摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

新六甲大橋西詰のルンゼから長峰山に登る

2月23日の金曜日。寒かった冬は、ようやく終わりを告げようと

している。今日は一日中晴天で、気温も11度まで上がるという。

10日前に山羊戸渡に向かう途中、アイスロードの入口を過ぎた

次のカーブで展望が開け、新六甲大橋の西詰から一条の支谷が

長峰山の稜線に、一直線に突き上げているのがハッキリと見えた

今まではその存在に気付いていなかったが、歩いてみたいと思う。

それにしてもコメント欄で、そのルンゼについては聞いていたはず。

だが、南から見ると光線の具合か、谷があると気づいていなかった。

実際、新六甲大橋の下についても、対岸に谷があるように見えない。

六甲川を渡ると、対岸に僅かに水が流れている所がある。どうも

此処が支谷の出合のよう。小滝は登れそうだが岩が極めて脆い。

無理に登る必要もない。真水谷出合近くから大きく巻き上がった。

橋の上からジュースの空き缶でも飛んできかねない場所だ。まず

はヘルメットを被る。橋脚のすぐ南側に確かに小さな谷があった。

橋の上を走る車両の走行音が響くし、わずかに揺れも感じられる。

少し入った所には砂防事務所が設置した観測器具がある。これを

迂回し登っていくと、短いが河床の岩盤が露出した部分があった。

そんな状態が続けば良いなと思うが、以降の谷筋はガレと土砂で

埋めつくされていた。新六甲大橋から伝わる振動のせいか、左右

の斜面から小さな落石が落ちてくる。この谷には堰堤はないのか。

大きなチェックストーン。次に大雨が降れば、隙間の土砂が流さ

れて転がり落ちそうに思う。橋脚にぶつかったりしないだろうか。

グズグズに詰まった岩屑の上を登って行く。寒谷のルンゼに比べ

れば、一個一個がそれほどに大きくないので、自分の崩した岩で、

片方の足を潰すようなことはないが、何しろ不安定で歩きにくい。

東方を望むと堡塁岩が近くに見えた。谷は浅く暗い感じはしない

が樹林に覆われており、急峻な割には展望はそれほど良くない。

予想通りルンゼは一直線に稜線に向かっている。足元さえ安定

していれば、効率良い登路といえるだろう。標高をぐいぐい稼ぐ

感覚は決して悪くない。まあ家族に言わせると四歩登って三歩

摺り下がる感じだったそうで、落石を起こさないよう慎重に登る。

岩屑の詰まった凹地も、此の大岩に突き当たって終わりのよう。

此処からは猪の獣道を拾いつつ、九十九に急斜面を登って行く。

でも猪ってハイヒールみたいな蹄の形で、縦方向には歩かない。

特に此処では、ほぼ水平に道を作っている。それを追うのも嫌に

なり縦方向に向かう。木の根を掴んだり、土砂を押さえつけたり。

スカイラインが見えているが、かえって斜度は急になってくる。

照葉樹林だけど、下生えが全くない明るい純林。良い雰囲気。

稜線に近くなると一気に斜度が落ちる。そして飛び出したのは、

長峰山の肩にあたる部分の伐採地。公設道標「な48−4」辺り。

この道を歩くのも久しぶりだ。今日は山頂の天狗塚まで行こう。

陽射しが暖かくて心地よい。僅かな区間だけど稜線漫歩しよう。

昨年の台風が此処にも詰め跡を残している。横並びに根の繋

がった四本が、二株倒れている。余程強い風が吹いたのだろう。

昼食を摂ろうと思った天狗塚には、存外冷たい風が吹いていた。

残念だが休むには寒すぎる。風の弱い所まで下ることにしよう。

ハチノス谷西尾根の巡視路を、六甲線一二鉄塔まで下ってきた。

うららかな日差しが暖かい。コーヒーとバナナ3本の昼食休憩。