摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

嶽ノ森山(376m)・・・・・・和歌山県・古座川町・・・2017年8月25日

栂谷遡行のために青春18切符2回分を使い、新宮まで来たが、

それだけで帰るのは、少々コスパに難があると思い、もう一泊し、

分県登山ガイド「和歌山県の山」より選んだ、嶽ノ森山に登ろう。

新宮のスーパーで昼食を摂り、15時46分の普通列車で古座へ。

古座川町コミュニティバス本川線に乗車して、一枚岩に向かう。

この車窓風景が素晴らしかった。蛇行する古座川を縫う様に進む。

夕景に照らされた古座川はもちろん、日本の田舎の美しさを代表

するかのような、穏やかで豊かな景色が続く。料金は一律300円。

フリー乗車区間なので、一枚岩の道の駅前で下車させてもらった。

家族に聞くとハムと同じく感動したそう。日本一美しいバス路線

と言っても過言でない。道の駅下の河原がキャンプ場になって

いる。舗装した堤防上が1000円。石の河原で張るのは無料。

河原は予想以上に寝苦しく、怖い夢を3本立てで見てしまった。

今日も午前4時起床し、テントにフライを張って、4時半に出発。

何しろバスは一日2本。8時の便を逃すと15時までバスはない。

キャンプ場から10分歩き、一枚岩トンネルの手前で右に進むと

登山口があった。まだ真っ暗。この為に、amazonのタイムセール

で、ヘッドランプ(1000円)を家族に買った。中国製だが明るい。

40分ほど普通の登山道を歩いて、犬鳴谷上流に降り立つ。

この先は危ないので、朝食を兼ねて、明るくなるのを待った。

まだ5時だというのに暑くてたまらない。すでに汗まみれだ。

5時15分、ようやく明るくなったので進むことにする。ナメに

雪男の足跡のようなステップが刻んである。それでもゴム底

の靴では滑り安い。雨の日や下降の場合には、怖いだろう。

傾斜は緩いんだけど、水流の部分は黒い苔でヌメっている。

刻まれたステップが渡渉する場所では、怖々と足を進める。

登って来たナメを振り返る。ナメの区間は100m程だろう。

再び照葉樹の暗い森に入ると、登山道は小滝を巻いて行く。

小滝の上で植林地に入ると、峰ノ山に向かう道や、一枚岩

に下る道が交差する。嶽ノ森の道標に従い尾根に取りつく。

暑さと睡眠不足のせいだろうか、この辺りではもうヘロヘロ。

河原から見上げるほどは、険しい道も現れないまま山頂に

近づく。少し風は流れるが、暑いことに変わりなくて苦しい。

5時47分、嶽ノ森山(雄岳)に到着。東には雌岳が見える。

分県登山ガイドでは、「上ノ峰」「下ノ峰」との記述だったが

現地の標識には、「雄岳」「雌岳」とあったので、これに従う。

360度の大パノラマという訳でなく、東と北側の展望が良い。

北側に見える一際高い山が、昨日登った烏帽子山だろうか。

古座川には霞が浮かんでいる。残念ながらテントは見えない。

10分程、風に吹かれて休んでいたが、ゆっくりもしていられ

ない。登山道は東側の急斜面を下り、雌岳との鞍部に降りる。

鞍部へは予想以上に下ったが、雌岳への登り返しは短かった。

岩場は雄岳より多いが、下から見上げるほどの険しさではない。

雌岳の頂上には、小さな祠があった。中に石が二つ並べてあ

るだけだが、石仏のように見える。その他には標識も何もない。

雌岳から望むと険しい雄岳。黒い山影は今いる雌岳のもの。

右下に見える岩場が、たぶん登って来た犬鳴谷の側壁かな。

南側には、峰ノ山(482m)が見える。分県登山ガイドでは

嶽ノ森山と併せて歩き、一日コースとしてあるが、植林ばか

りの稜線を見ると歩く気はしない。6時15分、急いで下ろう。

雄岳との鞍部へ下ると、南側の急峻な谷にクレモナロープが

張り巡らしてある。どれほど急かと心配したが、30mほどで

緩やかな道となる。コースタイムでは1時間だが、どうだろう。

「しも」とは一枚岩の下流に出るということだろう。大嫌いな

杉の植林帯が続く。風が通らず暑さに負けそうになる。意外

に虫は少ない。摩耶山は猪が多いので、蚊も多いのでは?。

下山途中、2度も目眩がしてふらつく。熱中症になったのかも

しれない。相瀬大橋近くの下山口に辿り着いたのは6時56分。

一枚岩のキャンプ場へは400mほど。十分バスに間に合う。

キャンプ場に着いても体の熱が取れず苦しい。思いあまって、

古座川に飛び込む。10分程浸かっていたら随分楽になった。

ゆっくりテントを撤収し、8時2分のバスを待つ事が出来た。

帰りのバスは串本駅まで乗車する。昨日の夕景ほどには、

感動しなかったが、変化のある古座川の眺めは美しかった。

古座駅から、熊野灘に浮かぶ大島や橋杭岩を望む海岸線

を進み、串本駅に到着する。1時間半待って、10時26分

田辺行きの普通列車に乗車。4度の乗換えで芦屋16時着。