摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

北山公園から観音山(526m)へ登る

確か、昨日のヤフー天気予報では、一日中晴れマークだった。

苦楽園二番町から見ると、灘区では間違いなく雨が降っている。

晴天を信じて家を出てきたがどうだろう。勿論雨具は持ってない。

それにしてもコース取りを誤った。直線で北山公園へ一番近い

コースを選んだつもりだったが、住宅街とは言えど一山越えて、

西宮市緑化植物園に辿り着く。この付近の地形は分かり難い。

園内の北山山荘庭園が、公開されてたので拝観させて頂く。

もう紅葉は終わっているが、置いてある写真をみると、とても

美しいようだ。来年には是非、紅葉の季節に伺いたいと思う。

また他には、浙江省紹興市にある蘭亭を摸したという東屋も

ある。王羲之ゆかりの建造物である。書道家にとっては聖地

なので、日本には幾つもの蘭亭がある。良く再現できている。

単に植物園を通り抜け、北山貯水池に抜けようと思っただけ

だったが、何か拾い物をしたような気分。そんなことを思って

いると、小雨が降り始めた。蘭亭の池に小さな波紋ができる。

小雨はすぐに止んだが、空は暗い雲で覆われている。毎日が、

日曜日だから、わざわざ天気の悪い日に来る必要も無い。で

も今さら帰るのも億劫だし、健康の為には週2日は運動すべき。

園内を進んで行くと、花を咲かせた桜の木があった。昨日が

とても暖かだったせいかな。「花咲かじいさん」の、おとぎ話も

存外こんな季節外れの開花を基に、作られたのかもしれない。

北山公園だから、大きな岩が幾つもある。登山道脇の大岩に、

上がればゴロゴロ岳の展望。その間にはバス道が走っていて、

夙川からはバスで鷲林寺に行けるが、それでは歩き足らない。

ミツバツツジも咲いていた。だが、花弁は寒さで縮こまってる。

傾斜は緩やかだが、公園内だけでも、そこそこ標高差はある。

自分は出来ないが、トレイルランニングをするには良さそうだ。

北山貯水池に到着。春には桜並木が綺麗だ。西宮に住んでた

頃には、自転車で早朝トレで走りに来ていた。向こうには甲山。

貯水池の奥に向かって歩いて行くと、モチツツジが落葉に囲ま

れつつ咲いていた。どうも昨日の陽気は、花を狂わせたらしい。

鷲林寺町に到着。数十年ぶりだが、歩道ができ道幅が広く感じ

る他は、それほど変わっていないように思う。住宅街から突然

農村風景に変わるのは、当時でも不思議に思った。雲が速い。

バス停の近くに地域の案内板があった。ろくに下調べもせずに

来たが、観音山の登山コースは全部で3つ、いや4つもあるよう。

山頂へ直登する、ベルナールコースが良さそうだが、分るかな。

コース名のベルナールって何の意味だろうと、考えながら歩いて

いたら、鷲林寺の山門下に到着した。六甲山という山号は大きく

出たもんだ。普通は寺域内の山名がほとんどだ。鐘楼まで登る。

境内北側の車道を登り、若宮神社を行き過ぎた所で山道に入る。

コース名の書かれた道標はない。すぐ堰堤に突き当たり、南側の

尾根に取りつく。どのコースなのかは分からないが登れたら良い。

北山貯水池を掘った土を、真横に積み上げたように見える甲山。

この時は展望が良いから、パノラマコースを登ってると思ってた。

整備された登山道ではないが、良く踏まれた道が続いている。

空は曇ったり晴れたりだ。時折小雨も降ってくる。時雨れ模様。

鷲林寺のバス停からだと、1時間弱で山頂に到着。普通の人

なら40分ぐらいだろう。南側の方が、やや高いように思われ

るし、三角点も無いが、展望の良い此処が山頂でよいだろう。

風を避けて貯水池の見える岩陰で、昼食の準備をする。黒い雲

が広がり霰が降って来た。霰はすぐに雨に変わる。「コンニチワ」

白人青年に挨拶された。彼がこの日、山中で出会った唯一の人。

食事を終わった頃には雨は上り、深谷貯水池に虹が掛かった。

振り返ると青年の姿はなかった。ゴロゴロ岳に向かわれたのか。

ついさっきまで暗雲に覆われていたが、やけに白い雲が現れた。

寒冷前線が通過したのだろう、家族はダウンジャケットを着込む。

それにしても展望が良い。360度ではないが大阪平野だけで

なく、六甲山頂方向も良く見える。松の木は夏には日陰を作り、

良い休憩場所を提供するだろう。又とても清浄に保たれている。

かなりの頻度で、どなたかが清掃されていると思う。岩に書かれ

た山名以外は、人工的な物がないのも清々しい。とても良い場所

だった。また来ようと思いつつ、住宅街脇のゴロゴロ岳へ向かう。



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