摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

続・宮崎県の旅2日目 高千穂峰(1574m)から皇子原へ・・・2017年5月24日

韓国岳山麓の大浪池登山口バス停から、バスに乗ると

すぐに雨が降り始めた。周遊バスなので、えびの高原で

折り返し、高千穂河原に向かう。雨は断続的に降り続く。

高千穂河原13時29分到着。ビジターセンター横の水場

で荷物を調え直す。一緒にバスに乗って来たハイカーは、

中岳探勝路に行かれた。ミヤマキリシマが満開のようだ。

我々は霧島神社の古宮経由で、高千穂峰を目指す。高千

穂河原の標高が900mもあるので、頂上までコースタイム

は約1時間半。十分明るい内に、下山出来ると考えていた。

南側から自然探求路と合流するまでは、緩やかな遊歩道。

そこから上は、火山灰土の荒れた道。登るにつれ周囲の

樹木の背が次第に低くなる。韓国岳とは雰囲気が異なる。

路傍のミヤマキリシマに目を奪われていたら、眼前の展望

が大きく開ける場所に来た。火山礫が堆積した広大な斜面。

事前に調べてなかったので目を疑った。点々とピンクの色

が、荒れた風景に散っている。その全てがミヤマキリシマ。

他の植物がほとんど生えていない場所に、ミヤマキリシマ

の株だけが点在する。密生しないのは、地味が悪いからか。

雨粒がレンズを濡らすので、何度も立ち止まって拭き取る。

カメラを濡らすまいと傘をさしているが、吹き上げる風に

煽られて何度も傘が反転する。そんな悪天の中、荒地に

可憐な花を咲かせるミヤマキリシマに、感動してしまった。

背後にうっすら見えるのは、中岳か新燃岳か。平成23年に

爆発し、現在も入山規制が続いて、登山は禁止されている。

ようやく御鉢と呼ばれる火口壁まで登ってきた。既に15時

になろうとしている。先に進んだ家族が岩陰で待っていた。

急な火口壁にもミヤマキリシマは咲いている。次々に美しい

株が現れるので、度々目を奪われて歩行速度は上がらない。

今日は平日だし悪天だが、此処までで20名以上のハイカ

とすれ違った。全て降りて来られる方々で追抜く人はいない。

名前ほど狭くもない馬の背という部分を過ぎると、登山道は

一旦、鞍部に向けて下っていく。此処から先は宮崎県となる。

鞍部からは急斜面をひたすら登り、20分弱で山頂に到着。

15時37分。コースタイムよりも、40分ほど長く掛っている。

天の逆鉾が祀られているが。この天候では何の感慨もない。

山頂には立派な営業小屋もある。もちろん休憩も有料だろう。

立ち寄らずに下山にかかる。帰ってから調べると、避難小屋と

して開放されているとの情報もあった。戸は開いていたようだ。

いずれにしろ、この日は休憩している余裕はなかった。予定

より遅れている。ガスの中をどんどんと、宮崎県側に下山し

ていく。晴れていれば景色が良いはずの所で、とても残念だ。

宮崎県側は地味も良いのだろう。他の植物も沢山生えていて、

ヤマキリシマも負けじと背を伸ばす。丸木の土留階段が続く。

やがて登山道は二分する。直進すれば霧島東神社に下るが、

我々は北西に進む皇子原への道に入る。これには理由があ

る。霧島東神社上の森に棲息するという蛭を避けたいが為。

皇子原のコースもまた二分する。最近歩く人が多いという

天孫降臨コースに入る。一番標高の高い所で林道に出る。

この先、土留階段の杭が甘く打たれ、足を取られやすい。

韓国岳で小走りに下ったせいだろう、膝が痛くなってきた。

疲れもあって何度も転ぶ。道は延々と九十九で、長く辛い

下りだった。路傍に標高が示されているが中々減らない。

17時15分に堰堤上の堆積地に出る。対岸に登り返すと

舗装された林道に出た。此処が天孫降臨コースの登山口。

だが、我々は長い林道の下りを、こなさなければならない。

立派な植林地の中を下って行く。この林道も傾斜が緩くて

一向に標高が下がる気がしない。雨も降り止む気配がない。

19時15分、雨中を2時間の車道歩き。疲れずぶ濡れで、

皇子原温泉健康村に辿り着く。入浴していこう。料金は一

人300円という安さ。地域の公衆浴場という感じの施設。

風呂から出ても、残念ながら雨は止んでいなかった。残り

4kmはある。真っ暗な県道を、対向車に怯えつつ歩いて

ようやくキャンプ場への分岐に着く。だがこの先が長かった。