今回の旅行では、寧越郡の１０００ｍ前後の山を幾つか登ろうと
思っていたが、最初に登ったミンドゥン山（１１１７ｍ）で、紅葉の
色づきがイマイチだったので、標高の高い山に目標を変更した。
駅前の観光案内所で、咸白山登山に使えるバス時刻を教えて
もらった。タクシーで行けば山頂まで３０分だそうだが、南北に
二つの峠を結ぶコースを選択した。午前６時２５分ノンゴリ行き。
ファバン峠で６時４７分下車。此処は太白山と咸白山との鞍部。
当然、立派な登山口があると思っていたが分からない。晩頂峠
への車道を進んだが、誤りと気づいて再びファバン峠に戻った。
なんと登山口は、廃屋の脇の畦道だった。軒先に吊られた案内
登山会のペナントだけが目印。道標も案内地図も見当たらない。
韓国にありがちなことで、私有地だから立てられないのだろう。
山に入ると少々藪っぽいが道は良く踏まれている。この尾根筋
は、いわゆる白頭大幹。中国国境の白頭山から智異山まで貫く
山脈として重要視されている。通して縦走する人も多いという。
３０分で１２１４ｍのスリ峰に到着。とすればファバン峠の標高
は９００ｍ位かな。そもそも太白市街が標高７００ｍもあるので
そんな所だろう。展望もない平凡なピークの割に立派な山名碑。
スリ峰を過ぎると案内板やら道標が現れる。どうせなら登山口に
設置してもらいたい。昨日は半日コースだったので足は軽い方だ。
紅葉の多い山ではないようだが、所々で色づいた木が見られる。
ファバン峠から１時間半で、晩頂（マナン）峠に到着。此処には
駐車場や食堂。公園もあって小さな観光地となっている。咸白山
へは車道を北へ進み、登山者用の駐車場から、再び山道となる。
道が広くなった。咸白山は穏やかな山容のため、車道が山頂近く
まで通じているし、山頂のテレビ塔などの人工物が多い。登山の
対象としては興味は薄いが、立派な山名に魅かれる物があった。
前方に目指す咸白山の眺望が開けた。送電線が邪魔をしているが、
なかなか立派な山容だ。ただ１５００ｍ超という標高程のボリューム
は感じない。隣の太白山もそうだが、ベースの標高が高いせいかも。
明るい林の中の登山道をのんびりと歩いて行く。傾斜は緩やかだ。
また車道に飛び出した。山頂に一番近い所で、観光案内所の人が
タクシーで行けると言っていた場所だろう。日曜なので駐車も多い。
山頂のテレビ塔まで車道が続くが車止めがある。登山道は車道を
１００ｍほど進むと、右手に別れる。山頂までは残すところ９００ｍ。
最初の内は緩やかだったが、さすがに山頂近くなると急傾斜となる。
振り返ると今日歩いてきた緩やかな山稜。左手の山塊が太白山だ。
ここまで岩場はなかったが、山頂だけは大きな岩塊が露出している。
午前１０時２０分。咸白山頂上に到着。予想よりも大分早く着いた。
しばらくすると沢山の人が登ってきた。登山者というよりも観光客。
駐車場から３０分程なので空身の人も多い。右はＫＢＳのテレビ塔。
東に昨日歩いた梅峰山が見える。発電用の大きな風車が並んでいる。
朝食をまだ食べていなかったので、山頂で頂こう。コンビニで買った
三角ミムパッ（おにぎり）。あんまり美味しくはないが、具材にカツが
入ってるのが、腹持ちが良くて山向き。たまにすごく辛い物もある。
西には三角錐の山が、二つ兄弟のように並んでいる。あれが明日登る
予定の毎峰山と丹楓山だろうか。地図を見て稜線漫歩と思っていたが、
帰ってから写真を見直すと、両者間の鞍部が相当深いことに気づいた。
食事を終えたら下山にかかる。頂上から北のトゥムンドン峠へ６ｋｍ。
緩やかな稜線を辿って行く。前方に中咸白（１５０５ｍ）が見えてきた。
もっとアップダウンがあるかと心配していたが、急な登り返しは此処
だけで、後は終始緩やかな尾根道だった。順調に距離を稼いで行く。
季節外れに花が咲いているのかと思ったら、木の実がはぜて中の赤い
実が見えていた。似た実は日本でも見るが殻がピンクのものは初めて。
トゥムンドン峠が見えてきた。正面の山が 金台峰（１４１８ｍ）で野生
花群落地がある。更に尾根を進むと、梅峰山の風力発電団地に至る。
午後１時３０分。トゥムンドン峠に到着。左の建物は山火事の監視所。
観光案内所の人に太白側ではなくて、西の古汗（コハン）側へ下ると
市内バスの停留所があると教えられている。３０分ほどで着くらしい。
車道歩きで、しかも下りならばと、タカをくくっていたら、この３０分が
今日一番辛いアルバイトだった。アスファルトの道は思うより疲れる。
バス停で２０分も待っていると、太白行きの市内バスがやってきた。
