歩くより良かった。
遊歩道終点から船着き場に下るハチャ(端)の石段。1970年まで
生活物資も人の行き来も全て此処を通ったという。浜まで降りてみた
い所だが、この天気では仕方ない。少し下って大橋を眺め戻ってきた。
さて帰りはどんな具合だろうか。心配したほどは風は強くなってない。
来た時よりも車の通行が多い。どの車も30キロ程度でゆっくり走る。
歩道を歩く我々が、吹き飛ばされて来ないか心配してる車もいたよう。
橋の中央部辺りで雨が降り始めた。傘が差せる状況でもなし進むしか
ない。渡り切った所でタクシーが後ろから来た。手を挙げるが予約車
のサインが出てて助手席に人が乗っている。すまなそうに行き過ぎた。
ところが235号線の手前で戻ってきた。運転手さんによると家族を
何処かに送っていたそう。そういや石垣島でも同じパターンで乗車し
た。あっさりとハイキングは終了。久貝の宿までは1240円だった。
正午前に宿に着くと、やがて風雨が激しくなって買い物にも出られず。
夕方に雨が止んだので目星の食堂に行くがお休み。近くのマックスバ
リューは競合店がないせいかな、品揃えも値段もとても残念な状況だ。
なので島の駅という土産物店で、チリチキンとチャンポン弁当を買う。
酒類は大型ドラッグストアで買った。左端の黄緑色の物はサツマイモ
のペーストで家族のデザート。という事で宮古島の2日目はおしまい。