摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

鶴咀山(325m)・・・・・香港島・・・2016年11月7日

2012年1月のことだから、もう5年程前のこと、龍背という尾根

道を歩いた。トレイルに従わずに、尾根の末端まで進んでみると

バス道に下りついた。その先にもピークがあり、少し心残りだった。

今回の最終日に計画してみた。標高が低いのでゆっくりできるだろう。

MTR筲箕灣駅の近くで飲茶を楽しみ、石澳行き2階建てバスに乗る。

20名ほど乗車待ちされていたが、やっぱり2階最前列に着席出来た。

20分ほどで「鶴咀」停留所に到着。大風坳という峠から数百米入った

所にロータリーが作ってある。峠にはバス停はないので、前回ここまで

歩いた。見回しても道標類はないので、鶴咀村への車道を歩いて行く。

数百m歩いても登山口は見つからず、やはりバス停付近かなと、

戻ってきた。どうも貯水槽や付属設備の間を進んだ先が登山口。

ゴミが散乱してるが、正式なトレイルではないので、こんなものか。

入口付近の薄暗い雰囲気にガッカリするが、数十m進むと視界が

開けた。背の低い照葉樹が一面に繁る。吹き抜ける風も爽やかだ。

道は割としっかり踏まれているが、藪に隠れて時として見失いがち。

さらに登れば、岩盤が露出するようになってくる。斜度は緩いので

何処でも歩ける。この辺りでは、此処かなと思うような所を進むと、

再び藪道に戻るということを繰返す。道標はないが不安は感じない。

振る返ると足元にバス停のあるロータリー。大潭湾を挟んで赤柱を

望む。赤柱の右には、やはり5年前に歩いた柴羅蘭山が見えている。

ロータリーを回ったバスが峠に戻って行く。手前の岩の多いピークの、

向うまでが龍背(ドラゴンズバック)のトレイル。TIME誌がBest Urban

Hike in Asiaに選んだが、ハム的には手前の岩峰のほうが良かったな。

だんだん岩場が広くなり、家族とは数十m離れ好きな所を歩いてる。

まあ、高みに向かって登っていれば、そのうち同じ所に行きつくはず。

岩清水が浸み出ている所に、白い草花が群生している。寄ってみる。

蘭に似た繊細で可憐な花。山野草にほとんど興味はないが、こんな

綺麗な花は見たことがない。思えば此の山のハイライトは此処だった。

もう山頂も近いと思われると、岩場は途切れ、照葉樹の森に入る。

視界はなくなり、良く踏まれた道を進むと、石澳村方向からの道と

合流する。気になったが今日は岬の先端へ下るつもりなので無視。

そのまま高みに進むと、何処が山頂か分らぬまま電波塔へ出た。

帰国後にネットで調べてみると、この近くに三角点があったようだ。

なんと立入禁止区域なので、車道も思うように歩けず、道路脇の

崖の上を歩いて、施設や柵等を迂回した。どうもその間に岬への

下り口があったよう。岬への道を碌に探しもせずに、足早に下る。

東側に鶴咀と呼ばれる岬が見える。かなり現在地より離れている。

ということは、電波塔のすぐ近くで、東側へ下る道があったはずだ。

時刻はまだ11時前。これから鶴咀村を経由して、岬を往復しても

十分余裕はあるだろう。そんな気もあり道を外した事は気にしない。

鶴咀村に寄ってみるが、人は住んでいるが、廃屋が多く寂しい村。

鶴咀村を一周した後、岬に向かおうとして車道を東へ進んで行くと、

前方に放し飼いされた犬が数匹。やおら此方に向って吠え始める。

これで、あっさり岬行きも諦める。写真よりも実物はもっと怖かった。

来た道を戻って、朝下りたバス停に向かう。山上には電波塔が数基。

バス停までの間には、岬へ向かうであろうハイカー数組とすれ違った。

彼らはたぶん犬が居ても平気なんだろう。案内犬だったかも知れない。

まだ々時間があるので町には戻らず、バスに乗って終点の石澳村へ。

外国人向けのレストランが並ぶ、リゾートっぽい雰囲気の小さな村だ。

浜に出て鶴咀山を望む。此方側も露出した岩場が続く。登り返したく

思い登山口を探してみるが、山に向かう道を辿ると民家で行き止まる。

写真を見直すと、村からだけでなく、砂浜の端辺りも探すべきだった。

登山口を探しウロウロする。ずらりと並んだ売店の端の店が気になる。

ちなみに背後の稜線が龍背(ドラゴンズバック)。士多はstoreの意味。

冷えたビールが、3缶で10HKD(140円ぐらい)の看板に釘付け。

魅力に負けて購入してしまう。道も見つからないし、今日はもう沈没。

木陰のベンチでまったり。11月だが無料のシャワーや更衣室も使える。

水温も十分高いが、海に入っているのは白人の方達だけ。遠足にきた

地元の高校生たちは泳がないよう。店の多さからして夏は混むだろう。

香港で一番きれいなビーチじゃないだろうか。ゴミ一つ落ちていない。

実は香港の山も大概登ったので、もう最後かなと思って来たのだが、

この浜があるのなら、また来ても良いなと思ってしまう。次回は泳ごう。

海で海藻を取っていた人が、幼い子のバケツに何か入れてやってる。

見せてもらうと「クマノミ」だった。浜から数メートルの所にいたようだ。

水がキレイな証拠かな。お父さんが写真を撮った後、海に返していた。

石澳からバスでMTR筲箕灣駅へ戻り、バス停からすぐの市場に。

鴻昇餅店でエッグタルトを買う。5年前より値上りし行列はないが、

焼き上がる端から売れて行く。筲箕灣からはトラムで北角に戻ろう。



(この山行は香港の「山上行」さんの記事を参考にしました。多謝。)