摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

月星ジャガーシグマを買ったから、地蔵谷に行こう

6月5日の日曜日。近畿地方は昨日梅雨入りしたという。今日も、

雨は上がっても午後からは曇りという予報。だが、土曜日に動か

なかったのだから、今日は試したいこともあり、山に入ろうと思う。

月星ジャガーシグマという運動靴を買った。この靴の存在を知り

一年以上たったろうか。学校用の運動靴なんだが、沢登りに向い

ているという。ただヌメリの少ない高山の沢に適しているとも聞く。

一足2600円位なのだが、まだフェルトシューズも現役なので、

購入に踏み切れずにいた。だがコメント欄から、摩耶山系でも

十分使用出来ると教えていただき、ようやく購入に踏み切った。

いつもは水質が悪いのを嫌って、地蔵谷第二堰堤の上から入渓

するのだが、今日は地蔵谷堰堤の上から入る。ほとんど平流だ。

底の柔らかい靴なので、とりあえず固めの靴敷きを入れてきた。

普通の道で疲れるのではと思ったが、新神戸駅から地蔵谷出合

まで、歩いた感触は悪くない。まあ荷物の軽いせいもあるだろう。

まだ怖々歩いているのだが、何となく滑らないような気がする。

今日は割と気温が低い。家族はなるべく濡れないよう歩いてる。

それでは試し履きにならないと、ハムはできるだけ水心を進む。

岩に凹凸さえあれば、上の写真のように水苔が生えた場所も、

それほど滑らない。その辺りは、フェルトシューズと同等だろう。

一般道が交差すると第二堰堤が近い。登山道路という古い看板が

吊ってある。以前は道端にあった。それはさておき、淵の水が汚くて、

泡まで浮いている。堰堤上に溜まった汚泥が水質を悪化させている。

今日は靴の試し履きだったので、地蔵谷堰堤から第二堰堤間も

歩いたがお勧めするものではない。夏なら臭いも気になるだろう。

堰堤下の、この丸い岩は良く滑った。平滑でヌメリのある場所は、

滑る。一歩一歩注意して足運びしなければならないのは同じ事。

第二堰堤を一般道で乗り越える。合皮の靴で水の中を歩くと、

靴中の水が抜けず、不快ではと思っていたが、そうでもない。

第二堰堤上の堆積地に下り、メットを被り、遡行を再開する。

水質が明らかに、これまでと違う。水苔も少なく岩も明るい。

晴れていて、もっと水量があれば楽しい所なんだが。沢登

の常識からは外れるが、摩耶山では大雨の後でもないと、充

分な水量は得られない。今日の水量は少なくはないが不充分。

12メートル程の斜瀑が現れる。地蔵谷では唯一滝らしい滝。

家族は滑落後左腕に力が入らず、中段から左の藪に逃げる。

それでは試し履きにならないので、ハムは上まで登ってみる。

中段までは順層のゴツゴツした岩場。ホールドは豊富にある。

上段はヌルッとした岩に変わる。水流の右岸隅にホールド多い。

水量が多いとホールドが見えず難しくなる。今日は容易な方だ。

特にフェルトシューズと違いも感じずに、登り切れたので合格だ。

沢登りを始めた頃は、地下足袋に藁のワラジ。その後に発売され

たポリワラジを愛用する期間が長かった。藁よりは滑るが耐久性

が抜群に良く、経済的だった。そのポリワラジが市場から消えると、

仕方なくフェルトシューズや足袋を使用するが、どれも不安が残る。

それらに比べてジャガーシグマが、耐滑性に優れているとは、まだ

思えないが。値段の点では、それらより経済的であるには違いない。

だが、沢の前後も普通に履くことが出来るので、替えの靴が要らず

軽量化には大いに貢献できる。とくに遡行後の水を含んだフェルト

シューズの重さを思えば、見た目の悪さは我慢できるというものだ。

滝を登った後も滑床が続く。地蔵谷では、第二堰堤と第三堰堤間を

遡行すれば、後は一般道を歩いてスルーしても、良いかと思われる。

第三堰堤前の小滝。水流の中にスタンスがあり、いつも躊躇する。

だが岩質が、ジャガーシグマに合ってるのか、不安なく通過出来た。

第三堰堤を越えるとゴーロが続く。新しい靴にも多少慣れてきた。

滑る所では、やっぱり滑る。決して過信は出来ないが悪くもない。

第四堰堤まで平凡な河原。一般道はすぐ横だが誰にも会わず。

第四堰堤を一般道で乗り越すと、トラロープが張ってある所から

古い作業路跡を利用して堰堤上に下る。道は年々悪くなっている。

第四堰堤の上は、三俣になっているので、その中俣に入って行く。

一般道は、右俣沿いに付いているので、ここからは大きく離れる。

苔の多い岩場を行く。まあ斜度もないので問題なく歩いて行ける。

中俣の最後は小滝が連続する。離れて見ると20m位の斜瀑にも

見えるが、実際は階段状の小滝の連続に過ぎない。普通に歩ける。

以前は水質も良かったのだが、此処二・三年悪化したように思う。

この小滝群を登り切ると堰堤に遮られて、そこで遡行を終了する。

いつも堰堤下で、フェルトシューズからスニーカーに履き替えるが、

履き替えなくてよいので、そのまま登っていく。山行時間の短縮に

も役立っているということになる。堰堤上からは左岸の尾根を登る。

落ち葉の積もった急斜面も、それほど苦にせず登れる。滝の

巻き道などで、フェルトシューズよりも危なくないかもしれない。

午後4時過ぎに天国ベンチに到着。さてジャガーシグマの感想は、

経済性は別として、沢中での耐滑性は60点。アプローチシューズ

兼用という至便さも加味すると、総合的に80点。まずまず合格点。


今日のBGM   Kygo - Stay