摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

金勝山 龍王山北側岩尾根・・・・・滋賀県栗東市・・・(2016年6月11日)

今回の山行は一泊二日で計画した。中庄谷直氏の著作四冊から、

4コース選んで、それを一気に、二日間で消化しようという目論見。

それは交通費を、四分の一に薄めるための、浅はかな考えだった。

金勝山(こんぜやま)では、登山道を何々線と呼ぶ。遡行終了点

からは、茶仏線という古い林道を行く。路肩を石垣で固められた

とても立派な道である。いつ頃、何のために作られたのだろうか。

林道は桐生辻に向かって下っているが、現在は通行止めである。

此処から茶仏観音線が、白石峰を経由して山頂に向かっている。

道はあくまでも緩やかだ。テントその他の幕営用具が入っている

ザックがやけに重たく感じる。沢の中では、緊張していたからか

全く感じなかったのに。緩やかな道なので、淡々と歩いて行こう。

分岐から25分で、狛坂線という登山道に合流。この道は途中に

磨崖仏という見所があり、人気があるようだ。二組のハイカーと

すれ違う。僅かで白石峰の頂上。ベンチがあり団体客が休憩中。

白石峰から最高峰の龍王山までも、実に緩やかな道。到着した

龍王山頂は樹林に囲まれ、写真撮影を忘れるほど魅力が無い。

ただし背を伸ばせば、北側に目的である岩尾根が何とか見えた。

山頂直下の祠から、下の林道まで下り、岩尾根を登り返そうと

思ったが、どうも踏跡が見つからない。白石峰からの道を戻り、

適当な所から右の明瞭な踏跡に入ると、岩尾根の上端に出た。

岩場には何の印もないが、何となく人の通っている所は分る。

先ほどの、樹林の中の龍王山頂に比べて、大きな展望が広がる。

その割に立ち寄る人が、少ないのはなぜか。後で理由が分かる。

尾根上の大岩の一つに登ってみる。斜面は花崗岩が風化した砂。

普通の靴でも滑りやすそうだが、ジャガーシグマもさして滑らない。

一旦、尾根下の林道まで降りてみる。この走井林道は栗東市内から

金勝寺に至るものだ。本の中で中庄谷氏が上ったという対岸の尾根

に、踏跡を探してみるが見当たらない。藪を漕ぐ気も無く元へ戻ろう。

林道から岩尾根へは、明瞭な踏跡が続いている。通る人も多かろう。

下りとは違うルートで登って行く。鹿か猪の足跡らしきを追って行く。

近江富士と呼ばれる三上山や、近江平野の景色を見乍ら登り返す。

岩尾根を元の登山道まで登り返す。結局、一時間近くも遊んでいた。

白石峰から耳岩に至る途中、南側に大きな建造物を遠望する。あれが

ミホミュージアムだろう。その存在すら全く知らなかったが、バスの乗客

が外国人観光客で占められていた事を考えれば、相当有名なのだろう。

ちなみに今朝のバスは、ミュージアムが休館すると途中で折り返し、

桐生辻のバス停までは行かない。尾根上は奇岩がいくらでもある。

下からはもっと多くの岩場を歩く。山頂までには食傷気味になろう。

ところで金勝山という名さえ、初めて知った。別の名を金勝アルプス

と言い、湖南アルプスとは別の山域のよう。金勝アルプスは栗東市

南アルプス大津市にある。両者の登山口は10kmも離れていた。

耳岩に到着する。そんな事もつゆ知らず、同じ山域を2日続けて

歩こうと計画を立てていた。最初からこの計画は破たんしていた。

馬酔木か、ドウダンツツジか。この山では大木にならず可憐だ。

落ケ滝線を下って行くと、金勝アルプスの象徴とでもいうべき、

天狗岩が見えてきた。それも納得できる眺め。実は20代の頃、

3年間滋賀県に住んでいたことがある。だが全く知らなかった。

天狗岩に到着。どうも登れるようだ。これは寄らねばなるまい。

風化し雨水に浸食された、迷路のような道を行く。ずいぶん狭い。

こんな岩場で遊んだりしながら、龍王山頂に着けば、もはや道を

外れて、先ほどの北側岩尾根に寄ろうという人も少ないはずだ。

最頂部ではないが、広い平頂部に出た。此処までにしておこう。

夕方も5時近い。お腹が空いている。二人で林檎一個の小休止。

南側の此の大岩が天狗岩の最頂部だろうか。登れそうにない。

今日は初めて知ることが多い。ミホミュージアム・大戸川ダム・

庄助ノ谷の奇観。天狗岩や多くの岩場。来た甲斐はあったかな。

更に進み南から見る天狗岩も奇観だ。卵が幾つも並んでるよう。

空気がだんだん湿気ってきた。明日の降水確率は70%という。

どうも山行中止の理由を探してる。でもテント一式も無駄になる。

主稜線から谷へ下る時点で5時を過ぎている。はたして此の先、

南アルプス・吉祥寺谷まで行けるだろうか。苦労して行っても

今日のようなヌルヌルの谷だったらどうしようか。半ば戦意喪失。

落ケ滝線は露出した岩床を下って行くのだが、あくまでも緩やか。

この緩やかさが歩行距離を延ばし、標高に比して時間の掛る山。

それも想定外と言いたいが、そもそもコースタイムも調べてない。

水平かと見まがうような谷を下って行く。これはこれで奇観だ。

それでいて落ケ滝という大滝もあるのだが、遅いので寄らない。

下り着くと貯水池と草原。遠くに見える黒い箱は養蜂の巣箱かな。

高原といっても良いような所から、上桐生のバス停を通り過ぎて、

初期の計画通り青山のスーパーに向う。食料補給の予定だった。

だが、上桐生から3kmほども歩いて、瀟洒な新興住宅街にある

スーパーに到着したのは午後7時近かった。6km先の天場まで

歩く気もなく撤退決定。午後8時のバスに乗り灘駅着は11時半。



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