摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

岡本から打越峠を越えて西おたふく山へ登る

このところスッキリ一日中晴れる日がなかった。朝の内は快晴でも

午後からは曇り空。そんな日が多く、好んで外に出ようと思わない。

だが昨夜は、部屋の中でも空気が凄く乾燥しているのを感じていた。

朝起きると空の青さが際立っている。少し長い距離を歩いてみたい。

いつもより早く家を出る。自宅からJR摂津本山までは徒歩1時間半。

チマチマした感じの岡本商店街を歩いて、阪急岡本駅へ突き当たる。

駅の東側から踏切を渡り、瀟洒な住宅街を歩いて行く。岡本公園の

梅まつりは26日に開催だが、お屋敷の梅はもう満開になっている。

八幡神社を右に見つつ、急な車道を進む。ハイカーの姿もチラホラ。

住宅街の上端に八幡谷の入口がある。西おたふく山は一度歩いて

いるが、住吉川沿いにアプローチしたと思う。この道は初めて歩く。

道は河床からかなり高く、右下にゴルジェを見ながら進んで行く。

予想では穏やかな谷だと思ってたので、その迫力に少々驚いた。

だが100mも進めば、広く緩やかな谷となる。道の脇にゴミと

化した稚拙な工作物があるのを除けば、清々しい谷道が続く。

摩耶山のように、不法耕作地や廃材等がないのが好ましい。

道はやがて谷を離れて植林帯を登る。嫌いな林相ではあるが、

なぜか遠くの山、そう但馬あたりの山にいるような感じがする。

打越峠に到着。丸木がベンチ代りに置かれているが、防腐処理

がされてないので、朽ちてゴミと化している。それを撤去せずに

新たに丸木を増やすので、ゴミゴミとした雰囲気になってしまう。

峠から打越山や七兵衛山も近いが、ネット情報ではパラダイス化

して、ずいぶん不快な場所になっているようだ。寄らずに住吉川

に向けて下って行く。下った所は間伐された落葉樹林がきれいだ。

疎林の中で、ハイカー二人が昼食されていた。打越山や七兵衛山

の頂上ではなく、この疎林を休憩場所に選ばれたことに同意する。

低い峠を越えると、住吉川沿いの道に降り立つ。石畳になって

いて少々驚く。もっとも少し上流に進むと、普通の山道になった。

路傍に「六甲山頂上ニ至ル」と彫られた石碑が、舟形の岩に

乗っている。御影石を切りだしていた頃の名残りだろうかな。

見上げると西おたふく山だろう。頂上に笹原と電波塔がある。

ここまで結構登ってきたつもりだが、ずいぶんと高い。西おた

ふく山の標高は865m。摩耶山に慣れた目には高く見える。

何も書いてない道標かと思ったら、手書きで「←西おたふく山」

と記されてある。此処が渡渉点のようだが、此の道標は問題が

ある。公式に書き直して貰いたい。対岸の道標は記されている。

西おたふく山へは、最初の内こそ杉の植林帯だが、登るうちに

照葉樹や落葉樹の明るい疎林となる。下生えは笹が密生する。

先ほど越えて来た打越峠が見える。その向うの市街は霞む。

前回この山に登ったのは数十年前。笹原に細い道が続いて

いたように覚えているが、今は歩きやすく良い道となっている。

更に標高が高くなると照葉樹が少なくなり、落葉樹の純林の

ような雰囲気が出てくる。一度は歩いているはずだが、全く

記憶に残ってない。家族は気持ち良いのか歩調が速くなる。

頂上直下の笹原に至る。此の辺りは市街地からも見えている。

落葉樹の新芽が萌出ている。六甲山にこんな所があったとは。

家族はドンドン登って行ったが、ハムはゆっくり歩き楽しみたい。

やがて登山道はトラバースしていき、山頂付近の遊歩道と合流

する。幾つも道があって分かり難い。山頂には中々近づかない。

車道に飛び出した。残念ながら西おたふく山頂には電波塔が

あって、立ち入ることが出来ないし、休憩に適した場所も無い。

但し、車道からの眺めは良い。眼下には東おたふく山の稜線。

日蔭に積雪が残るが、歩く人は多くないので凍ってはいない。

六甲山の最高峰が見えてきた。こんなにスッキリ見えるのは

此処だけじゃなかろうか。山頂の電波塔も全景が見えている。

全山縦走路に出合う。 凌雲台を経て記念碑台まで5kmと

記されている。六甲山は久しぶりで、その地名が分からない。

此の先、踏み固められ凍った雪に苦労する。天狗岩に向かう。

全山縦走路から西おたふく山を望む。山頂南側の斜面は素晴

らしい。季節を変えて訪れたい。今まで食わず嫌いだったかも。