摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

六甲川から前ヶ辻谷を遡行する

先日、六甲川を遡行した時から、前ヶ辻谷の出合の暗渠が、

どうも気になって仕方ない。理由は後述するが行ってみよう。

暑さに負けて、阪神御影駅から神戸市バス16系統に乗車し、

六甲ケーブル下で下車。昼間専用カードで、1乗車当たり

163円X2。始発からなので座れるし、クーラー良く効いて

いて、やっぱり楽。大月橋西詰から六甲川の河原に下る。

前回より水量が多いように思う。台風5号の雨が残ってる

のかな。比良の八池谷、ゴロゴロ岳の七曲り谷と比較的

水質の良い谷を歩いて来たので、やはり濁りが気になる。

此処は前に、家族が嫌い左岸をへつった。今日は右岸を

進んでみる。裏六甲に比べれば、はるかに水質は良いん

だけど、今日は水が生ぬるくって、あんまり気持ち良くない。

二段之滝の下段、家族は割と流心寄りを登って行った。

前回は壁よりを登ったが、此方の方が簡単だった。2回

目だから、少し落ち着いて、ルート探しが出来るのかも。

上段の滝は、何とか濡れずにへつれないかと考えてたら、

家族は待ち切れず泳いで行くが、水勢に負けたか力尽き

帰ってきた。ハムは右岸を、垂れた木を手掛かりに登った。

家族にシュリンゲを下げていたら、4名のパーティが来られ

左岸沿いに泳ぎ、水中にスタンスを見つけて、すんなり登っ

ておられた。次の滝は側壁から巻き上り、車道に出てしまう。

上流に少し歩いて、弁天滝上で再入渓する。前ヶ辻谷出合

まで車道を歩いても良いんだが、今日はお盆の日曜のせい

か、いつになく自動車が多い。このまま河原を歩いていこう。

前回より水量が多いと思っていたが、どうも違っていたよう。

帰って確かめてみると、今日の方が明らかに水量は少ない。

前ヶ辻谷の出合の暗渠まで来た。ちょうど新六甲大橋の下。

この段差を越せるかと心配していたが、コンクリ壁に鉄筋が

突き出ていて足場になるので、家族でも簡単に越えられた。

堰堤が多くて前ヶ辻谷は、遡行対象と考えてなかったが、

このトンネルを見て、どうしても遡行したくなった。それは

二人共、米国のTVドラマ「タイムトンネル」の世代だから。

この暗渠を見た瞬間、「タイムトンネル」に出てくる時間旅

行装置を思いだした。トンネルを抜けると、どんな世界に

飛び出るのかと、夢中になって視ていた。なので今日は、

下調べもせず、地図も見ずに来た。まあいつものことだが。

旧道・新道が交わる信号機のある交差点下。背後に車列

が見えるが、車道まで高さがあって、さして気にならない。

また暗渠がある。これは新道の下だろう。鉄柵や越えられ

ない段差があるのではと、案じていたが、存外すんなりと

歩けている。前方に、岩盤の露出した河床が見えている。

すぐ横が車道とは思えない雰囲気だ。水質も悪くはない。

但し上流域には、別荘や保養所、ホテルなど沢山あるの

で、やっぱり渇水期には、水質も悪くなりそうな気がする。

面白い形の滝がある。二つの岩場を穿つような溝状の滝。

家族が滝下まで行ったが、水が少なれば登れるかもしれ

ないが、今日の水量では無理と戻って来た。左岸から巻く。

さらに上にも似たような小滝が続いた。左岸から張りだした

岩場に水流がぶつかり流れが屈曲する。此処は直登する。

左に車道が近づく。前方には橋が見えている。そうか此処

がアイスロードの入口だ。あんまり歩いてないことに気づく。

橋をハイカーが渡っていたら、恥ずかしい思いをしたかも。

