摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

摩耶東谷の支流から 山寺尾根を目指すが詰めれず

5月21日は第三土曜日。リュックサックマーケット開催日。家族は

出品するというので別行動だ。ハムは一人で箕岡通の坂を登って行く。

空は快晴、気温はぐんぐん上がりそう。杣谷に入ってすぐ摩耶東谷へ。

ヤドリ木の白い花。杣谷堰堤の改修工事があってから、東谷の入口で、

飯盒炊爨する人が多い。その為なのか東谷の登山道脇に大量のゴミが

散乱している。捨てられた物をイノシシが散らかしているのだろうか。

やや嫌な気分になったが、水流を見て気を取り直す。思ったより水量

が多く爽やかだ。思わず登山道を外れて、沢沿いの岩盤を登って行く。

水に近づきたいと思うのは、それだけ気温が上がったという事だろう。

深谷第二堰堤の乗越しから、ロープウェイの架線を望む。中途半端な

時間にゴンドラが下って来た。客が多くてピストン運行しているよう。

ここで水を飲んで小休止。家を出た時には氷だったものが溶けていた。

深谷第二堰堤の上は広い河原となっている。此処には支沢が左岸から

流れ込んでいる。入り口は大きなゴーロで、そのまま稜線まで岩屑の

詰まった沢だろうと何となく思っていた。予想は半ば当り半ば外れた。

残念なことに直ぐに堰堤が現れる。名盤を見ると県の治山ダムだった。

此処は右岸から越えた。側壁は大きな階段状だが、段差が大きく登れ

ない。下流側から岩場を巻き上り、バンドをトラバースして通過する。

堰堤の上もゴーロが続く。一見伏流してそうだが、水流は僅かにある。

すぐ2番目の堰堤が現れる。見上げると水通し天端に大岩が乗ってい

る。ダムの内側は堆砂で満杯だし、その上を転がって来たのだろうか。

此処には左岸に、土砂が流れた斜面があるので、割と楽に乗り越せた。

次に台風が来て大雨が降れば、この岩も転げ落ちるのではと思ったが。

よく見ると岩の上流側に木が生えている。とすると相当期間この状態。

2番目の堰堤の上もゴーロが続く。この辺りは両岸ともに険しい岩場。

また堰堤があった。この3番目の堰堤は、右岸のコンクリ階段を登っ

て越える。ゴーロと堰堤の繰り返しで、うんざりするような展開だが、

元より沢には期待してなかったので、こんなものと淡々と登っていく。

3番目の堰堤を越えるとようやく変化があった。二俣がある。

右俣は明るい階段状の岩場となる。ただ水流は涸れている。

左俣は暗く陰気なU字型の沢。よほど右俣を登ろうかと思っ

たが、やはり水流がある方が本流だろう。最後まで詰めたい。

左俣を少し進めば小滝があった。登れないかと取りついたが、

ホールドがごっそりと抜ける。脆い岩の積み重なりのような滝。

右岸から急斜面を大きく巻き上るが、今度は河床に降りれない。

両岸が岩壁になっているようだ。今日の装備はシュリンゲが2本。

もっとも上部もかなり急峻で、下れたとしても行き場を失いそうだ。

沢を詰めるのは諦めた。尾根に逃げることにした。それにしても

急斜面。滑落すれば河床へ落ちてしまう。木の根を手掛かりに、

じりじりと登って行く。ほんの数十メートルだけど、少々緊張した。

尾根に乗り傾斜が落ちれば、シロバナウンゼンツツジの藪となる。

花は可憐だが、固く細かな枝が密生し、藪漕ぎには手強い相手。

登って行くと尾根道に出た。山寺尾根の一般道ではない。東谷の

行者小屋から登ってくる道だろう。山寺尾根へは、まだ距離がある。

少し抜けた所から大阪方面。左手に登って行くのが山寺尾根である。

行者小屋からの道は上部で二分する。尾根通しに行く道と、東谷

側の斜面を斜上して行くものだ。少しでも無駄に登りたくないので、

東谷側の道に入る。道が崩れた所もあるが、ロープもあったりする。

山寺尾根と合流するのは、神戸市が立てた「通行止め」の看板の所。

リュックサックマーケット開催中の掬星台に着いたのは、午後2時。

杣谷入口から2時間半も掛った。もう帰り支度をする出品者もいた。