摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

道畦谷右俣から荒地山を経てロックガーデンへ

とにかく寒い。昭和54年築のアパートは断熱材なんて入って

ないのかもしれない。朝起きると、久しぶりに晴れていたので

山に行こう。陽射しがあるなら家にいるよりは、暖かいだろう。

山手町の犬はバウワウと吠える。外国生まれなのかもしれない。

城山への登山路を外れ、道畦谷へのトラバース道に入って行く。

一か所だけ抜けた所があり、やけに白い芦屋の街を見下ろせる。

道アゼ谷堰堤から荒地山を望む。この堰堤は国設で銘板がある。

図書館で「芦屋の山 ロックガーデン」という本を借りた。その本に

道畦谷中俣が紹介され、「楽しく登れる」という一文が目についた。

北尾根の分岐を過ぎ、南尾根の取付きも過ぎると、巨大な堰堤

が現れた。左岸から巻き上がる。さて前述の本は読み込んでい

ない。もちろんコピーも持って来ていない。なぜなら知り過ぎると

興趣が削がれる。ネットで得られる情報もマーキングも同じだ。

堰堤の上流には小滝があった。水流沿いを登って行くと、谷は

二俣となっていた。何方を選ぶか、本をちゃんと読んでいれば。

気になったのは堰堤のある方だ。なぜなら中俣を登ると荒地山

頂上の南側に至るという。それだけ流域も長いので右股よりも、

谷自体大きいはずと勝手に思ってしまう。なので右側を選んだ。

平成23年度建築の治山ダム。県が作ったもので、名前はない。

但し管理番号201110だそう。ありがたいことにステップがある。

その上にも治山ダムがあった。此方は管理番号は201111。

この時点では、こんなに大きな堰堤があるのだから本流である

中俣を登っていると思っていた。稜線に出るまでは気づかない。

二番目の治山ダムの上の河原に、不思議な木があった。がくの

色が濃い赤紫。まるで花の様でもある。だが花は受粉を促す為、

でも実が落ちたがくが、派手な色をしている理由は何故だろう。

巨岩が積み重なる谷を登っていくが、それほど急峻ではない。

中俣は浮石が多いとあったのでメットを被るが、必要なかった

かも。ただ家族は2度も木に頭をぶつけてたので役にはたった。

巨岩帯を過ぎると、シダ藪の登場だ。さして日当りが良いとは

思えない場所だが、大きく成長し密生している。その藪の間に

踏跡は続いている。この手前でもっと左に登れたかもしれない。

傾斜が落ちた所で岩に上ると展望を得られた。写真には写って

ないが、右手の稜線が高い。ここで中俣ではなく、右俣を登って

いたことに気付いた。まあ、こういう失敗なら、山の楽しみの内。

少し登れば道に出た。どうやら道畦谷北尾根に下る道のようだ。

それにしても標高の低い所に登りついた。頂上へはもう一登り。

芦有道路の芦屋ゲートに下る一般道に合流し、途中で頂上へ

ダイレクトに進む笹藪の道に入る。少し進んで、北側の展望所。

荒地山の頂上で、昼食を済ませてから、南西に下る道に入る。

道標はないが良く踏まれた道。高座谷の上流辺りに下るはず。

此処からが本来の目的。昔に日向ぼっこした岩を見つけたい。

少し下った所に岩があったので登ってみる。展望はとても良い。

一日晴天がもつかと思っていたが、何時の間にか暗い曇り空。

下を見ると立派な松の生えた岩場がある。これが黒岩だろう。

位置的には此の辺りかと思うが、黒岩は幾つもの巨岩の塊で、

平坦な所はない。だが黒岩に登ってみると眼下に目的の岩が。

黒岩から道に戻り、少し下ると其の岩があった。此処だろう。

3畳位の広さ。平坦だしゴツゴツしてないので、日がな日向

ぼっこしてても無理がない。よく家族と来ては寝転んでいた。

道に戻って下って行くと高座谷の上流に着いた。進入禁止と

道標が指すのが行きたい方向。此処から風吹岩へ行きたい。

何故に進入禁止なのか解らぬほど良い道が続く。しばらくは

水流に沿って歩くが、やがて西側の尾根に上り一般道に合流。

シダ藪が丈の低い笹薮に変わた。静かで雰囲気の良い所だ。

一般道に出た所に、大きな岩があったので登ってみる。案外

平坦に見える荒地山の頂上付近。どの辺りを下ってきたのか。

しばらく一般道を南に進めば風吹岩に着く。昭文社の地図には

風吹岩跡と記されている。もっと大きな岩だったが崩れたのか。

中央稜への道を下ると展望の良い所に出る。最近は風吹岩より

こちらの方が人気があるようだ。此処から萬物相に下る道がある。

家族は昔に一度歩いたことがあるらしいが、ハムは初めて来た。

たぶんそうだ。もうその頃の記憶は、部分的にしか残っていない。

奇観ではあるが、それ以上のものでもない。箱庭的風景というか。

萬物相から一旦谷に下り、一番太い道を歩きB懸尾根を越える。

また谷に下り、登り返すとC懸ピークを見る。立ち寄ってみよう。

階段状の岩場を登る。風化した砂礫が積もり足下が定まらない。

トラロープが残置されいるが、とても信用できない触らずに登る。

ピークからの風景は見るべき物も無く。休憩する気にもならない。

A懸側へ下ろうと思ったが、道が分からず、登って来た所に戻る。

トラロープの支点の松は完全に枯れ木だ。ゆするとグラグラする。

夕暮れも迫っている、C懸垂尾根を登り中央稜の一般道に出る。

山歩きを、始めたばかりの人が来れば楽しめそうだ。我々も

そうだった。中央稜にもアトラクション的な要素が幾つもある。

高座滝の手前で若いハイカー二組とすれ違う。軽装で今から?

と、心配しかけたが、家族に「若いから大丈夫!」と窘められる。

名残りの紅葉を見つつ下る。JR芦屋駅に着くと真っ暗だった。



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