2019年6月27日、熱帯低気圧が室戸岬沖で台風3号(Sepat)
となり、神戸地方でも67mmの雨が降った。気象台の概況は大雨
としているが、それほどでもない。28日金曜日、杣谷上流が良い
具合かもと入ってみる。杣谷本流の摩耶第3堰堤下の斜爆。足なら
しに此処から入渓する。水量はまずまず多いが、やや茶色く濁って
いるのが残念だ。すぐ左に一般道があるが、平日なので人影はない。
水流左側の平易な階段状を辿る。見た目は迫力あるが、さほど濡れ
ずに済んだ。此処は一般道の巻き道の方が微妙に滑り易そうで苦手。
冬に凍っている時には、滝右側のガリー状を上り下りした方が安全。
摩耶第3堰堤を越えた所で長峰山側から流れ込む支谷に入る。古い
地図にはナバ滝と記してある。名前が付くほどの滝とは思えないが、
いくつかの小滝が連続する。岩も固く階段状で楽しく登って行ける。
水量は期待していたほどは多くない。逆に言えば平時はごく少ない。
「山高きが故に貴からず、樹あるをもって貴しと為す」と云うが滝
も同じでナバの意味がキノコなら、茸があったので名がついたかも。
此の谷では一番風格のある小滝。上段は水流左手の苔の生えたリッジ
を登るが、スタンスになる所の苔が剥げているのは、結構登る人が多
いからだろう。杣谷道では暑くて仕方なかったが、今はちょうど良い。
続く岩溝状の小滝。この谷には治山ダム建設時の通勤路を確保する為
右岸にトラロープが張られている。下流ほど古く此の付近では黄色の
部分が溶け、黒い部分だけになっていたりする。頼るのは非常に危険。
前回は巻いたであろうこの滝。向かって右の水流がジャンプしている。
真ん中に取りついて、右足をその窪みに入れられれば上れた。普通の
人には簡単だろうが、体の固いハムには、とても面白い登り方だった。
その上で最初の治山ダムが行く手を遮る。この谷はこれ以降滝らしい
滝はないので一旦遡行を止める。右岸尾根の踏跡へ抜けようとするが
藪が多くて難儀した。左岸の尾根に逃げた方が良かったかもしれない。
木ノ袋谷出合手前の杣谷道に下り、再び杣谷本流に入る。古い鉄製の
取水施設を越えて最初の小滝。中央が登り易いだろう。上流のチェッ
クストン滝では腰から下がずぶ濡れになる。狭まった所ではゴーゴー
と迫力ある水音だった。すぐ杣谷道と合流する短い区間だが、いつも
それなりに楽しめる。摩耶第4堰堤は一般道で巻いてしまい、適当な
所で河原に下った。どうも以降は水量がグッと減ったように思われる。
摩耶第4堰堤上の堆積地を抜けると、左岸から勧進滝が流れ込む。多
少は期待してたのだが、いつも通りに、雫がしたたり落ちる程度の水
量だった。だから冬に氷結するんだろうが、それにしても少なく思う。
ユニークで好きな斜爆。ずっと続くように見えてながら、本流は中段
で左岸から岩溝状に流れ込む。見えている方が支流だというトリック。
今日は明らかに中段以降の水量が少なくて、あそこからと分かるかも。
次の小滝はどうも苦手だ。ヌルっとしていて滑りそう。フェルト底の
フリクションに自信が持てないせいか、最上部で抜ける所で思いっき
りがいる。すぐ上に杣谷道があるので、ハイカーが通ると恥ずかしい。
小さな段差も水量があればナメ滝状。想像力を逞しくすれば、滑床を
ヒタヒタ歩く気分が楽しめよう。心なしか今日は、五月蠅い羽虫類も
少ない。蜘蛛の巣にも全く引っかからない。彼らも大雨で一休みかな。
ナメ状が続いて出口に小滝。もう少し迫力あるかと思ったが、意外に
そうでもない。遠くから見ると三条の滝に見えるが、近寄ると中央の
水量が多くて一筋にしか見えない。水流の左にガバがあり楽しく登る。
この滝を越えた所で一休み。お茶を飲もうとしたら緊急事態。ペット
ボトル半分を凍らせて来たが、ほぼ溶けている。冷却の役割も兼ねて
いるので、これ以上滝巡りをしているとビールがぬるくなってしまう。
それを口実に遡行終了。カラカラと鳴る氷の音を聞き乍ら、杣谷峠か
らドライブウェイ経由で掬星台。天国ベンチ東側まで足を延ばし昼食。
どうにか冷たいビールを飲む事が出来た。家族の作った定番稲荷寿司。