摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

三枚岩下の断層を巡り、新穂高609ピークに登る

あまりアテにならないネット天気予報でも、連休中日の24日は天気が

良さそうだ。多少の混雑は我慢して摩耶山に行こう。いつもより早めに

家を出て、ケーブル山麓駅には9時45分に到着した。始発を待つ人が

多くて、10時前に臨時便が出た。ハイカーではなく遠来からの観光客

が多い。例年より色づきは悪いが、東谷の紅葉も陽が差せばそれなりに。

市街地では晴れていたのだが、掬星台上空は雲で覆われていて寒々しい。

掬星台からドライブウェイを歩き、掬星台下の駐車場先で水道管理歩道

に入る。この道も手入れされなくなり荒れている。土留階段の丸木も朽

ちつつある。下生えの黄葉がフワフワした感じ。徳川道まで下って行く。

シェール道に入り、生田川の徒渉点手前で北側の尾根に取りつく。踏跡

があるはずと探すが見当たらず、小堰堤の近くから支尾根に取りついた。

笹原の斜面を藪を分けつつ登って行く。まあ行きつく所は分かっている。

尾根が合流する辺りで、踏跡らしきが現れる。前方には高圧鉄塔が見え

ている。第4ルンゼの断層への下り口は何処だったか。もう少し上かな。

鉄塔にかなり近かったと思い出し、もう少し登ってみるとそれらしき所。

目印は三本の枝が伸びている倒木。この先で左に下れば岩壁の下に出る。

マヤニアンとでも名付けたいような4ルンゼの谷筋一杯に広がる断層帯

北側の1ルンゼ下にもバンドがあるので、両者は繋がっているのではと

考えた。それを確かめてみたいというのが今日の目的。さてどうだろう。

この岩場は非常に脆い。手を掛けると剥がれ落ちそうだ。また休日なの

で尾根道を歩くハイカーもいるだろう。稜線からの落石も考えられるの

で、一応メットだけは持ってきた。藪を漕ぐ時にも頭部の保護に役立つ。

3・4ルンゼ間の尾根を越え、3ルンゼに下った時点で、断層は続いて

いないようだと思われた。歩き易い所が見当たらない。家族は尾根に取

りついたが、どうも違うように思えて、ハムはもう少し遡行してみよう。

3ルンゼの広く岩が露出する地点まで登った。その間に断層帯らしきは

無かった。目的を見失ったことで、この山行は既に失敗に終わっている。

2・3ルンゼ間の尾根を登ってきた家族と合流し、2ルンゼへの下降点

を求めて登っていく。北側は険しいので、容易に下れるのは一箇所だけ。

見覚えのある松の木が現れた。その先に1・2ルンゼ間の岩尾根が見え

ている。この少し上が下降点だ。青空も広がって気分的にも楽になった。

扇のように広がる2ルンゼの要の部分に下ってきた。上部で落石が発生

すれば集中する所で、素早く通過すべきだが、ここまで来れば後は迷う

所もないので、ホッとして気が抜けてしまった。おやつ休憩と座り込む。

今日の行動食は家族の作った亥の子餅。ラジオのフランス語講座で和菓

子作りを習うというセンテンスに登場した。電子レンジで米粉から求肥

を作り、粒餡を包み、きな粉をまぶす。その姿がウリ坊に似ているとか。

休憩を終えて1・2ルンゼ間の岩尾根に上がる。家族は上がり過ぎてい

るが、帯状に傾斜の緩む部分があり歩いていける。ただ岩はとても脆い。

乗越しから1ルンゼの下へはバンドが続いている。これも一種の断層か

と思い、4ンルンゼ下の断層から繋がってるのではないかと考えた訳だ。

上の写真を撮るとカメラの電池が切れた。ちょっと待ってと家族に言う。

電池を入れ替えて見上げると、家族は1ルンゼを取りついていた。暇を

持てあまして、試しに登ろうとしたみたい。2ルンゼと違って岩は固く、

階段状になっている。過去に一度だけ登ったが、今日は準備をしてない。

家族はそのまま登って行きたいようだったが、降りて来てくれと頼む。

バンドから1ルンゼ北側の凹地に入ると、スカイラインが見えている。

これが609ピークから生田川に下る尾根であり、稜線には道がある。

稜線に出ると609ピークまで一投足。ちなみに此の道を下ると三枚岩

を俯瞰する所までは明瞭だが、そこで途切れる。所謂、行ってこいの道。

丸石がある609ピーク。樹幹の間から僅かに新穂高山頂が見えている。

東に進むと一般道に合流して展望岩に着く。肉眼では天上寺が良く見え

るが、休憩するには良い場所ではない。今日も山頂で昼食休憩にしよう。

落葉樹の葉が落ちて明るい新穂高の頂上に到着。家族は展望がないので

不満なようだが、ハムは静かで落ち着いた雰囲気を好ましく思っている。

昼食後は東へ下って徳川道へ。ドライブウェイに出るとハイカーが多い。

掬星台へ戻る途中、低い西日を透かして見ると、枯れ気味の黄葉も綺麗。

オテル・ド・摩耶の入口にあるバス停。標識は新しく作られたものだが

名前はそのまま。阪急バスは経費を掛けたくないだろうが、観光地とし

てはどうだろう。摩耶ロッジ名での営業は、23年前の阪神大震災まで。

気温は低いが、風がなく穏やかな日。山行としては失敗だったが、楽し

く過ごせた。混み合うのを嫌って最近休日は出渋っていたが、ロープウ

ェイも増発されて、意外にスムースに下山出来たし、そう悪くないかも。

赤線が今日歩いたコース。この写真は石楠花山の西六甲ドライブウェイ

から撮影した。今日は三枚岩側からも、車道を走る車が良く見えていた。

今日のBGM

Life will pass me by if I don't open up my eyes

目を開いてなかったら人生は過ぎ去ってしまう