摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

神ノ上山(370m)・・・・・岡山県・和気町

12月18日は所用があり、東広島に宿泊した。19日は帰宅するだけ。

勿体無いので、何処かで山登りしよう。広島以西には、登りたい山は

沢山あるが、東広島からの帰路には岡山県和気町の山しかなかった。

西条駅7時41分発、和気駅10時44分着。西条は濃霧だったが

和気ではすっかり快晴となる。駅から北西に進んで金剛橋を渡る。

正面は和気富士と呼ばれる小山。左裾辺りに登山道があるはず。

岡山県の山というガイドブックには、NTTの裏と書いてあったが、

無人の電話交換施設で分かり難く、道路脇の「健康づくりの路」

という道標で気がついた。朱色の鳥居を潜って山に入って行く。

すぐに岩の道となって展望も開ける。9月1日から11月30日は

松茸山なので入山禁止。帰ってガイドブックを読み返すと確かに

備考に書いてある。知らずに来たが、禁止時期でなくて良かった。

その上、11月15日から翌年の3月15日までは、猟期だという。

姫路辺りの山がそうだが、標高の低い岩山は10月でも非常に

暑く登ってられない。なので猟期がそのまま登山適期と重なる。

登山口から、20分ほどで和気富士の頂上。城跡だという山頂は、

小広い平削地だが展望は無い。通信施設と小さな祠があるだけで

そっけない。山名碑も無く、和気富士という名の割には魅力がない。

和気富士からは道標に従い、登山道を北に向かう。丸い岩尾根が

現れる。この辺りは姫路の山と良く似ているが、吉井川の緩やかな

流れが岡山らしい雰囲気だ。暑いので上着を脱いでザックにしまう。

運搬用モノレールの軌道。右に和文字焼きの薪が詰まれている。

中腹に、和気観音堂があるので、此の付近を観音山というようだ。

和文字焼きの火床が並ぶ。標高は170m前後だろう。里が近い。

全然、山を歩いているという気がしない。こんな感じが続くのかな。

登山道の斜度が上がると両脇にシダ藪となる。芦屋辺りのシダ

に比べると小さく貧弱。これも姫路辺りの山と良く似た雰囲気だ。

さらに登ると岩尾根となる。六甲山の花崗岩とは全く違う細かい

節理の岩場。日陰はなく岩が日光で熱せられ12月の今も暑い。

「岩山」という札があるピークから、鵜飼谷温泉の建物が見えた。

神ノ上山に登った後、温泉に下山したい。道は多分分かるだろう。

この山域には通称「和気アルプス」と呼ばれている。ガイドブック

にも記されているので否定はしないが、なぜ岡山県和気の地域

性を大事にせず、他の何処かになぞらえるのか。○○アルプス

と名付けてしまうと、その他大勢の一つにしかならない。田舎の

○○銀座というのと同じだ。そういや西宮には鳴尾銀座があった。

乾燥した岩山に松の生える様は、AlpsよりSierraNevadaに似てる。

歩いてきた南側を望む。南から北のコースなので、逆コースを

とると終始逆光になってしまう。登山口から1時間半歩いている。

ピラミダルな穂高山に向かう。北斜面のルンゼがすごい迫力だ。

この山名は実名なのだろうか。摩耶の新穂高も登山者が勝手に

命名したものだろう。国土地理院の地図に載れば実名なのかも。

これだけ個性的なピークが多ければ、それらを区別するために

名称が必要なのは理解できる。だが、穂高・槍・キレット・バット

レス・ザイテングラート等と並べられると、やや食傷気味になる。

竜王山の北面。ついあの尾根なら登れるかなとか思ってしまうが、

もう我々には無理だろう。稜線が樹林帯なのが少々残念なところ。

竜王山への分岐を過ぎ更に北に進む。今までこの山に来なか

ったのは、交通費の問題もあるが、ガイド本やネットの記事から

パラダイス化した山と、思い込んでいたのが最大の理由だった。

奥ノ峰へは一旦、鞍部に下る。とはいえ標高200mの山なのだ。

鞍部にあるキレットがどうと記された札には、苦笑せざる得ない。

鞍部から急なシダ藪の道を登り返す。思っていたより私製道標

は小さくて目立たない。やや多すぎる様にも思われるが、その為

か、赤ペンキなどでマーキングして、山を汚す者もいないようだ。

道標が神ノ上山を指すようになると、緩やかな樹林の道となる。

わずかな日陰でもひんやりとして、体感温度は一気に下がった。

神ノ上山の頂上に近づくと、平坦といっていいほどの道となる。

大回りする様に迂回する。直上しないのは理由があるのかも。

午後1時45分、神ノ上山の頂上に到着。和気駅からは3時間

かかっている。概ねガイド本のコースタイム通り。我が家にして

は早い。山頂一帯は伐採され展望はあるが、いかにも不自然。

山頂では二人でバナナ五本の昼食を済ます。居心地の良い所

ではなかった。まあ山頂ってそんな所が多いかな。摩耶山も然り。

元の道を、奥ノ峰ピークまで戻ってきた。此処から北へ下ろう。

北側ならば何処でも良いかと思ってたが、鵜飼谷温泉へ直接

下れるなら、それにこした事はない。この案内は有り難かった。

細尾根を下って行くと左手に岩尾根が見える。道標にザイテン

グラートと記されていた所だろうか。もし近所に住んでいたなら

歩いてみたいルートだ。ただ夏ならフライパンの上みたいだろう。

前方に岩の小ピークが見える。「槍」と命名されているようだ。

まあシェール槍も似たような物。僅かな登りでピークを越える。

眼下の集落が大きくなった。瓦屋根が揃っていて、統一感がある。

今まで食わず嫌いで来なかったが、思ったより楽しい山行となった。

またこのような機会があれば、コースを変えて歩いてみたいと思う。

尾根を直進すれば、温泉に行きつくだろうが、道は左手に見える

処分場に向かって下って行き、テニスコート横の車道に飛び出た。

鵜飼谷温泉で汗を流して帰ろう。入浴料は600円。ホテルに併設

してるので年中無休。内湯も露天風呂も綺麗で気持ち良い。だが

休日には相当混むと思われる。寄らずに帰宅する方が得策だろう。



今日のBGM