摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

摩耶東谷の支谷を詰めて山寺尾根に出る

今日は10月の第三土曜日、リュックサックマーケットの開催日だ。

天気予報も悪くないし、久しぶりに摩耶山に行ってみよう。実の所、

歩き直してみたいコースがある。JR六甲道から摩耶東谷に向かう。

東谷の道は人跡が多くて、ゴミも多い。歩いていても楽しくはない。

気紛れに河原に降りる。僅かな距離だが、谷歩きの気分を味わった。

深谷第二堰堤の乗り越しで紅葉を見る。だが木も葉にも元気がない。

今年は豪雨や台風が続いて、山の木々が疲れているように思われる。

第二堰堤上の堆積地で、左岸から流込む支谷に入る。この谷に入る

のは3度目。出合から詰めまでゴーロに埋まった谷だ。水は伏流し

地表に流水を見る事はほとんどない。終始スニーカーで歩き通せる。

だが堰堤が多い。山寺尾根に出るまでに4基もある。最初の堰堤は

右岸から越える。左岸から越える事も出来そうだが岩尾根の末端を

木の根を頼りに登って準備運動するのも、最後の詰めに役立つはず。

二番目の堰堤は左岸の土砂の斜面から容易に越えられる。足拵えが

ゴム底だから堰堤越えも、それほどは苦にならない。沢歩きでは無

くて、ガレ場歩きに終始するのが、この谷の特徴。水音も無く静か。

二番目の堰堤を越えて小休止。今日の行動食は「つぶあんサンド」。

この谷を摩耶東谷の右俣と呼ぶ向きもあるようだが、水量の少なさや

流域の短さから、かなりの違和感を覚えた。ところが地理院地図を見

ると、本流よりも太く水色に塗られている。伏流する量が多いのかな。

いや現在は道のない所にも、破線が記してある地理院地図のことは、

それほどは信用していない。三番目の堰堤も左岸から容易に越える。

三番目の堰堤を越えると二俣がある。左俣には水流が有るが険阻で

遡行は難しい。流域も右俣に比べやや短いので、本流の右俣に入る。

ガレ場を少し登るとまた堰堤に突き当たる。手前には紫色の花を咲

かせた草が群生していた。そっけない谷歩きの中では唯一の色どり。

四番目の堰堤にはラダーがある。全ての堰堤がこうだと良いのにな。

四番目の堰堤の上で、谷は90度に屈曲し大きな岩壁に突き当たる。

谷底は相変わらずゴーロの積上がるガレ場で、通過は難しくはない。

その岩壁を見下す。麓から見ると緑に包まれて、平凡な山容の摩耶山

だが、岩山なのだと実感する。左岸は脆い岩と土砂の斜面でゴルジェ

とは呼べない。この付近から左岸の尾根筋に逃げることも可能かも?。

右岸の岩壁は百メートルも続くだろうか。さて此処を過ぎると最後の

詰めが待っている。冒頭に歩き直したいと記したのは、その部分の事。

最初に一人で来た時は、谷筋を最後まで忠実に詰めた。だが2度目

家族と来た時、右手の凹地に入り込んだ。すぐ上にはスカイライン

見えるので、容易に山寺尾根道に出れると思いきや、これがとても悪

かった。凹地はグサグサの土砂。尾根に逃げると脆い岩場で苦労した。

何よりも楽しくなかったし、遡行を中途半端に終えた感がして悔いが

残っていた。今日は家族も一緒に、最後まで詰めようと思う。改めて

見ると右の凹地の方が急かもだ。中間尾根はボロボロに風化した岩場。

岩の露出した喉のような部分までやってきた。突っ張り気味に登って

行く。枯れ枝や落ち葉が堆積して、煩わしいが難しくはない。問題は

その上の土砂の急斜面は、か細い木の根を頼りに登ったと思うのだが。

2年前の記憶なんてアテにならない。というか斜面の様子が変わって

いるのかも。左岸寄りに適当な間隔で木の根が露出し、かろうじて手

掛りになる。上部は九十九に獣道もあって、家族は軽快に登って行く。

傾斜が緩んで息を抜いた。登ってみればあっけないが、小さな達成感。

土砂の埋まり具合や何やかで、難易度は変化しそう。右の岩場の向う

には、山寺尾根の道があるのは知っているが、最後まで詰めて見よう。

登り切った稜線には山道が有った。東谷の行者小屋から登って来る道。

この場所は歩いていると、尾根上の盛り上りぐらいにしか思えないの

だが水道筋辺りから見ると、チョコンとした三角錘のピークに見える。

少し下って山寺尾根道。残り300米の丸木階段をヨロヨロと登って、

掬星台に上がると、青い空が一番に目に飛び込んできた。いつになく

リュックサックマーケットが賑わっていそうだ。ハイカーの姿が多い。

いや出品者は相変わらず少ない。一通り見て回ったが魅力的な出品も

ない。ここ数年は、中古品の買取販売店が盛況だが、そういった影響

もあるのかも知れない。フリーマーケット自体が役目を終えたのかも。