摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

岩ケ谷・右俣(の左俣)から長峰山頂上へ

5月連休は人出が多いから、家に引き籠っていようかと思ったが、

流石に何処か行きたくなった。どうも今日は気温が上がらないよう。

なら以前から暑くない時に、歩いてみたいと思っていた所に行こう。

夏季ならば杣谷下流域を遡行してくるとよいが、まだ積極的に水に

入る時期ではない。端折って一般道を歩いてきた。摩耶第5堰堤の

スリットから岩ケ谷に入渓する。堰堤工事で入り口付近の小滝群が

ガレに埋まり、遡行価値は半減したが、長峰山頂への登路としての

利用価値はある。今日は本流ではなく、右俣に入ってみようと思う。

5年前に一度歩いている。その時は右俣の奥の二俣を右に入った。

飯場跡のガレを過ぎると、小滝が現れる。思ったよりも水量が多い。

突っ張りから水流左へ抜けるが、家族は膝から下が、びしょ濡れに

なったと文句を言う。気温が低いし、確かに水は冷たく濡れたくない。

次のチェックストン小滝は、右岸にトラロープが残置されている。

だが支点は細い灌木だし、結束が甘いのでスッポ抜けかねない。

頼らずともバンドを斜上出来る。他にもあるが触らない方が良い。

その上は左岸が崩れて、大きな倒木が谷を塞いでいた。枝を乗り

越えて行くよりない。これも昨年10月の台風21号の痕跡だろうか。

樋状の斜滝を越えるともう二俣。こんなに近かったかな。5年前は堰

堤はなく、杣谷との出合から遡行しているので当然とも言えるのだが。

本流は左へ屈曲して行く。右俣の出合は6米ほどの小滝となっている。

渇水期は水流はなく岩壁にしか見えない。岩ケ谷は節理ごと剥離す

る脆い岩場が多いが、この滝は比較的しっかりしている。ホールド・

スタンス共多い。本来の落差よりも登っていると高度感も感じられる。

出合の小滝の上はナメとなっているが、多くの岩屑で埋まっている。

左岸は高い岩壁となっており、いつ落石が起きてもおかしくない所。

すぐに二俣となる。上の写真は右俣。2013年の6月に遡行している。

行きついたのはハチノス谷西尾根中腹の凹地。大した標高差はでは

ないのに、急な岩場の藪漕ぎ、それに暑さで大変疲弊したと記憶する。

今日は左俣を遡行する。前回の記憶から、まだ涼しい時期に来たい

と思っていた。改めて見ると、この左俣の方がスッキリして見えるが、

その時に右俣を歩いたのは、水量が多かったからか。覚えていない。

一つ小滝を越えると、谷は階段状のルンゼとなる。難しくないが浮い

た岩が多く有るので、落石には注意しなければならない。後続よりも

片足で起こした落石で、もう片方の自分の足を潰さないようにしたい。

岩がアーチ状に積み上がっているが、下は虚ろだった。その時は何も

考えず上を歩いていったが、写真を見ると崩れても仕方ないような所。

ノッペリした岩の上に水が流れている。何も此処を流れずとも、横に

凹地があるのにと思うのだが、この後も同様の岩場が幾つかあった。

また二俣があった。もはや何方に進もうとも大差ないだろう。頂上は

左の方が近いが、右手に岩場があったので、そちらに進むことにした。

左右に長い岩場が行く手を遮る。だが滝ではない。岩の割れ目から

水が浸みだしている。ここが岩ケ谷右俣の源頭ということになろうか。

岩の切れ目から上に抜けるが、この上には濡れた所はもう無かった。

後は岩がゴロゴロした斜面を、ひたすら高度を稼いで行くのみである。

左俣に入ってから、ずっと人の声が聞こえるような気がしてならない。

ハチノス谷西尾根を歩くハイカーか、長峰山頂からかと思っていたら、

ケーブル・ロープウェイ中間駅のアナウンスだった。やや強い西風に

乗って聞こえていたようだ。廃墟ホテルや三宮のビル群も見えている。

ピンクのモチツツジが一株。好きな花ではないが、ずっと殺風景な谷

を歩いてきたので、いつになくキレイに見える。稜線はまだ先だろう。

いつものように地形図等は見ていない。どの辺りに辿り着くのか予想

出来ない。だが何となく、中腹よりも頂上に近い所に出るのではと思う。

枯れた枝が一面に散乱する場所に出た。伐採地かと思ったが違った。

松林だったが害虫か病気が原因で、松が全て枯れ死した跡のようだ。

ハチノス谷西尾根の巡視路に出る。雰囲気から頂上はそう遠くない。

下降路は決めていなかったが、それなら掬星台に回っても良いかな。

長峰山頂・天狗塚でオニギリの昼食を摂る。下りは嫌いなので、此処

から伯母野に下るより、掬星台へ回ってロープウェイに乗る方が良い。

そう言えば、以前は青々としていた、写真左側の松の木が枯れている。

奥摩耶ドライブウェイの歩道は、斜面に生えた高木の花を、間近に

見られる所。今日は藤の花が見れた。下りのロープウェイ・ケーブル

とも満員。中間駅でのんびりしてたらケーブル一本乗り損ねてしまう。

ロープウェイ中間駅、15時30分、気温14.5度。歩数17,902歩。