摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

宮崎県の旅2日目 行縢山(831m)桑平へ下山する・・2017年5月10日

幸いに目覚めると雨は上がっていた。薄明の内に愛宕山

下山して、24時間営業のマックスバリュー南延岡店で3日分

の食料を買い込み、のんびり延岡駅前バスセンターまで歩く。

延岡市というと中学校の社会で習った化学工業都市の印象が

強かったが、市街の中央を五ヶ瀬川が流れる自然豊かな街だ。

「おはようございます。」って何度も挨拶して頂いた。人も優しい。

午前9時発の行縢山行きのバスに乗車。平田でバスが北に

方向を変えると、行縢山の雄岳と雌岳が見えてきた。両者

の間には白く一条の滝も見えている。行縢の滝に違いない。

車窓風景に興奮している内に、終点の行縢山登山口に到着。

宮崎県の小学生が応募したイラストで飾られた宮崎交通バス。

魚も果物も表情がイキイキしている。素晴らしいデザインだね。

登山道は行縢神社の鳥居を潜って行くが、本殿を左に見て

先に進む。神社には参詣したいが、次のバスの時刻も考る。

とても大きな針葉樹の森を抜けていく。昨夜の雨で地面は

まだ濡れている。何となく神々しさを感じるのは気のせいか。

駐車場からの道と合流すると、すぐに滝見橋がある。橋の中

央で家族が上を見上げて固まる。そう行縢の滝が見えるはず。

滝見橋から行縢の滝を望む。うーん下の集落から遠望した時

の方が、全景を見れて凄かったな。もっと近くに行ってみたい。

橋を渡ると左岸の斜面を登って行く。山麓に青少年自然の家

があるので、学童でも登れるよう整備され、歩き易い道が続く。

滝への分岐に荷物をデポして滝を見に行こう。たとえ60m

でも、3日分の食糧の入ったザックは担いで行きたくはない。

行縢の滝は落差約77メートル。昨夜の雨で水量はそこそこ。

案内には水量が少なければ、滝下まで行けるとあるが、今日は

飛沫でずぶ濡れになりそうで、家族のいる岩の辺りまでが限度。

分岐に戻ると、道は九十九に急斜面を登っていく。おおよそ滝の

高さまで登ると緩やかになる。登山道から逸れて、祠の横を進む

と絶景ポイント。さっき渡った滝見橋が小さい。滝自体は見えない。

祠からすぐに頂上に向かう道もあるが、ここはスルーして一旦、県

民の森を目指す。センスのない道標にがっかりだ。私製道標に設置

者名は無用。独り善がりな自己顕示欲で山を汚さないで欲しいもの。

下流にあれほど大きな滝があるとは思えないほど、穏やかな河原。

平流に沿って進むと東屋や広場が見えてきた。県民の森と呼ばれる

場所だが、遠い昔に作られて、今は打ち捨てられているような場所。

この東屋にザックをデポして、行縢山の頂上を周回して来ようと思う。

県民の森から上流に向かうと、山頂を指す道標がある。これに従う。

針葉樹の細尾根を登っていく。静かで歩き易い良いルートだった。

足元に、ギンリョウソウ銀竜草)がたくさん生えていた。韓国の

山で見て以来。別名ユウレイタケともいうがキノコではなく草花。

地形図の823高地に到着。雌岳が険しく見えるが、これから登る

右側の雄岳は穏やかなな山容。此処には行縢山・北岳と記された

私製標識があったが、これも正式名称か個人の勝手命名かどうか。

823高地から鞍部に急激に下り、登り返すと行縢山頂上に到着。

行縢山山頂は、西側が断崖で展望が良い。だが先ほど見た滝の

圧倒的な存在感に比べれば、ごくごく普通の山頂に思えてしまう。

北西に雌岳が見えるが、その間にあんな大きな滝があるとは、

伺い知ることは出来ない。右手にはうっすらと海も見えている。

西側は正に断崖絶壁。写真中央の建物が、青少年自然の家

頂上に到着は12時20分。それから20分ほど昼食休憩する。

山頂からは滝の上流に下る。渡渉地点に鎖が設置されていた。

増水時に流されると、行縢の滝から飛び降りるはめになるのか。

県民の森に戻り、ザックを回収して桑平に向かう。実は今日の

核心はこれから。この桑平への道は、地形図には破線があるし

写真の通りに古いとはいえど、公設道標には地名も記してある。

ところがネットを検索すると、雌岳への分岐までの記事はある

が、その先の桑平まで下ったという記事が、中々見つからない。

廃道になってるのかなと思った頃、ある方のブログを見つけた。

峠状の雌岳分岐から直進すると、確かな杣道が下って行く。

なぜ桑平に下山することに固執したかというと、延岡〜行縢

のバスは日に3本しかない。帰りのバスは延岡16時38分着。

それでは、延岡発の祝子川温泉行の最終バスに間に合わない。

そこで祝子川沿いの桑平に下れば、余裕で祝子川温泉行バス

に乗れると考えた。雌岳分岐から10分程で、林道終点に到着。

上の写真の右手から下ってきた。鹿除けのネットが張ってある。

側面だけでなくて、林道の入口を塞いである。この後も何ヶ所か

林道上を通行できないように、鹿除けネットで道を塞いであった。

どうも行縢山西面の広大な山域は、製紙会社の私有林のよう。

実に立派な植林帯と、伐採して次の植林に備えている斜面が

交互に現れる。林道上のネットは作業時のみ外されるのだろう。

伐採した木材を搬出作業中。挨拶して架線の下を通しても

らった。林道の状況から、桑平へ下る人がいないのも納得。

逆コースからの車の進入はできないし、徒歩でも迷うだろう。

林道歩きは、何処まで続くのかと思うほど、長く苦しかった。

だが実際は林道終点から、桑平より一つ下の妙バス停まで、

1時間半足らずだった。16時13分のバスまで40分程待つ。

バスは渓谷沿いの一車線の道を、何度も離合の為に停車し

つつ、終点の祝子川温泉に17時に到着。バスから降りると

小雨が降っていた。登山口へは更に1時間半の林道歩きだ。

歩き始めると、道を尋ねた人が車で追いかけて来られて、

「暗くなるから乗りなさい。」と、登山口まで送って頂いた。

感謝感激。おかげで明るい内に、大崩山荘に到着できた。

山荘までは、けっこう険しい道で、暗かったら危なかった。



桑平への下山は、行縢探検倶楽部の「行縢山散策」及び

「行縢山散策(リベンジ編)」の記事を、参考に歩きました。