この小滝も、左岸から張り出した岩場にぶつかり屈曲する。

それだけではなくて、護岸の石垣さえも崩してしまっている。

巨大な堰堤に行く手を遮られる。帰って調べると真水谷

堰堤というらしい。この谷に堰堤が多いことは分かって

いたが、大きさまでは知らなかった。右岸から乗り越える。

堰堤が大きければ、上流の堆積地も広大。草木が繁り、

一瞬どちらに進むか悩むほど。水流を探して辿って行く。

堆積地には、紫色の花が満開だ。何とかトラノオっていう

のかと思ったが、後で記念碑台の自然保護センターに立

ち寄って確かめると、フサフジウツギ(房藤空木)とのこと。

堆積地を抜けると、ナメ滝がミニゴルジェに流れ込む個性

的な滝。此処は水中に良いスタンスがあり、それを見つけ

た家族は、ステミングのような感じで、軽快に登っていった。

上のナメ滝の先に人工物。また車道を潜る暗渠があるよう。

地図を待っていないので、位置が分からないが、それほど

進んでいないということかな。後で見ると、標高419m辺り。

段差の下に石があり越え易くなってる。置き石かどうかは、

分からないが、もしかすると通行する人が結構いるのかも。

また巨大な堰堤。それも正副2基ある。段々心が折れてきた。

右岸を大きく巻き上る。遡行をどこで中止するか考え始める。

今度は古い石造りの堰堤。左岸を見上げるとハイカーの姿。

アイスロードがすぐ上にある。でも、もう少し進んでみよう。

ところがまた堰堤。もう越える気もせず、少し戻って左岸の

道に出ると、アイスロードに関する説明板がある所だった。

少し進めば水呑茶屋跡のベンチ。お握り6個で昼食休憩。

昼食を摂ると、少しやる気が戻った。アイスロードをしば

らく歩いて河原に下る所を探すが、降り易い所が見当た

らない。崖に生えているツタの上を、強引に降りていった。

5mほどの姿の良い滝があった。前ヶ辻谷に入ってからは、

個性的な滝が多かったが、この滝はごくノーマル。傾斜は

緩く容易に登れる。滝の上すぐに、アイスロードが渡渉する。

堰堤があったので、一般道を進んで行く。また降り易い所が

なくて、かなり歩いてから針葉樹の斜面で下る。幾つか滝を

飛ばしたかもしれない。この日見た滝らしい滝としては最後。

また堰堤。後から思うと、水呑茶屋跡のベンチで遡行終了で

良かったかな。或いは、もう少し歩いて5m滝の上ででもよい。

堰堤上の堆積地は、草木が繁茂して、抜けるのに苦労した。

棘のある木も多い。そもそもどちらへ進んだら良いのだろう。

堰堤上は、どうも二俣のよう。本流かどうかは分からないが、

アイスロードに出たかったので、右岸の谷を目指して進んだ。

アイスロードのパイプ階段が現れて遡行終了。ズック靴に

履き替える。そんなことをしてると、ハイカー3人が通られ、

「この上の道は、草が繁って大変ですよ。」と教えて頂いた。

実は水呑茶屋跡のベンチにいた方も、「人が歩かないから、

草ぼうぼうで、長袖じゃないと駄目だ。」と、言っておられた。

どれほど繁っているのかと思いきや、道が見えないほど

ではない。それでも油コブシから来ると大変に思えるかも。

我々の腕は、既に虫に刺され、棘に引っかかれ傷だらけ。

記念碑台を経由して六甲ケーブル山上駅。合歓木の花が

咲いている。あれ今頃だったかな。摩耶山では6月ごろ?。

寒天山道を下って渦森台4丁目から、神戸市バス31系統

JR甲南山手駅行きに乗る。捻挫した覚えもなかったのに、

右足首が痛みだし、家に帰ると座っていても激痛になった。

一晩寝たら治ったが、何だったのか。 (出典:地理院地図)



今日のBGM