摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

高流湾からシャープピーク(468m)・・・・・・西貢・・・2016年11月2日

シャープピークには6年前に一度登っている。秀麗な山容と麓の

美しい砂浜に魅了された。ぜひ再訪したいと思っていた。今回の

旅行の最大の目的である。前回と同じアプローチでは面白くない。

シャープピークから北に伸びる半島の先に、着岸する客船がある。

MTR学駅から歩いて、馬料水埠頭へ向う。午前8時30分出港。

学駅には適当なレストランが無くて、売店で饅頭を買って食べる。

出発間際に高校生の団体が乗船して、ほぼ満員の船は定刻に出港。

他にハイカーも10組ほどいた。船費 9.5HKDを集金にきた船員に

行き先を聞かれ高流彎と書いた紙を見せる。北側には八仙嶺の山並。

南側には牛押山と馬鞍山の山塊が。平日は一日往復2本の船便。

出港が8時半で到着が10時過ぎ。もう少し早い時間だと良いだが、

選択の余地はない。大浪湾の砂浜にも寄りたいが時間的に難しい。

高校生達は茘枝荘で下船した。二階席は屋根があるだけなので、

風が吹き抜けて段々寒くなって来た。ウィンドブレーカーを着込む。

いつのまにかハイカーも下船していたらしく、残りは我々含め3組。

次の塔門を出ると、船員に船首に行くよう言われる。客がいないと

着岸しないらしい。結局、高流湾で下船したのは、我々だけだった。

残り2組は赤徑まで行くらしい。この埠頭には犬が2匹遊んでいた。

埠頭から東側には、集落があるが売店等はなさそう。我々が進む

西側には歩道は続くが廃屋ばかり。薄気味悪くもある。埠頭で遊ん

でいた2匹の雌犬が、我々を案内するかのごとく前を歩いて行った。

我々の歩みが遅いので、先に進んだ犬達は所々で、立止り待って

いる。山から海へ小沢が流れ込む所。沢沿いに登り鞍部から尾根

に、取りつけないかとも思うが、今一つ自信が持てず舗装路を進む。

我々が歩きだすと犬達も先に進む。というか追抜き先導するよう。

送りオオカミなのかも。家族は比良で、猟犬に咬まれた事があり

怖がっている。犬を飼った事もなく、どう対処するのか分からない。

道標が赤徑を指す方へ行ってみるが、すぐ墓場に突き当り道は

途切れる。ウロウロと道を探して行ったり来たりする間、犬達も

待っていて、どうも深湾の方へ誘導しようとするが、そっちは違う。

そういえば少し前に踏跡があった。藪っぽかったので無視したが、

そこが尾根への取りつきかもしれない。上の写真で塩ビパイプの

露出した所に踏跡がある。犬達は元の道を駆けて行く。今の内に。

ガサガサ藪を分けて登って行くと、一気に周囲の樹林の丈が低く

なって、視界が広がった。シダ藪と照葉樹の低木が密生している。

振り返ると高流湾の埠頭や集落はもう見えない。右手の島が塔門。

やっと犬達は家に帰ったのかな。視界の効かない藪は苦手なはず。

と思ったのも束の間で、犬達は勢いよく我々を追い越して行った。

秀麗なシャープピークが見えてきた。此の道で間違ってないだろう。

とても暑い。日陰など全く無い。強い日差しが容赦なく照りつける。

毛皮の犬はもっと暑いはず、水を与えようとするが見向きもしない。

黒犬は年寄りのようだ。何となく疲れたみたいで、遅くなってきた。

早く帰さないと行けないと思うが、どうしたら良いのか分からない。

犬達は先に行っては、低木の日陰を探し、我々が来るのを待っている。

喉も乾いているようで、時々、日陰の葉に残る朝露を舐めたりしている。

一旦鞍部に下り急斜面を登る。鞍部に大きな木があり日陰もあった。

先に行った犬達は、疲れた様子で座り込んでいた。もう帰るだろうか。

岩の露出したピークに到着。高流湾から2時間かかっている。犬達は

追ってこない。此処で林檎2個の小休止する。暑くて食欲が余りない。

そろそろ行こうかと思ったら、犬達がゆっくり登ってきた。我々には

関心がなさそうな様子。まるで好んでハイキングをしてる風なのだ。

大浪坳からの一般道と合流した。平日でもハイカーが多い道だ。

犬達は別れも告げずに、あっさり別のハイカーの方へ走り去った。

合流地点からシャープピークへは、一旦鞍部に下らねばならなかった。

これは想定外。暑さと疲れで何度も休む。犬達も疲れているはずだが、

2時間半の道のりを家まで帰れるのか。水筒も弁当も持ってないのに。

頂上は遠く見えるが、そこは標高468mの山。実際はさして遠くない。

午後からは急に雲が多くなり陰って来た。暑さは和らぐが少し残念だ。

というのも、山頂から見る青い海を、期待していたから。曇り空では

冴えない色だろう。登山者が増えたせいか、6年前より道が広いよう。

午後1時40分山頂に到着。若いハイカーが数組いて賑やかだった。

SNSに投稿するのか、何度もポーズを変えて記念写真を撮っている。

やはり海の色は良くない。歩いてきた半島を見下す。先端が高流湾。

尾根筋には、道が線を引いたように見える。6年前にこの景色を見て

歩いてみたいと思い続けていた。念願が叶った訳でその点では満足。

東側の景観。6年前には無かった、土砂崩れ跡が多く見られる。

台風災害かな。前回は此方に下り米粉頂を経由し浜辺に降りた。

今日も予定では、大浪湾に降りて美しい砂浜を、歩きたかったが、

もう疲れ切って、浜辺へ往復する元気も時間も無い。曇り空なのを

言い訳に、このまま大浪坳を経由して北潭凹のバス停に向かおう。

頂上から少し下った平地に犬達がいた。頂上まで登る気はないよう。

疲れ切った様子で座り込んでいる。よく訓練された犬達で、全く吠え

ないし、飼い主以外の人が差しだす、食料や水には見向きもしない。

もう我々には興味がないようで追って来ない。今日中に家に帰れる

かな。犬の扱い方を知っていれば、対処のしようがあったろうに・・・。

大浪坳まで稜線を歩き、名残を惜しみ振り返る。土砂崩れ跡が多い。

大浪坳でトレイルに合流。案内板や道標が完備され舗装路となる。

その割には展望の良くない退屈な道。だが暑い香港では日陰の道

の方が好まれるのかもしれない。数組の団体ハイカーが前後する。

この道の嫌な所はそれだけではない。一旦、海辺に下りてバス停の

ある峠に登り返さなくてはならない。その点は逆コースにしても同じ。

家族は6年前に通った、此の廃村を覚えてない。まあ似た所は多い。

北潭凹に近づくと、東側に数か所抜けた所があって、シャープピーク

が見える。手前は湖のようだが海であり、右奥に船が寄る赤徑がある。

16時36分に西貢行きのバスが来た。北潭凹のバス停に20名程

のハイカーが待っていたが、既にバスは満席で西貢まで立ち通しだ。

平日でさえこうだから、増便されるにしても休日は出来れば避けたい。