摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

続・宮崎県の旅2日目 韓国岳(1700m)から大浪池へ・・・2017年5月24日

テントを叩く小さな雨音がする。目が覚めるとまだ3時だった。

暑くてフライを張っていなかったので、メッシュの部分から雨が

漏れてきた。テントを濡らすのが嫌なので撤収することにした。

真っ暗な中、大隅大川原駅に戻って始発を待つ。雨は断続的

に降っていたが、雨量はごく僅かだった。固いベンチで座って

待っているのは苦痛で、もう少し寝ていればよかったとも思う。

6時28分発の鹿児島中央駅行きの普通列車に乗車。2駅で

霧島神宮駅に到着。乗車するバスの時刻は7時51分なので、

ここも1時間以上の待ち時間。待合室で朝食を摂ったりする。

古い駅舎だが中々凝った造り。入口に鳥居があるのは気づか

なかった。駅の窓口で霧島地区のバス1日乗車券1100円を

購入する。鹿児島交通のバスだがJRのマルスで発券された。

霧島神宮駅を発車したバスは、神宮前を経由し霧島に向かう。

標高が上がると、車窓から桜島を、うっすら望むことが出来た。

丸尾温泉で下車し周遊バスに乗り替え。温泉ふかし芋を購入。

8時30分発の周遊バスは、温泉街を通り抜けて、えびの高原

に向かう。8時55分に一つ手前の、つつじヶ丘バス亭で下車。

ヤマキリシマの群生地だけど、咲いてるのは数えるほど僅か。

バス停から南に歩くと、韓国岳への登山口がある。5月8日に

黄山の噴火レベルが引き上げられた為、西側からの登山路

は此処からだけ。つつじヶ丘は宮崎県だが、此処は鹿児島県。

今の所、曇りだが雨は降っていない。このまま持ってほしい。

韓国岳に登って、大浪池登山口バス亭に、13時には下山せ

ねばならない。いつもより急ぎ気味に歩き始める。あと4時間。

最初は大木の樹林帯で、緩やかに登って行くと、そのうち

スズタケが密生するようになる。火山灰の荒れた地質かと

予想してたが、意外にも植生は豊かで、気持ち良く歩ける。

スズタケは120年に1度という花を咲かしていた。来年に

来ると、この笹藪は全て、枯れてしまっているのだろうか。

スズタケの上では、照葉樹の白い花が満開となっていた。

帰ってからネットで、花の名を調べてみるが、分からない。

一時間弱で大浪池への分岐を過ぎる。此処からは木道が

施されていた。大浪池と韓国岳の鞍部にあたる。ツツジ

開花期には綺麗な所と思うが、今日はまだ咲いていない。

鞍部の西端に韓国岳避難小屋がある。噴火時のシェルター

として建てられた物だろうし、水場もトイレもないが、清潔に

保たれている。此処に荷物をデポして、韓国岳を往復する。

鞍部からは頂上までは、標高差400mを一直線に登って行く。

階段の連続で単調なもの。ツツジの花が咲いているのが救い。

椅子を積み重ねた様な段差の大きい階段もあって、空身とは

言え苦しい登りが続く。バスの時刻を考えて、気が焦っている。

1時間半の急登をこなすと、ようやく周囲の樹木が低くなり

視界が開けた。振り返ると大浪池が見えた。ガスが次第に

降りて来ようとしている。やはり天候は悪くなるのだろうか。

樹林帯の上は火山礫が転がる荒れた斜面。木道も壊れて

いて、歩き難い場所だ。上から下って来るハイカーも2・3組。

人が歩かない斜面は、ツツジの群落地。一斉に開花する

時に来れば綺麗だろう。少々時期が早かったな。年較差

もあるし、花の最盛期に予定するのは至難の業と諦める。

10時40分、韓国岳の頂上に到着する。山上には数組の

登山者がおられた。平日でこんな天候だが、我々と同じく、

ツツジの開花を見込んで、遠くから来られた方も多いよう。

家族が火口壁を見て、「わぁ、キレイ。」と声を上げると、

「向こうからの方が、もっとキレイだよ。」と、教えて頂く。

火口壁を東に向かって進む。火口湖との標高差は280m。

少し東側に進み、振り返るとこの風景。火口壁に張りつ

くように、黄色い花を咲かせているのは、ヒカゲツツジだ。

摩耶山のものより小振りだが、花の色ははるかに鮮やか。

全景はこんな感じ。ガスがまき始め、クリアには写せない。

ヤマキリシマの開花期には早かったが。思いもかけず、

ヒカゲツツジの群落を見ることができて、少々興奮気味。

下手な写真を沢山撮ってると、時刻は11時を過ぎていた。

13時6分のバスに間に合わないと、高千穂峰に行けない。

家族に促されて登って来た同じ道を、小走りに下って行く。

大浪池がガスに包まれていく。空も次第に暗くなってきた。

何組かを追い越して、韓国岳避難小屋に11時30分到着。

デポしていたザックを回収し、大浪池に向かう。僅かな登り

だが、背中の荷物が重くて、遅々としたスピードしかでない。

大浪池の火口壁に到着。西側を半周して下山路に向かう。

東側も回れるが、西側の方がミヤマキリシマが多いらしい。

火口壁上の平坦といっても良いほど。早速ツツジが迎えて

くれた。韓国岳より標高が低いせいか、開花した株が多い。

園芸種かと思うほど鮮やかな色、可憐な花弁が密生する。

大浪池は何も期待していなかったが、意外に良い雰囲気。

紫紅色、桃色、薄紅色と三種類の色を一度に楽しめたり。

歩くうちに、次々と満開の株が現れ、飽きることがない。

小雨が降り始めた。韓国岳の頂上はガスに包まれている。

大浪池の分岐に到着したのは12時9分。思ったよりも

時間が掛っている。此処から登山口までは、観光客でも

歩けるよう石張りの遊歩道。此処も小走りに下って行く。

どうもそれが悪かったようだ。両膝が痛み始めた。バス

停には12時37分着。旅行を続けられることには、安堵

するが、もう少し景色を楽しみ、ゆっくり下ればよかった。