暑い上に湿気が多い毎日が続く。山へ入る気もせず、ふと本棚
の古い本に目を通す。コピー機が普及してからはガイドブックは
図書館にある物で済ませているので、蔵書は大昔の物しかない。
40年前、神戸に出てきた時に買った本。当時、関西圏では最も
よく読まれていた本だと思う。他のガイド本より読み易く、地図も
分り易かった。自分も近畿の山は、この本を専ら参考にしていた。
昭和53年改訂版だが、初版はたぶん昭和32年頃。当時すでに
古さは感じていた。3年ほど使った後は、白山書房「関西の谷」や
草川啓三著「近江の山」等に傾倒していき、本書は読まなくなった。
改めて目を通すと、沢歩きの項が多いのに気がつく。摩耶山の
地蔵谷を遡行対象として紹介してある。もちろん当時も一般道は
あったのだが、中流の滝の巻道、直登についても記されている。
ハムが地蔵谷を遡行しようと思ったのは、単に交通費を使わずに
谷歩きしたいという理由で、何かを参考にした訳ではなかったが、
既に本書では取り上げられていた。この項は全く記憶になく驚いた。
いや西山谷は本書を参考に歩いたと思う。少し記憶が戻ってきた。
その他にも六甲山では、五助谷・西滝が谷・水晶谷・黒岩谷・オコ
モリ谷・田辺谷・ハブ谷・大月地獄谷・滝谷等々が紹介されている。
大峯・大台の初級の沢も載っている。40年間、一般道のハイキング
をガイドする本だと思い込んでいたが、その懐の深さに恐れいった。
堰堤の建設等で現在は、本書を参考に沢歩きをするのには、無理
があると思うが、幾つか歩いてみても良いかと思う沢も再発見した。