摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

梅雨明けの摩耶東谷遡行(下流編)

近畿地方に梅雨明けが宣言されて、快晴が続く。23日の土曜日も

好天が期待された。現在の状況を真摯に捉えるならば、とても山へ

行っている場合ではないのだが、そこはいい加減なハムの性格・・。

ちょうど阪急六甲の歯科の受診もあるので、先日行って楽しかった

東谷へ家族と一緒に行こう。護国神社で待合せ永峰堰堤に向かう。

杣谷道に入って、途中から東谷の道へ。深谷堰堤上で河原に下る。

深谷堰堤上は真砂の堆積地。綺麗な場所かというと、どうも違う。

漂流物に人工的なものが多い。鍋やトタン板。切り揃えられた薪。

どうも居住していた人がいるようだ。まあ今は居られないようだが。

更に進むと左岸に、廃材を使った猪除けの柵がある。不法耕作地

のようだが、現在は放置されている。住宅密集地に近い摩耶山

では、良く見かける光景だが、国立公園内と考えると非常に残念。

更に進むとミニゴルジェ風になる。此処でようやく山に入る気分。

出口に小滝がある。左岸から倒れた木は、葉が枯れ始めている。

前回は、水心の右手を登ったが、倒木が摺り下がってきたために、

そのルートを登るのは難しそうだ。家族は滝を眼前にして考えてる。

どうにか右へ行ったらと言うが、聞く耳持たず水心を登って行った。

頭から水流を浴びて視界も保てないだろう。中段で一旦躊躇したが

すぐ登り切る。続くハムは、スタンス探しに手間取って時間が掛った。

小滝の上には扇状の5m滝。家族はトラロープ沿いに登って行くが、

信用できずに触らないようにしている。ハムは上段で中央を抜ける。

トラロープの結束を確かめてみると、やはり切れており、木に食い込

んでいるだけ。そもそも此れほど年数が経っていれば、ロープそのも

のの耐性も疑問である。全体重をかけるのは、止めた方が良さそうだ。

5m滝の上には続いて、もう一つ滝が現れる。今では登山道があり、

看過されがちだが、1958年刊「六甲山付近明細図」に、弥生滝と

記されているのが、この滝だろうと思われる。なかなか立派な滝だ。

水心の左側の茶色い部分が気になる。どうも昔、修業の滝が設けら

れていた様な気がする。滝の周囲にはコンクリの壁等人工物が多い。

ホールドが少く、のっぺりとした岩で、我々には到底登れそうにない。

滝の側壁と右岸の斜面の間に、苔むしたガリーに、トラロープがある。

結束は切れ、木に食い込んでいるだけとは知り乍ら、つい頼っている。

樹皮に食い込んだトラロープも、芯が太くなれば断ち切られてしまう。

残り半分が気に食い込み、垂れ下がっているだけ。いつまで持つか。

滝の上は平流となり、大きな変化は無い。それでも滑が断続的に続く。

前回(6月18日)は、降雨が続いた後の入渓で、水量も多いし、水質も

今回よりは良かった。これ以上水が少ないと水質面でも気になるだろう。

前回ジャガーシグマが滑りまくったので、今回はフェルト底の足袋を

履いて来た。ハムはモンベル。家族は秀岳荘の沢足袋を履いている。

流石に黒い苔ではフェルト底も滑るが、ジャガーシグマがツルツル

なら、フェルト底はズルズルぐらいで済んでいる。この差は大きい。

この傾斜の緩い滝は登ろうとしたが、フリクションが効かず、やはり

乾いた水心の右側を登った。この谷は、こんなヌメッとした岩が多い。

平流が続く。斜度がなければ黒い苔は、さほど気にならない。苔や

ヌメリの多い低山では、フェルト底に軍配が上がるのかな。予めに

岩質が分かってれば良いが、分からないと、ジャガーシグマは怖い。

登山道が交差し右岸に移り、水流のすぐ側に続くが、家族は気づく

様子もなく、どんどん進んで行く。幸いこの日は谷の中では、一人も

出会わずに良かった。団体のハイカーに出会うと気恥ずかしい所だ。

手前に小滝。その上に大滝があるかのように見え、家族が声を上げる。

残念ながら、それは深谷第2堰堤から流れ落ちる水。下流部の遡行も

堰堤下で打ち切る。何度も歩いている場所だが、新鮮に感じるようだ。

スカートを広げたように流れ落ちる見返滝。黒いが滝壺の底に白砂が

溜まり、やけに清らかに見える。直登は難しく、水心の左を登って行く。

上には深谷第2堰堤が聳え立ち、行く手を阻む。一般道に出て乗越す。

(上流編に続く)