摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

一人ぼっちの雲仙旅行(2日目)

今回の旅行の目的は、紅葉の雲仙登山。せっかく前泊したのだから

早朝から動きたいと、薄明るくなった午前6時に宿の裏口から出る。


宿は温泉街の南端にあり、まず雲仙地獄の横を通って中心街に向う。

キャンセルした温泉ホテルを横目にし、国道57号線を歩いて行く。

389号線との分岐で、やっと車道から離れ仁田峠への歩道に入る。

先ほど見た天気予報は、長崎県中ピカピカの晴れマークだったのに

どんよりとした曇り空。目指す雲仙岳もガスに覆われている。この

道は389号線に平行しており、池ノ原園地という公園を通過する。

7時20分、仁田峠駐車場。此処は、既に標高1000mを越えて

いる。相変わらずガスが巻いて諦めムード。ゆっくり登って行こう。

まず駐車場脇から、妙見岳のロープウェイ山上駅を目指す。とても

よく整備された道ではあるが、灌木に覆われて中々展望が開けない。

かなり登った所で路傍に小さな展望岩があった。ロープウェイ山上駅

まで展望が得られたのは此処一箇所だけ、座り込んで朝食を食べよう。

ロープウェイの架線が一望にできる好展望。晴れていれば紅葉も綺麗

だろう。朝食を終え8時になると試運転だろうかゴンドラが動きだす。

朝日が昇って、時折明るくなると紅葉が映える。このまま晴れないか

と、しばらく待っていたが駄目だった。体が冷えて来たので歩きだす。

ケーブル山上駅を経由し展望所まで上る。現在は妙見岳(1333m)

の頂上が、崩壊して立入禁止なので、実質的には此処が頂上と云える。

手前が普賢岳(1359m)奥に見えるのが平成新山(1483m)。

頂部が見え隠れするが、雲ではなく噴気ガスによるものだと思われる。

北へ進むと妙見神社がある。背後のピークが妙見岳の頂上との事だが、

登山道が崩落しているので立ち入り禁止となっている。この辺りから

前後にハイカーの姿を見る様になる。ロープウェイで上がって来られ

たのかも知れない。振り返ると妙見岳の岩壁が凄い迫力で見えている。

前方に、国見岳(1347m)。この付近の登山道は極めて歩き易い。

凸凹もない平坦な尾根道で、いかにも国立公園の歩道といった感じだ。

「国見分れ」という三叉路から、低い灌木に覆われた道を20分登り

国見岳の頂上に至る。残念ながらガスに覆われて全く展望が無かった。

再び「国見分れ」に戻ると周回路は、鬼人谷へ急激に下っていく。こ

の奇妙な名前の谷が、中々の雰囲気で今回の山行で一番印象に残った。

下り着いたのは「鬼人谷口」という三叉路で、仁田峠からの道と合流

する。此処から普賢岳の裾を北に回り込む。火山岩のゴロゴロした道。

道中「西の風穴」「北の風穴」と二つの洞窟があるが、見応えがあっ

たのは岩壁に根を張るヤマグルマの樹。「鳩穴分れ」から急登となる。

登り着くのは緩やかな稜線に、ニョキニョキと岩峰が生える立岩の峰。

最も平成新山に近づける所だが、見上げるので頂部が見えず迫力不足。

立岩の峰から南側の普賢岳平成新山が出来るまでは雲仙岳の主峰だっ

た訳だが、他のピークに比べて鈍重な山容で、やや名前負けの感がある。

普賢岳手前の浅い谷間で、前を行くハイカーが一眼レフで熱心に撮って

おられた。何かと思ったらモミジの落ち葉。真似して撮ってはみたが・。

緩やかな斜面をのんびり歩き、普賢岳(1359m)に到着する。東に

平成新山(1483m)。頂部に尖峰が、噴気ガスに見え隠れしている。

平日だというのに登山客が多い。この後も団体が次々と登って来られた。

快晴の天気予報に誘われ、紅葉狩りに来られたのだろうか。人気の山だ。

頂上西側は断崖になっている。覗いてみると一面の紅葉。だが鈴鹿等の

紅葉に比べると、樹木が貧弱というか矮小。火山灰の土壌によるものか。

その為に植林の対象とならず、現在まで落葉樹林が保たれているのかも。

まだ12時になった所だが、山頂が賑やかになってきたので下山しよう。

普賢岳から正面に妙見岳を望みつつ下っていく。なかなかに良い姿形だ。

標高1000mからのスタートにしては、変化に富んだ行程で楽しめた。

岩峰を見上げ乍ら、良く整備された道を歩いていると既視感を感じた。

韓国の国立公園の山を歩いているよう。仁田峠まで平坦な道が続いた。

13時ちょうどに、ロープウェイ仁田峠駅の横に設けられた展望所に到着。

なるほど平成新山が立派に見える。登山をしない観光客らで賑わっている。

ロープウェイの駅舎にどんどん観光客が入って行く。摩耶ロープウェイの

現状を考えると羨ましいな。駅舎前で地元の方が農産物を売っておられた。

試食すると甘くて美味しかったのでミカンを買った。まだ時間があるので

駐車場の南側にちょこんと見えている野岳(1142m)に寄ってみよう。

駐車場が標高1050mだから大した登りでない。幅広の歩道を歩いて行

くと、路傍に山頂を示す道標があり、踏跡程度の細道を登ると頂上に至る。

頂上は樹木に覆われているが、北と西に狭い展望岩があった。北側からは

妙見岳普賢岳平成新山を見る事が出来る。曇っているのが何とも残念。

西側には一眼レフカメラを抱えた人がいた。天気予報が良かったので来た

と云う地元の方。毎年来られているが、今年の紅葉はどうも御不満なよう。

また同じ道を、トボトボ歩いて仁田峠に戻る。季節外れのミヤマキリシマ

が咲いている。出来るなら家族と一緒に、ツツジの盛期に再訪したいもの。