摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

道畦谷中俣から荒地山に登る

12月25日三連休の最終日。朝から快晴なので山に行くことにする。

暖房の無い家にいるよりも、外を歩いている方が暖かい。エコという

か節約の為でもある。もちろん交通費をかけては意味無いので荒地山。

先週に草刈されて、スッキリした芦屋川。城山の奥に荒地山が見える。

前回、間違えて登れなかった道畦谷中俣に行こうと思う。アプローチ

が長いので気が重い。一応メットは持って来たが他は特に装備はなし。

城山登山口からのトラバース路。ガサガサ音がすると思ったらイノ君。

10m以上離れた所にいたが、此方に向かってきて我々の前を横切る。

少しウロついていたが登山道を北上する。仕方ないのでついて行こう。

それにしても我々の話し声にも足音にも、無関心な様子で歩いている。

摩耶山のイノシシは足音で気づいて逃げるけど、芦屋では違うのかな。

道案内してくれるのかと思ったが、100m程で脇道にそれて行った。

城山登山口から一時間近くもかかって、道畦谷の第2堰堤に到着した。

東面の谷間だけに、陽は差し込まないが、歩いている限り寒くはない。

第2堰堤を越えた所にある小滝。この上が二俣となっている。前回は

右側の谷へ入ったが、左側が道畦谷中俣らしい。今日はそちらを登る。

水流のないゴーロを登って行くと、谷全体に巨大な岩が詰まっている。

左岸隅から尾根に出て巻き上がる。土砂に岩が詰まっている。その土

砂が雨で流され崩れかかっている。此処までは尾根を登った方が良い。

チェックストーン如く谷全体を埋める巨岩。何処から落ちてきたのか。

大きな岩の転がる谷だけど、果たして此処が道畦谷中俣なのかはまだ

自信がない。右俣より谷幅がかなり狭いし、道跡なども見当たらない。

「落石を起こしたら、メットなんて役に立たないね。」と家族が言う。

一抱えもある岩がグラッと揺れたりする。家族とは変えてラインを登

る。或いは同じラインを行く時には、同時に動かない様にしたりする。

水が流れていれば小滝のような所だが、濡れてさえいない。伏流して

いるのではなく涸れ谷という感じだ。降雨時だけ水流が現れるのかな。

乾いた一枚岩が行く手を遮えぎった。右から回り込めば容易に越せそ

うだが家族は左隅から登るという。よく見ると岩にピトンやボルトが

概ね50センチ間隔で連打されており、残置シュリンゲが残っている。

さして難しくはない所なので、下降用にアブミ代わりに打たれた物か

も知れない。斜度は緩いのだが高度感はそれなりにあるので楽しめる。

少し登ると左岸は大きなスラブとなっている。よく見ると適当な間隔

でピトンが打ってある。ゲレンデに利用されていた時期があるようだ。

左岸の岩壁に圧倒されつつ遡行を続ける。右岸もそれなりの岩場だが、

それも気づかないほどに左岸は迫力がある。麓からは見えないのかな。

河床の岩が露出した所が続く。階段状で快適に登って行ける。ずっと

続けば良いがそうはいかない。落葉で隠れた落とし穴があったりする。

左岸岩壁はまだまだ続くが、登るにつれ河床からの高度は段々下がる。

南側からの陽光に照らされて、暗い谷から見上げると白く輝いている。

岩壁が切れた所で、左岸のシダ藪がガサゴソ鳴る。またイノシシかと

思いきや、男性のハイカーが降りて来られた。聞くと右俣の治山堰堤

の右手を登ったが、北尾根に出そうでトラバースして来られたそうだ。

斜度もグッと下がってきた。稜線も近いだろう。さあ何処に出るのか。

道畦谷中俣なら、芦有ゲートと山頂への登山道の分岐点に着くはずだ。

だが、そんな単純な結末ではなかった。荒地山にこんな平坦な所があ

ったのかと思うほど、広々とした所に出た。どちらに進むかによって

登山道に出る地点は変わる。とりあえず歩きやすい所を選んで進もう。

朽ちた木に大きなキノコが生っている。柔らかくて食べられそうだが。

帰ってから図書館で、「兵庫のキノコ」という本を借りて調べたけど、

それらしいキノコは載ってなかった。何方か御存知なら教えて下さい。

適当な所で平坦地を抜けると笹藪の道に出た。一瞬、山頂から北尾根

に向かう踏跡かと思ったが、そうではなく芦有ゲートに下る道だった。

数十メートル南に歩けば公設道標のある、山頂への道との分岐に出る。

道標の反対側には、此の看板があった。ということは登って来た谷は

道畦谷の中俣に違いない。先日読んだ「芦屋の山」という古い本には

ごく普通のコースのように紹介されていたが、人の気配は少なかった。

分岐から荒地山の頂上へ歩いたが、やっぱり昼食休憩するには、この

山頂良い場所ではない。少し北側へ進んで、なかみ山に行ってみよう。

なかみ山と呼ばれる場所には、休憩するのに良さそうな展望岩場があ

った。六甲山の主稜線を眺められる。此処に座り込んで昼食にしよう。




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