摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

摩耶第5堰堤から六甲線一三鉄塔を経て、木ノ袋尾根を登り返す

昨日は木ノ袋谷の支谷を詰めて掬星台へ登り、ロープウェイで下った。

今朝起きてみると下りを歩かなかったせいか、それほど疲れていない。

ならば天気予報も良いし、ミツバツツジの見納めに行きたい所がある。

JR六甲道から杣谷へ。杣谷堰堤の乗越しにはシロバナウンゼンツツジ

が、一面に咲いていた。モチツツジを追い越して、早く咲くとはどうだろう。

摩耶第5堰堤のスリットを抜け岩ケ谷に入る。此処にはダム建設当時

の作業路が、堰堤の天端に向かってあったが、現在ほぼ残っていない。

だが登り易い場所を選んで凹地を登ると、シダ藪に道の痕跡がある。

地形図からすると、摩耶第2堰堤の乗越しから取りつくのが効率よく

思われるが、浮岩の多い急斜面で落石を起こすと杣谷道を直撃する。

やはり一旦は岩ケ谷に入り、その後も北側には寄らず岩ケ谷を右に

見ながら登って行くのが良いと思われる。シダ藪の中の痕跡を辿って

摩耶第5堰堤の上に出る。以前は此処に岩場が有ったが爆破された。

堰堤上から藪を分けて、一三鉄塔から下って来る尾根に乗る。この

尾根の末端は大きな岩場なっている。尾根に乗ってしまえば後は楽。

細い踏跡が一三鉄塔まで続く。この株は例年早めに咲く。開花を待ち

切れず勇み足した時も、何かしら見せてくれる。今日は終わりかけか。

決して展望の良い尾根ではないが、路傍の岩に乗ったりすれば掬星台

が望める。右手の尾根が寒谷南尾根。奥には掬星台の電波塔が見える。

今日の最初の目標である六甲線一三鉄塔に到着。鉄塔下に座り込み

家族が持たせてくれた6個のオニギリの内の2個食べる。新緑がキレイ。

高圧線に沿った北側。日当たりが良いので此処も盛期を過ぎている。

関電の巡視路を登り、ミツバツツジの密生地にピストンしてみよう。

倒木の多い斜面にミツバツツジが群生する。新緑との対比が良い。

この付近は掬星台から見ても、斜面が薄紫に染まって見える所だ。

この辺りでは沢山写真を撮ったが、くどいので此の位にしておこう。

巡視路の上部は開花してないだろうし、一通り見たら元へ戻ろう。

一三鉄塔北側からナパ谷へ下る急峻な谷に入る。上の写真は少し

下った所から見上げたもの。土砂の詰まった谷をずり下がって行く。

ナパ谷の下から2番目の堰堤上に降る。上流方向に小滝を越え進む。

正面に六甲線一四鉄塔が見える。右岸は低く少し登れば稜線に出る。

尾根に乗れば木ノ袋尾根が見える。この尾根もミツバツツジが多い。

少し下ると展望の良い架線場跡。良い休憩地で何度も利用している。

杣谷道へ一旦下るのだが、木ノ袋という地名について考えてみたい。

現在の地形図は、木ノ袋谷だけが記してあるが、古い登山地図には、

今見えている尾根の頭の辺りにも、「木ノ袋」と記されている。とすると、

そもそも杣谷と木ノ袋谷に挟まれた山塊を、木ノ袋と呼ぶのではと

勝手に思っている。むしろ谷の名は、付随的に付いたのではないか。

その後、地形図を作成する際に山塊の名が欠落し、谷の名前だけが

残ったのではないだろうか。それゆえ、ネット上で木ノ袋谷北尾根とか

呼ぶ向きもあるが納得がゆかず、谷と区別して木ノ袋尾根とだけ記す。

この六甲線一四鉄塔のある尾根から見ると、巾着袋を絞ったように

見えなくもない、ふっくらした三角錐。それが由来と勝手に推測する。

それにしても此の尾根で、これほど満開のツツジを見たのは初めて。

厳しい寒さの冬から、急激に暖かくなったからだろう。当り年と言える。

杣谷道に下り、石段を100メートルも登れば、左に木ノ袋尾根の道。

少し登ると例年キレイに咲く株がある。道はその下を潜り続いている。

今日の第2の目標地点は中腹にある展望岩。道から外れた西側にある。

此処からは寒谷北尾根が俯瞰できる。昨日登ったルンゼも見えている。

しばらく来てなかったが、その間にも木々が繁り、岩場が隠れている。

此の岩場は全体で30メートル位の高さだが、木が繁っていなかった

昭和20年代、六甲学院山岳部の生徒が見た景色とは全く違うはず。

この木ノ袋尾根のツツジは、急斜面にフワフワ浮いてるような姿が

良い。晴れた日より、ガスで煙っているときの方が幻想的で綺麗だ。

此の尾根は、シロバナウンゼンツツジの方がキレイだと思ってい

たが、いやいやどうして、ミツバツツジも頑張っている。見直した。

尾根の上部の僅かな区間で視界が広がり、東に長峰山。西に別山

木の袋尾根の円頂に到達した。ツボミも多いが、まずまずの開花。

円頂から先は笹藪に道が続く。トラバースしてアゴニー坂の鞍部へ。

掬星台はジャージ姿の学生で満杯だ。彼らが中学生なのか高校生か

判別できない。年寄りには若さが眩しい。自然の家に宿泊するのかな。

快晴に恵まれ、ツツジも満開で楽しめた。昨日の疲れも感じないが、

自分の足で下らねば、本当の山歩きとは言えないって声が聞こえる。