摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

再び六甲線一三鉄塔と一二鉄塔間の沢を迷走する

4月17日の日曜日は、夜半に雨が降り、朝には止んでいた。

午後からは晴れるという予報を信じて、10時過ぎに家を出る。

護国神社境内は八重桜が満開。だが長峰山は濃いガスの中。

今日は4月2日に、長峰山頂に直上した沢を確かめてみたい。

杣谷道を歩き摩耶堰堤の乗越しまで来ても、ガスは晴れない。

此処にある山桜も、花は既に散ってしまい、若葉が繁っている。

摩耶第三堰堤を、杣谷道が越えると道標がある。この右手の

斜面から取付こう。ちなみに行き止りの方へ進むと寒谷出合。

今日は、六甲線一三鉄塔と一二鉄塔間の沢を登るつもりだが、

下流域の小滝群を回避するために、左岸の尾根から取付いた。

まだこの季節に、足を濡らして沢を遡行するだけの気力はない。

かつてダム建設工事の際、寒谷北尾根の飯場と、この尾根の

飯場を電話線が通っていたようだ。このケーブルに沿って登る。

ようやく日が差して青空も見える。風が強く、雲の動きが早い。

もう少し登ると、木の袋尾根が三角錐の独立峰のように見える。

この尾根にもツツジが密生するが、花をつけている株は少ない。

尾根の傾斜が落ちると、左下に治山ダムが見えてくる。さらに

進み、右手に飯場跡の平削地を見た所で、左手の河原に下る。

この沢の本流には、合計4基の治山ダムがある。このダムを

4月10日に下った2番目のダムと、またしても誤認してしまう。

そのことには気づかないままに、ダムの上流にすぐの二俣の、

僅かに水流のある右俣に入る。鮮やかな苔が生えるゴーロ。

だが100メートルも進むと、行く手を薮に遮られる。両岸は

浅くて、直ぐにも尾根に出そうだ。この沢が山頂まで続いて

いるとは到底思えない。間違っていると気づく。やり直そう。

家族に「地図を買え!」と叱られながら、登ってきた沢を下り、

本流に戻る。だがスタートの堰堤を誤っていることには、まだ

気づいてない。1番目・2番目の堰堤とも良く似た地形にある。

本流を進んで、やっと気づく。4月10日に下った2番目のダム

ではなく、今日は下流から、1番目の堰堤から歩きだしたのだ。

本流が90度に屈曲すると、小規模な滑がある。こんなところも

2番目のダムの上流と地形が似ている。ゴム底では滑りやすい。

滑は短く、直ぐに堰堤に付き当る。この堰堤こそ4月10日

下った2番目の治山ダムだ。両岸には桜の大木が生えている。

堰堤を乗り越し上流直ぐの二俣を、本流から離れ右俣に入る。

やはり僅かに水流のある谷を登って行く。だが、どうだろうか。

すぐ水は涸れ、土砂の詰まった沢になる。とても上流に堰堤が

あるとは思えない。また間違ってる。だが、行き着く先も知りたい。

傾斜は徐々に急になり、土砂をキックステップで登って行く。

最後には土の中から、木の根を掘り出して、手掛かりにする。

飛び出したのは、六甲線一三鉄塔から30米程の巡視路。

見当違い。地図は見てないし、地形を全く分かっていない。

又しても目的を果たせず、迷走してしまった訳だが、青く晴れ

た空と、大好きな一三鉄塔から眺めを見て、間違った事など、

最早どうでもよくなった。まあ、一三鉄塔への新ルート開拓だ。

後日コメント欄から貼りつけていただいた1/2500の地図に、

この日歩いたコースを紫で示してみた。最初間違って入った

谷も、その後に登り切った谷も、ほぼ同じ所に着くのは何とも。