摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

弁天滝から長峰山を経て掬星台へ(雪ダルマ山行)

昨夜はとても強い風と共に雨が降っていた。朝起きると風は止んで、

六甲山は白くなっていた。遠く摩耶山にも雪が積もっているようだ。

慌てて用意して自宅を出る。午後になれば雪は解けてしまうだろう。

家を出た時には杣谷を歩こうと思っていたのだが、時が経つにつれ

黒くなって行く山肌を見ていると、急に気が変わり長峰山に向かう。

六甲川弁天滝の上で対岸に渡る。登山道はないが此処が長峰山では、

駅から一番近い取りつきだと思う。既に11時近くなり焦っている。

前回は、何となく此処が取りつきだろうと分かったが、今回は全く

分からない。記憶を頼りにこの辺りだろうという場所から取り付く。

因みに此の辺りの左は、断崖なので慎重に行動しなくてはならない。

少し登れば道跡が現れて九十九に登っていく。何の為だろうか二番

の杭、三番の杭と記された標柱が残っている。前回よりも藪が多い。

道が上り着くのは石垣で組まれた小平地で、東寄りに展望岩がある。

車の走行音さえなければ、良い休憩場所だ。ここへ来れば真っ白な

六甲山が望めるかと思ったが、遅かったのか、それほど白くもない。

展望岩から先には道はない。煩い藪を分けながら岩稜を登っていく。

岩稜が斜面に消えると照葉樹の暗い森に入る。此処からは猪の作る

獣道を頼りに登っていく。やっぱり芦屋の山よりも猪は多いようだ。

登るにつれて雪が多くなって、獣道を判別しにくくなり疲れが増す。

展望岩から約30分のアルバイトで、緩やかな尾根に乗った。まだ

一般道は少し先。風は弱くて寒さは感じないが、その割に雪は軽い。

予定通りにシイの大木の所で、伯母野山町からの一般道と合流する。

昨夜はただ雪が降ったのではなくて、雨雪を伴う暴風が吹いたよう。

木よりも下生えの笹に雪が付着してていて、面白い造形を作っている。

正午過ぎに長峰山頂・天狗塚に到着する。まだ摩耶山の東面には粉砂

糖をまぶしたような雪が残っている。パウンドケーキと紅茶で小休止。

岩の上の雪を集めてまず一個目の雪ダルマを作る。まだ雪がサラサラ

で纏まりにくかった。木の実の赤い目はちょっと似合わないみたいだ。

付近の樹氷はまだ溶け出していない。ポートアイランドが霞んでいる。

いつもは何とも思わない土留階段も、雪が積もっていると急峻に思え

る。まだ新雪なのでアイゼンは付けないが、へっぴり腰で下って行く。

六甲線一五鉄塔の近くに吹き溜まりがあった。雪ダルマ2体目を作る。

杣谷峠手前の尾根筋から掬星台を望む。山麓から見上げるよりも白い。

杣谷峠でも一体作っておく。いつもは必ずハイカーが休憩している所

だが今日は誰もいなかった。ドライブウェイを歩く人はパラパラいる。

掬星台まではドライブウェイを歩いても良いのだが、せっかくだから

尾根筋を行こう。東屋から関電巡視路に取りつく。先行の足跡はない。

案の定、穂高湖は凍っていなかった。今日は杣谷の氷瀑を見に行こう

と思っていたのだが、期待できそうにない。行かないで良かったかも。

笹原の尾根筋に小さな足跡が残っていた。誰なんだろう。分からない。

尾根筋の踏跡を進み過ぎるとドライブウェイに降りてしまう。適当な

所でアゴニー坂鞍部に下る踏跡に入るが、今日は雪で分かり難いかな。

それでも木の袋尾根からの踏跡と合流すれば、すぐアゴニー坂へ着く。

今日の行程の中では、この付近が最も雪が多かった。木によっては雪

の積もり方が違っていて面白い。だが滑り易いので足元に注意しよう。

子供の丘付近では樹氷が発達していた。写真を撮りに来た人や、子供

を連れて雪遊びに来ている人は多い。ハイカーはいつもより少なめだ。

すっかり雪が溶けた掬星台にもハイカーの姿はまばらだった。摩耶山

では、積雪がある日は貴重なのに、どうして人出が少ないのだろうか。

掬星台の雪は湿っていて、体重の重い雪ダルマになった。展望台の手

擦りにバランス良く乗る。ロープウェイ・ケーブルを乗り継いで下山。

ケーブル山麓駅から自宅まで徒歩3時間かかった。どうにも足が遅い。