6月9日になったギックリ腰は存外に軽傷だった。翌日こそ起き上がる
のも苦痛だったが、翌々日には歩く分には支障無くなった。一方家族は
不調が続いている。晴れの予報を聞いて、リハビリの口実で山に向かう。
久しぶりにJR灘駅から、王子公園を抜けて行く。今日は普通の山道を
歩くことにする。晴れてはいるが湿気を感じさせる。西郷川沿いに進む。
青谷道に入る前に確かめたいことがある。地理院地図には青谷東尾根に
破線路が記されている。その末端を確かめたいと思って、東寄りの路地
に入る。恐らくこの辺り。現擁壁は平成12年の施工だが、それ以前も
それなりに擁壁があったはずだし、登山路があったとは思えない急斜面。
道が見つかるとは思っていなかったが、完全に否定されてしまった感が
ある。いつも通り、青谷道に入ってすぐスイッチバックするような道で
尾根に乗る。此処も何度も通っているが、滑落しそうで怖くて仕方ない。
通称は青谷東尾根。数年前までは頻繁に歩いていたが、転居後は遠ざか
っていた。季節のせいか、歩く人が減ったのか、やや草深い感じがする。
短いし標高差も大してないが、登りがいの有る道。運動した気分になる。
此の尾根には2基高圧鉄塔がある。一番目の神戸港線一六鉄塔から対岸
の三本鉄塔(本当は4本ある。)に正対する。この尾根唯一の展望所だ。
大阪方面の景色も良い。二番目の鉄塔は草木が茂り、現在は展望がない。
大汗かいて地蔵前の広場に到着する。微妙にパラダイス化が進んでいる。
広場から北側に進んだ所から、摩耶東谷に下ろうとする。古い地図には
道が記されているが、今は踏跡もなく谷筋を下って行く気はなくなった。
地形からみて、天上寺や宿坊、売店等の汚水は東谷に流された。つまり
下水道の役目を担っていたはず。往時の人も歩きたい道でなかったろう。
谷筋には下らずに、ケーブルに沿って東にトラバースする。道の中央に
シマヘビ君がいて、どいてくれない。更に大正14年にケーブルが開業
後は、東谷の水質は急激に悪化したろう。浄化槽などもちろん無い時代。
一旦ロープウェイ虹の駅の下に出て、尾根筋の踏跡を追って下って行く。
そんなことで弥生滝や行者滝の行場も衰退し、道も無くなってしまった
のではなかろうか。一人で淡々と歩いていると、根拠もないことを考え
てしまう。弥生滝にある蛇口は、本流の水が汚いので引水してたのかも。
行者小屋上の岩場から山寺尾根を目指す。途中Sさんと出会い、色々と
お話を伺った。サンダル履きで二本の杖を突き、よくこんな所を下って
来られるものだ。餌を持参されているのを知ってか3匹の猫が付き従う。
青谷登山口10時発で掬星台到着が15時。ヤマレコだと「とても遅い」
と表示されるかな。疲れて天国ベンチに行く気もしない。東展望台のベ
ンチが空いていた。此処で昼食にしようか。ハイカーも観光客も少ない。
昼食は家族に頼んで、2回目のブリトーを作ってもらった。前回よりは
(本物でなく)アメリカの冷凍食品の味に近づいた。日本でもセブンイ
レブンにあるらしいが、豆は入ってないそうで、求めている物とは違う。
同じ谷道でも老婆谷には、荷車が通れるほどの道跡が現在も残っている。
それを考えると東谷から天上寺への道は、杣道程度であったのかも知れ
ないな。国土地理院の地図でさえ今は無い道を、いつまでも記してある。
摩耶東谷に太線の道が記してある古い地図。だが今日歩いた青谷東尾根
も太線で記してある。行者尾根が太字で書いてあるのは興味深い。但し
石楠花山に新穂高と併記してあったり、誤植も多くて信用は出来ない図。