摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

雞公嶺(585m)・・・・・新界・・・2016年11月4日

今日は金曜日。香港の宿の値段が高騰するので、中国本土に退避

しようと思う。その為香港北部の新界地区の山を歩いた後に、羅湖

へ抜けるのが効率的だと思われた。新界地区で初めての山に登ろう。

MTR元朗駅で飲茶の朝食を済ませ、逢吉郷行きミニバス停留所

を探すが、中々見つからない。MTR駅の地下ターミナルにあった。

満員で一台やり過ごし、25分待って次のバスに乗る。通勤時間だ。

終点でなく藍球場で下車するというが、藍球って何だろうと思って

たら、バスケットボールのコートがあったので、此処だろうと下車。

二差路を山側に進むと、電柱の下に階段があり、其処から入山。

ところが階段の先は墓場で、登山道ではなかった。ふと見上げ

ると、東側を二人のハイカーが歩いておられた。あそこが道かな。

このお二人とは下山口近くまで、終始、相前後して歩くことになる。

バス停から最初の電柱ではなく2番目だった。交通や登山口の

情報は香港の方のブログを参考にした。中国語は分からないが、

漢字なのである程度は読める。だが細かい点までは分からない。

登山口付近にこそ木が生えていたが、すぐに一面の草原となる。

雲一つない快晴だ。予報では気温は25度位だが、強烈な日差し。

11月だが日なたでは日本の真夏並みの暑さ。汗が噴き出てくる。

この山には道標類は全く無いが、車両通行禁止の看板がある。

どうしてかなと思ったが、山頂付近を2台のトライアルバイクが

走ってたので納得。草山だから走ろうと思えば何処でも走れる。

登ってきた逢吉郷を振り返る。鄙びた名前だが、小さな工場が

幾つも集まっている村。バスが25分に一本では通勤も大変だ。

雞公山(374m)の頂上直下には、通信施設があった。日陰で

一休みしようと思うが、座り込むには適当な所がない。藪を分け

北側の岩場に日陰を求める。吹き上る北風が涼しくてホッとする。

北側の展望。香港側は花園と呼ばれる高級住宅街。深圳河の向う

には、深圳市福田区の高層ビルが見える。大気汚染で靄っている。

日陰で休んでいると、家族は寒いと言って、日なたに出ていった。

陽射しは強烈だが、それなりに気温は低いよう。ハムはまだ暑い。

三角点のある雞公山(374m)に到着。圭角山(585m)を望む。

この二峰が作る独立した山域を総称して、雞公嶺と呼ぶらしい。

「山高きが故に貴からず、樹有るをもって貴しと為す」と言うが、

木のない此の山も、600mに満たない山にしては立派な山容。

また大きな岩の日陰で休憩する。登山口から相前後して歩いてる

お二人も、同じ岩場で休憩されているが、陽射しのキツイ岩の上に

おられる。やはり香港の方は暑さに対する耐性が強いのだろうか。

新界地区の山に木がないのは、その昔、中国からの不法入国者

を防止する為という話を聞いたことがあるが、どうかな土壌と日照

によるものではなかろうか。もうあと少しで、圭角山の頂上に着く。

大きな三角点のある圭角山頂上。向うのピークの方が若干高い

ように思えるが三角点があるんだから、此処が頂上で良いはず。

だが暑くてたまらずない、頂上で休む気になれない。先に進もう。

念のために向かいのピークにも登っておく。香港の山は三角点は

あっても、有名トレイルでもなければ、山名碑が無いのが普通だ。

草原には、野菊のような花が多かったが、この紫色の花は珍しい。

かなり西に下った所から山頂を振り返る。谷間に向かって幾本か

筋が付いているのは、バイクが走った後かもしれない。こんなに

乾燥した所では、一度の事も植生や地盤に与える影響は大きい。

此処までは一本道だったが、下山に掛ると尾根沿いに良い道が

北へ向かっている。例のお二人は、そちらに進まれた。だがバス

道は右手にある。適当な所で藪っぽい細い道を西に下って行く。

展望が効くのでバス道が、何処を通っているかを見ながら下る。

藪を分けて進んで行くと、足元に突然水路が口を開けていたり

と危険な所もある。それでも何とか舗装路まで無事に出てきた。

川を渡ると太いパイプラインを潜って車道に出る。このパイプ

ラインは1960年代に中国本土から水を輸入するために作ら

れたものであろうか。今はともかく当時は水不足が深刻だった。

車道を元朗側に5分ほど歩くとバス停があった。しばらく待って

77Kの二階建てバスで上水駅に向かう。やはり二階の最前列

に座る。上水からMTRに乗車し次の駅が、イミグレのある羅湖。

陸路では出国と入国が続くので、面倒に思えるし時間も掛かる。

だが最近の香港の出入国は、パスポートにスタンプも押さない

し、自動化ゲートの利用が進んでいるせいか割りとスムーズだ。