摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

梅雨明けの摩耶東谷遡行(上流編)

7月23日の土曜日は、摩耶東谷の深谷堰堤の上から入渓した。

第2堰堤で一旦遡行を打ち切って、一般道で行者小屋まで進む。

此処からは、久しぶりに摩耶東谷の本流を、詰めてみようと思う。

三段の行者滝。やはりのっぺりとした滝で、我々には登れそう

になく、一般道で巻き上がる。この上に行者小屋があるのだが、

数年前まで人が居たが、今はドアが壊されゴミが散乱していた。

小屋の前から左岸の岩場に上がり、第3堰堤下で沢に戻るが、

せっかくフェルトシューズを履いているのだから、この間も遡行

してみれば良かったと気づいた。次回の楽しみに置いておこう。

小屋を過ぎると道は、踏跡程度になるが、険しい谷ではないので、

登山靴で歩く事が出来る。我々も沢用の足拵えで歩くのは初めて。

幾つかある小滝には、全て巻き道があるが水心を進む。その方が

歩行距離は短いし退屈しのぎにもなる。この辺りは平流が続いて、

倒木やゴミも多いので、普通に歩いていても、決して楽しくはない。

この小さなナメ滝はフリクションが効いて楽しい。気温は32度ま

で上るという予報だったが、足を水に浸していると汗もかかない。

スリット式の深谷第4堰堤。靴を濡らさぬように、梯子や飛び石が

置いてある。我々は沢靴なのでスンナリ通過。堰堤壁面に化粧板

が貼られているのは、ロープウェイからの景観を配慮したものかな。

第4堰堤からしばらくでゴルジェ状の地形となる。最初見た時には

スゴイと思ったが、摩耶山には良く有る地形で、南面の短い沢でも

普通に見られる。沢床は平坦で増水時でなければ靴を濡らさない。

左から支流が入ってくる。詰めれば旧天上寺辺りに出るようだが、

地図を見ると堰堤が沢山あるようで、未だ遡行する気になれない。

ゴルジェ状の最後は井戸の底のような地形だ。二俣となっており、

どちらも滝となっている。見ての通り右俣には、まだ水流があるが、

左俣は岩が濡れている程度だ。ハム的には右俣が本流だと思う。

だが、仲西政一郎氏編の「近畿の山」で、左俣を本流とされている。

詰めればロープウェイ星の駅に直上する。一方、右俣は山寺尾根

の近くに出る。残置されたロープに頼り、土の急斜面をズリ上がる。

今日は水流のある右俣を詰めてみよう。普通なら斜面にある踏跡

を辿ればよいが、水流が途絶えるまでは、沢沿いに進んで行こう。

小滝とも呼べない段差が3つばかりあり、楽しみつつ越えて行く。

この付近は旧天上寺の寺領域なのか、巨大な針葉樹が現存する。

倒木から生えた枝が、それ自体が大木となっている。奇観だろう。

僅かな間だが苔と滑の源流風景も現れる。沢靴ではの楽しみで

この付近から水平道までは、単調で辛い登りが続き嫌な部分だ。

右俣もガレに埋まるようになり、やがて急斜面に水流は消える。

高みに登れば、いずれは旧天上寺と山寺尾根を結ぶ水平道に

出るが、先行する家族は歩き易さを求め、東寄りに斜上して行く。

飛び出したのは水平道と山寺尾根道の合流点。掬星台への丸木

階段道の起点だ。結果的に右俣を詰めた場合の最短コースだった。

最初の小滝で、全身ずぶ濡れになった身には、最後の300mは

きつかった。家族は足が攣って、階段道の途中で5分ほど小休止。

シャワークライミングというが、沢の基本は出来るだけ濡れない事。

東展望台下から眺める大阪方面。梅雨明け直後の好天候。大気も

乾燥していて爽やかだ。今日は来ようかどうか少々迷ったが、来て

良かった。遡行している間は、直面しているストレスから逃れられた。



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