摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

宮崎県の旅5日目 丹助岳(815m)・矢筈岳(666m)・・・2017年5月13日

昨日の午後から、宮崎県全域に大雨注意報が発令された。

我々は比叡山に向う予定を変更し、丹助小屋に宿泊する。

激しい雨が夜半まで降っていたが、幸い早朝には止んだ。

5時には目が覚めたが、ガスが晴れるのを小屋でグズグズ

待っていた。コース上の岩場が乾くのを期待してのことだが、

まだガスっぽいけど、9時半にしびれを期待して小屋を出る。

まだ岩場が濡れていて滑りそうなので、丹助岳頂上に東側

から回り込むコースに入った。ヤマツツジの花が雨に打たれ

落ちている。標高が低いので花には期待できそうにもない。

平凡な照葉樹の森の中を登っていく。最後だけ傾斜が上がる。

小屋から30分ほどで丹助岳頂上に到着する。本当はとても

展望の良い所のようだが、周囲の標高の高い山はガスの中。

頂上から北西の眺め。方向的には阿蘇山が見えるはずだけど。

北東方向は、これから歩く矢筈岳。その向うは比叡山の岩壁。

ガスが沸き上がっては消えていく。大崩山はまだガスの中だ。

しばらくは待っていたが晴れそうにないので、下山にかかる。

下山は天狗岩を越えていく尾根コース。いきなり険しい絶壁が

現れるが、岩が濡れていて、滑りそうなので右裾を巻きあがる。

その上からも岩稜が続いていた。家族はさっさと頂部へ登る。

反対側からご夫婦が登って来られた。今朝、矢筈岳を登って

来られたそうで、矢筈岳西峰のルートの様子を教えてもらう。

天狗岩から山頂に向かう岩稜のコース。登りは此方を辿る方

が、良かったなと後悔する。疲れて弱気になっているのかな。

天狗岳を下れば、単調な道を小屋に戻るだけ。旅行会社の添

乗員に連れられた団体客が準備体操をしていた。天候が悪い

ので、何処か有名な山の代替として、連れてこられたのかも。

昼食を済ませた後、デポしてあった荷物を回収して掃除する。

宿泊料金は一人600円と書いてあるが、事前に無料で利用

できると聞いている。料金箱等支払方法も用意されていない。

12時20分に小屋を出て、少し歩けば矢筈岳への歩道入口。

左側の車道でも行けるので、車で行き来する人が多いようだ。

緩やかな尾根を上り下りする、長閑な道が続いてる。陽が差す

と蝉が鳴き始めた。ミンミン蝉のようだけど、まだ5月なのに・・。

13時に矢筈岳登山口駐車場に到着。ザックをデポし、ショルダー

バックだけで登る。道標は全て東峰を指している。数メートル進ん

だ所で、右手の西峰に向う道に入る。整備されておらず荒れ気味。

朽ちかけた東屋を過ぎると岩場に突き当たる。ちなみに日之影町

ホームページには、「四阿の所から先は、フリークライマー以外

は危険ですので、絶対に行かないでください。」とは記されている。

残置ロープがあるようなので、登れそうと思っていたが、初手から

傾斜も段差も大きい岩場が続く。思っていたよりは甘くなさそうだ。

家族は軽快に登ったが、腕力の無いハムは登れなかった場所。

残置ロープの末端に、バックの肩紐をアブミ代わりに足して登る。

先ほど天狗岩で出会ったご夫婦は、今朝まだ岩が濡れている

時に、此処を下られのだ。「すごく滑りやすく怖かった。」と言わ

れていたが、ハムには絶対下れないな。登りだけにしておこう。

上部では多少高度感も出るが、スタンスも比較的多くなる。

乾いた所ではフリクションも悪くない。傾斜が落ちれば頂上。

けっこう苦労した割には、貧相な矢筈岳西峰の山名標識が

迎えてくれた。陽を遮るものもない岩の山頂は、とても暑い。

右手の三角形の山が丹助岳。その肩の標高700mの所に

丹助小屋がある。そこから続く、緩やかな尾根を歩いてきた。

東には、樹林に囲まれた矢筈岳の東峰比叡山の岩峰、その

向こうは大崩山だろう。晴れてきたのは嬉しいが、暑くてたまら

ない。当初の予定では西峰だけを、ピストンするつもりだったが、

先ほどの岩場を下る気もせず、東峰との鞍部に下ることにした。

登ってきた西側と比べれば、東側は難なく普通に歩いて下れた。

さして魅力を感じなかった東峰だが、10分なら往復してみよう。

照葉樹の道を辿ると、矢筈岳東峰の頂上。公には此方が矢筈岳

の山頂ということになっている。東側だけ抜けて比叡山が見える。

比叡山の岩壁が真正面に見える。思ったよりも岩の色が暗いな。

足元には、綱の瀬川の深い渓谷があるはずだが怖くて覗けない。

樹林の間から、僅かに西峰が見える。鞍部に下り返し駐車場に

戻る道に入る。この道が無駄に下っていく。蒸し暑かったせいも

あるだろうが、駐車場に登り返した時にはヘトヘトに消耗してた。

体感温度30度はありそう。ザックを回収し水を飲んで一休み。

今日の宿泊場所までは少なくとも8kmは歩く。15時ちょうどに

重い腰を上げて、舗装路を下って行く。明るい内に着けるかな。